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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第223回

米国のファーウェイ攻撃は続く 英国では国防大臣の更迭も

2019年05月15日 16時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII編集部

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ファーウェイ創業者の娘は米国への送還を拒否

 渦中のファーウェイにも動きがあった。5月8日、創業者の娘でCFOを務めるMeng Wanzhou(孟晩舟)氏の米国への強制送還についての予備審理が、Meng氏が拘留されているカナダで開かれたのだ。

 Meng氏は2018年末、移動中のカナダで逮捕されている。2週間後に保釈されたが、保釈金は1000万カナダドルでGPSを身につける、警備は自分が負担するなどの条件つきだ。

 予備審理でMeng氏の弁護士は、米国がイランに課す貿易制裁に反する取引を行なっていたとされるSkycomの事業やSkycomとファーウェイの関係を銀行も理解していたことなどを主張したという。Meng氏はSkycomの取締役を務めていたが、米国側はMeng氏は虚偽の説明を金融機関にしていたと主張していた。

 また、米国政府が主張しているのはイラン制裁の違反だが、「カナダではイランが関連した金融サービスについて制裁を行なっていない」とし、カナダでは有罪ではないので送還の必要はないとも主張している。

 弁護側は人権面からの主張もしている。拘留時にMeng氏の電話が取り上げられパスワードも開示させられたほか、所持品も調べられたことなどが、人権を侵害しているというのだ。この件について、Meng氏はカナダの入国管理局を提訴している。

 Meng氏は現在、自身がバンクーバーの自宅で軟禁されているが、市内に所有する2軒のうち、広くて門がある自宅に移っている模様。

一方で業績自体は好調なファーウェイ、Q1の売上高は約40%増

 そんな中にあっても、ファーウェイの勢いは衰えていない。4月末に発表した2019年第1四半期の業績では、グループの売上高は前年同期比39%増の1797億人民元(約2兆9668億円)とのこと。いくつかの数字を拾うと。

・2019年3月末時点で5Gでの商用契約のもとで累計7万局の基地局を出荷
・2019年第1四半期時点でWiFi6対応製品の出荷では世界一
・2019年第1四半期のスマートフォンの出荷台数は5900万台
・パブリッククラウド「Huawei Cloud」を利用する企業と開発者は100万以上

 報道ではアンチ旋風が吹き荒れているように見えるが、5Gのネットワークではすでに40以上の商用契約を結んでいる。

 ファーウェイが5Gにおける技術的/コスト的に重要な選択肢となっていることは間違いない。先のDell Technologiesのイベントで、この問題についてVIAVI Solutionsの幹部、Amit Malhotra氏は「5G技術を供給できるところは限られている。さまざまな議論が出ているが、時期とともに収束していくだろう」との見方を示した。一方で、楽天が採用するAltiostar Networks、Mavenirなど仮想化の動きにも期待が出ていた。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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