エアコンを、大気中の二酸化炭素を取り込んで燃料に変換する機械に変えてしまう。ドイツのカールスルーエ工科大学の研究者らがこんなアイデアを提案している。
エアコンは、エネルギー集約型の機械であり、その排気は地球温暖化の一因となっている(そして皮肉なことに、温暖化によりさらに多くの人々がエアコンを購入している)。しかし、そのエアコンを気候変動に対抗するために利用できるとしたらどうだろうか。 カールスルーエ工科大学の研究グループは、4月30日付けのネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communication)の論文の中でそのように提案した。
研究グループは、クライムワークス(Climeworks)などの企業が現在開発している炭素回収技術を利用して、大気中の二酸化炭素と水をエアコンに回収させることを提案している。エアコンに取り込んだ水と二酸化炭素は、再生可能な炭化水素燃料に転換する。 この仕組みにより、地域の合成石油の油井が効率的に作り出され、オフィスやアパートで利用されているシステムと直結されることになるだろう。一例として、研究グループは、ドイツのフランクフルトの象徴的なオフィスビルであるフェアタワー(Fair Tower )の全エアコンをそうした仕組みに変えると、1時間あたり1000トンの二酸化炭素を大気中から回収できると主張している。
この計画はかなり投機的で、純粋に理論上のものだ。複数のさまざまな技術開発の成功を前提としている。論文の著者らはこのコンセプトを「クラウドオイル」と称しており、「魅力的なアイデア」であるとする一方で、実現には取り組むべき多くの課題があるとしている。さらに、私たちが作り出している温室効果ガスの排出量レベルを下げるという本来の重大な責務から人々の関心をそらしてしまう可能性がある。