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マルチスレッドに強いRyzen 5 2600、シングルスレッドに強いCore i5-9400F

Ryzen 5 2600対Core i5-9400Fガチンコ対決 コスパ党ならどっちを選ぶ!?

2019年05月10日 11時00分更新

文● 石川ひさよし

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厳密にはCore i5-9400Fが優位だが、その差はパーツ1つで逆転できるレベル

 ベンチマークテストでは、ここまで紹介してきたパーツのほか、DDR4-2933とDDR4-2666のXMP(Extreme Memory Profile)プロファイルを持つ8GBメモリ2枚と、SSD、そしてビデオカードにGeForce GTX 1080 Tiを用意した。以降はこの検証環境におけるベンチマークの結果である。3D性能については、お使いになるビデオカードでスコアも違ってくる。今回は、GPU側の性能に余裕をもたせ、CPU側の性能の違いを明確にしたいための選択だ。

 それではまずCINEBENCH R20でCPU性能を見た上で、アプリケーション性能を見るためにPCMark 10、3D性能を見るために3DMarkを計測した。

 CINEBENCH R20は、Ryzen 5 2600とCore i5-9400Fの得手不得手がよく現れた。マルチスレッドテスト側は、Ryzen 5 2600が2798cbで、Core i5-9400Fが2353cb。その差は445ポイントで、Ryzen 5 2600が優位に立つ。コア数が同じでも、Ryzen 5 2600はSMTに対応しているため、より高いスコアとなった。

 シングルスレッドテスト側は、Ryzen 5 2600が397cb、Core i5-9400Fが428cb。31ポイント差でCore i5-9400Fが優位だった。この点で、Ryzen 5 2600はマルチスレッド処理中心の用途に適している。

CINEBENCH R20

 PCMark 10では、Extended ScoreでRyzen 5 2600が7110、Core i5-9400Fが7656だった。スコアの差は546ポイント。シナリオ別に見ていくと、Essentialsの差は小さく、ProductivityとDigital Content Creationはやや大きな差が付きCore i5-9400Fが優位、Gamingも少し大きめの差だろう。この傾向から見ると、普段使いではほぼ同等だが、業務系用途ではRyzen 5 2600は苦戦している。Gamingは後ほど3DMarkでじっくりと見てみたい。

PCMark 10
Ryzen 5 2600 Core i5-9400F
Extended Score 7110 7656
Essentials 8573 8644
App Start-up Score 10619 12924
Video Conferencing Score 7743 5722
Web Browsing Score 7665 8734
Productivity 6650 7602
Spreadsheets Score 8114 9111
Writing Score 5451 6343
Digital Content Creation 7531 8270
Photo Editing Score 9081 9574
Rendering and Visualization Score 9248 10791
Video Editing Score 5087 5476
Gaming 16086 17087
Fire Strike Graphics Score 26671 28815
Fire Strike Physics Score 16799 12493
Fire Strike Combined Score 6759 9284

【コラム】Ryzen 5 2600ならOCで一発逆転も狙える

 先のとおりPCMark 10の結果はRyzen 5 2600がかなり苦戦している。しかし、Ryzen 5 2600とAMD B450、Core i5-9400FとIntel H370でもう一つ違うところがOC対応だ。Intelのメインストリーム向けCPUでのOCは、型番に「K」が付く各グレード最上位モデルのみが許される。しかし、AMD Ryzenでは、「X」の付かないRyzen 5 2600でも倍率ロックはなく、OCが可能だ。ここでごく簡単に、Ryzen 5 2600を3.4GHzから3.8GHzにOCした場合のPCMark 10のスコアを計測してみた。

PCMark 10
Ryzen 5 2600@3.8GHz Core i5-9400F
Extended Score 7754 7656
Essentials 9338 8644
App Start-up Score 12193 12924
Video Conferencing Score 8269 5722
Web Browsing Score 8078 8734
Productivity 7856 7602
Spreadsheets Score 10217 9111
Writing Score 6041 6343
Digital Content Creation 8286 8270
Photo Editing Score 10119 9574
Rendering and Visualization Score 10337 10791
Video Editing Score 5440 5476
Gaming 16073 17087
Fire Strike Graphics Score 27062 28815
Fire Strike Physics Score 17407 12493
Fire Strike Combined Score 6430 9284

 するとどうだろう。Extended ScoreではCore i5-9400Fを逆転し、まだ一部及ばないテストもあるが、かなり多くのテストで肉薄、逆転するものが出てきた。Ryzen 5 2600が不得意としていた業務用途でのパフォーマンスもばっちりだ。OCと言うとリスクの高いものを想像しがちだが、今回の3.8GHzはCPU付属の「Wraith Stealth」のまま、コア電圧を1.55Vに決め打ちして安定性を探っただけだ。コア電圧もクロックにも、まだ煮詰めるだけの余裕がある。Ryzenにはこうした「お値段以上」の性能を引き出す楽しみ方もある。


 3DMarkのOverallは、Sky DiverとTime SpyでRyzen 5 2600が優位に立ったものの、Fire StrikeとNight RaidはCore i5-9400Fが優位だった。勝ったり負けたり一貫性がない。このあたり、各テストでどのあたりにもっとも負荷がかかるのかでも変わるが、どうもプラットフォーム側の最適化が足りていない印象がより強い。もっとも新しいNight Raidでここまでの差がついているのがその最たるところだ。まあ、Night Raidを除けば勝つにせよ負けるにせよ大差はなく、概ね同等の性能と言える範囲ではないだろうか。基本的に、3D性能に関してはCPUによる違いは小さく、GPU性能が左右するところだ。

3DMark(Overall)

 次はゲームベンチマークを試してみた。FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands、Shadow of the Tomb Raiderと、ベンチマークツールあるいはビルトインベンチマークのあるものを選んでいるので、計測誤差は少ないはずだ。

 まずは国内ゲームメーカーのメジャータイトルであるFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを見てみよう。すべての設定で、Ryzen 5 2600よりもCore i5-9400Fのほうが高スコアではある。ただし、十分に快適なプレイが望める「とても快適」評価が出た2560×1440ドット/高品質時で、わずかに5ポイント差だ。映像を見て、その違いに気づくこともないだろうレベルである。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 次のTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsでは、スコアではなくフレームレートを出すため違いが明確になることを期待した。結果は、3840×2160ドット/非常に高いプリセットでは0.99fps差だった。フレームレート自体、50fps台に乗っているためプレイに支障のない設定と言える。ただし、解像度と画質を落としていくと、やや差が大きくなる。1920×1080ドット/中プリセットでは、15.85fps差になった。ただ、120fps近いフレームレートなので、高リフレッシュレートのゲーミング液晶ディスプレイを組み合わせてようやくその差に気づくレベルだ。

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands

 最後のShadow of the Tomb Raiderは、さらにゲーム自体が重めだ。3840×2160ドット/最高プリセットでは、どちらも40fps程度なので現実的な設定ではない。その下の2560×1440ドット/高プリセットで比較をして、差は3fpsとなった。なお、1920×1080ドット/中プリセットで5fps差だった。

Shadow of the Tomb Raider

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