ARナビへと一歩踏み出す
Googleマップのナビという意味で、最新の要素が「ARナビ」だ。現在、グーグルのスマートフォンである「Pixel 3」シリーズ向けに先行してアルファ版が公開されている。
ARナビは、スマホから見えるカメラの風景に合わせて、向かうべき方向やランドマークまでの距離などが表示されるもの。ナビを利用して歩き始めたものの、最初の一歩はどちら側に行けばいいのか……という戸惑いを解消してくれる機能だ。
ARをナビにつかう、という発想は古典的なもので、2010年頃からいくつかアプリが登場している。だが、それらには精度面での問題が大きく、「向かうべき方向がズレる」「表示が建物にめり込む」などのトラブルが起きて、毎日実用的に使うのは難しい……というのが筆者の感想だった。
だがGoogleマップのARナビは、精度がかなり高く、表示が実景と矛盾することもほとんどない。
「映像に写っている風景がなにかを理解して、方向などを合わせています。だから精度が高い」とグラスゴー氏は説明する。実際に使う時には、スマホを動かして周囲を見る際、見える建物や風景の特徴点を検出しているような動作が見られる。この際、グーグルが持っているストリートビューなどのデータと照合し、今いる風景とのマッチングを行っているようだ。
こうした機能も、新しい地図データの構造を前提にしたものだという。
「特に、フロアの違いなどを認識する機能は、日本のユーザーからのニーズも高い」とグラスゴー氏は言う。地図の中に、いかに「立体としての世界」を取り込むかは、これからの地図サービスのカギとなる要素である。
だが、グラスゴー氏はこうも話す。「ただし、AR機能は、とても初期段階のものです。まだまだやらなければいけないことは多数あります」。現時点で限界を語るのは時期尚早、ということだろう。
