「ガパオ汁なし麺」
熱烈中華食堂 日高屋
5月24日発売
590円
「ガパオライスをアレンジして汁なし麺に」
もう(原点が)ないじゃん……
言わずとしれた名作マンガ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の第82巻に「おむすびころりん!の巻」というエピソードが収められています。主人公の「両さん」こと両津勘吉が、駅から離れたコンビニもない地区の外食需要に目をつけ、駄菓子店の一角を借りて、おむすび店を開く……というあらすじ。
両さんがプロデュースするおむすび店は、自分でにぎる「手作りおむすび」や、真空パックおむすびなどを開発し、売上を伸ばしていきます。一方、駄菓子店の対面にあったハンバーガーショップも、対抗するべく新製品を次々と展開します。しかし、おむすび一本にしぼった相手に対し、ハンバーガーショップは多数の商品を扱いすぎたことで迷走、完全に客足が遠のいてしまう……。
このハンバーガーショップは、レンタルビデオ店、ファミコンショップへと変化し続け、最終的に「駐車場」になってしまいます。この「多角化し続けたことで駐車場になる」というみごとなオチに、作者・秋本治さんの非凡な才能を感じるとともに、おむすびから離れないことで勝利した(最後は欲をかいて大失敗するのですが)両さんの姿勢からは、誰もが認める長寿連載を成し遂げた秘訣の一つは「原点を見失わないこと」かもしれない、といった人生訓が読み取れるかもしれません。
熱烈中華食堂 日高屋(以下、日高屋)は、「ガパオ汁なし麺」を5月24日から発売しています。590円。ガパオライスを日高屋風にアレンジして汁なし麺にしたとのことで、ピリッとくる辛さがクセになる、ボリューム満点の南国風まぜそばとうたいます。
「ガパオライスを日高屋風にアレンジして汁なし麺にした」とサラッと書いてありますが、わりとミステリーです。よく考えるとハチャメチャです。冒頭に紹介したこち亀のエピソードのように、日高屋もライバルを意識しすぎて複雑骨折してしまったのでしょうか? 中華食堂としての原点を見失ってしまったのでしょうか? そもそも「南国風まぜそば」とはなんなのでしょうか?
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