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マルチスレッドに強いRyzen 5 2600、シングルスレッドに強いCore i5-9400F

Ryzen 5 2600対Core i5-9400Fガチンコ対決 コスパ党ならどっちを選ぶ!?

2019年05月10日 11時00分更新

文● 石川ひさよし

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システム価格は(順当なパーツ選びなら)AMD Ryzen 5 2600のほうが安い

 組み合わせるマザーボードを選ぶにあたり、まずチップセットから検討してみた。AMDはX470、B450、A320があり、IntelはZ390、H370、B360、H310がある。もっとも高機能なのは、AMDならX470、IntelならZ390だが、パフォーマンスがよくてもコストは高い。もっとも安価なのはAMDならA320、IntelならH310だが、コストは安くてもパフォーマンスに制限が付く。今回のお題はコスパでありコストとパフォーマンスのバランスなので、パフォーマンスへの影響が最小限で、できるだけコストを抑えられるチップセットとして、AMDはB450、IntelはH370を選んでみた。

 マザーボードも、せっかく比較をするならばASRockの「B450 Pro4」と「H370 Pro4」を用意した。製品名にあるとおり同じグレードの製品なので、搭載可能なCPUとチップセットの機能のほかは似たような仕様だ。

ASRock「B450 Pro4」

ASRock「H370 Pro4」

 検証環境が固まったところで価格を計算してみよう。まずCPUはRyzen 5 2600が19,000円前後なのに対し、Core i5-9400Fは22,000円前後とまずここで3,000円差がある。次にマザーボード。B450 Pro4は10,000円前後なのに対し、H370 Pro4は12,000円前後と、ここでも2,000円前後の差が生まれた。合わせるとRyzen 5 2600システムのほうが5,000円ほど安い結果だ。あくまで機能的に同等のシステムを検討した場合の価格差だが、コスパ重視の方にとって、5,000円は大きいのではないだろうか。

CPUとマザーボードにおける価格差
CPU AMD Ryzen 5 2600 19,000円前後 Intel Core i5-9400F 22,000円前後
マザーボード ASRock B450 Pro4 10,000円前後 ASRock H370 Pro4 12,000円前後
合計 29,000円前後 34,000円前後

 もっとも、メモリに関してはDDR4-2933の場合はOC(オーバークロック)メモリの扱い、DDR4-2666まではDRAMチップレベルで対応しているということで、製品数や価格ではDDR4-2933は高価、DDR4-2666は安価だ。そのため、今回の検証のようにサポート上限のメモリを採用した場合、実際に1台組んだ場合の価格差はもう少し小さくなるだろう。ここまで解説してきたことを踏まえまとめた検証環境は以下のとおり。

主な検証環境
CPURyzen 5 2600(6コア/12スレッド、3.4~3.9GHz)Core i5-9400F(6コア/6スレッド、2.9~4.1GHz)
マザーボードASRock B450 Pro4ASRock H370 Pro4
メモリKingston HyperX Predator DDR4 RGB HX429C15PB3AK2/16(8GB×2 DDR4-2933、Core i5-9400F検証時はDDR4-2666にて運用)
ビデオカードZotac GeForce GTX 1080 Ti Mini 11GB(ZT-P10810G-10P)
システムドライブIntel Optane SSD 800p(118GB、PCI Express 3.0 x2、NVMe)
データドライブMicron Crucial MX500 CT500MX500SSD1/JP(500GB、Serial ATA 3.0)
OSWindows 10 Pro 64bit版

 ここからのベンチマークにおけるポイントを一つ挙げておこう。RyzenのCPU性能に関して言えば、メニーコア化されたことでマルチスレッディング性能が高まったものの、IPCの点ではまだIntel CPUにやや及ばないところがある。マルチスレッドテストではRyzen 5 2600が勝ち、シングルスレッドテストではCore i5-9400Fの優位が予想される。

 システムバスまわりでも、若干まだIntelプラットフォームのほうが最適化度合いで勝っており、例えばビデオカードの性能やメモリの性能を引き出すという点ではAMDプラットフォームにハンデがある。

 その上で、先に言及したとおりシステム価格はRyzen 5 2600のほうが安価に収まる公算が大きい。つまり、以降のベンチマークでは全体的に見ればCore i5-9400Fのほうが優位に出ることは間違いなく、Ryzen 5 2600のスコアを見るポイントは、どこまでCore i5-9400Fに食らいついていけるのかだ。そして価格差をうまくパーツ選びに利用して、追いつく、追い越す見込みがつけば、対等、あるいはRyzen 5 2600が優位という結論に結びつけることができるだろう。

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