さとうなおきの「週刊アジュール」 第86回
Azure Databricksが仮想ネットワークをサポート
ゲーム開発者のためのサービスを統合した「Microsoft Game Stack」発表
2019年04月17日 13時00分更新
こんにちは、さとうなおきです。「週刊アジュール」では、2019年3月10日~2019年3月16日の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。
Microsoft Game Stackを発表
「Microsoft Game Stack」が発表されました。
Microsoft Game Stackは、Azure、PlayFab、DirectX、Visual Studio、Xbox Live、Visual Studio App Center、Havokといった、ゲーム開発プラットフォーム、ツール、サービスを、すべてのゲーム開発者が使用できるように統合するイニシアチブです。
- ブログポスト「Microsoft Game Stackでさらなる成果を上げる」
- ブログポスト「Microsoft Azure for the Gaming Industry」
- ブログポスト「今年のGDC 2019ではMicrosoft Game Stackが紹介されるようになりました。」
Azure PlayFab:PlayFab Matchmaking、Visual Studio App Center統合など
Azure PlayFabは、オンラインゲームのバックエンドプラットフォームサービスです。
Microsoftは、2018年1月にPlayFabを買収していました。
今回、PlayFabは、Microsoft Game Stackの主要コンポーネントと位置付けられ、Azureサービス「Azure PlayFab」になりました。
また、次のPlayFabサービスが、プレビューになりました。
- PlayFab Matchmaking(パブリックプレビュー):Xbox Live のマッチメイキング機能を調整し、すべてのゲームとすべてのデバイスに利用できるようにしたマルチプレーヤー ゲームのための強力なマッチメイキング機能です。
- PlayFab Party(プライベートプレビュー): Xbox Party Chatの機能を調整し、すべてのゲームとすべてのデバイスに利用できるようにした音声およびチャットサービスです。Partyは、より多くのプレーヤーがゲームにアクセスできるように、リアルタイムの翻訳と文字起こしのためにAzure Cognitive Servicesを利用しています。
- PlayFab Insights(プライベートプレビュー): 堅牢なリアルタイムのゲームテレメトリと他の複数ソースのゲームデータを組み合わせてゲームのパフォーマンスを測定し、実用的な分析情報を作成します。Game Insightsは、Azure Data Explorerを利用して、Xbox Liveを含む既存のファーストパーティ、サードパーティのデータソースへのコネクタを提供します。
- PlayFab PubSub(プライベートプレビュー): Azure SignalR Serviceを利用した持続的な接続を介して、ゲームクライアントがPlayFabサーバーからプッシュされたメッセージをサブスクライブします。これによって、リアルタイムのコンテンツ更新、マッチメイキング通知、単純なマルチプレーヤーゲームプレイなどのシナリオが可能になります。
- PlayFab User Generated Content(プライベートプレビュー): プレーヤーがコンテンツを作成し、そのコンテンツを他のプレーヤーと安全に共有できるようにすることで、コミュニティへの参加を促します。このテクノロジは、もともとMinecraft Marketplaceをサポートするために構築されました。
詳細は、次のページをご覧ください。
- ブログポスト「Microsoft Game Stack でさらなる成果を上げる」
- ブログポスト「今年のGDC 2019 では Microsoft Game Stack が 紹介されるようになりました。」
Visual Studio App Centerは、iOS、Android、Windows、macOSアプリケーションのビルド、テスト、配布、監視のためのサービスです。
Visual Studio App Centerの診断データをAzure PlayFabに持ち込む機能が、プレビューになりました。
Azure Resource Manager:テンプレート言語
Azure Resource Manager(ARM)は、Azure上のリソースのデプロイや管理のためのレイヤーです。
今回、Azure Resource Managerテンプレート言語が拡張されました。
Azure Blueprints:ISO 27001
Azure Blueprintsは、事前構成済みのリソース、ポリシー、管理、セキュリティ、ユーザーアクセス制御を使って、完全にガバナンスが実装されたAzureサブスクリプションを簡単に設定できるサービスです。Azure Blueprintsは、現在プレビュー中です。
今回、Azure Blueprintsで、ISO 27001に対応したブループリントのサンプルが提供されました。
Azure Portal:3月のアップデート
Azure Portalは、WebベースのAzureの管理コンソールです。
2月のアップデートに続いて、Azure Portalの3月のアップデートがまとめられています。今回のアップデートでは、「すべてのサービス」ビューの改善などの新機能があります。
Azure Storage:Stoarge ExplorerのAzCopyサポート、Data Boxファミリのマネージドディスクサポート
ストレージサービス「Azure Storage」は、Windows、macOS、Linuxで動作する、Azure Storageにアクセスするためのクライアントツール「Azure Storage Explorer」を提供しています。
AzCopyは、Azure Storageアカウントとのデータ転送のパフォーマンスを向上させるCLIです。
今回、Azure Storage ExplorerでのAzCopyのサポートが、パブリックプレビューになりました。AzCopyを転送エンジンとして使用することで、Azure Storageとのファイル転送のスループットを向上できるようになります。
ストレージサービス「Azure Storage」の一機能「Azure Data Boxファミリ」は、大量のデータをAzureに移動するためのアプライアンスです。
今回、Azure Data Boxファミリ(Data Box、Data Box Disk、Data Box Heavy)が、マネージドディスクに対応しました。これによって、オンプレミスの仮想ハードディスク(VHD)をAzure上のマネージドディスクに簡単に移行できるようになります。
Azure DevOps:Slackからのリリースデプロイ承認
Azure DevOpsは、Azure Pipelines(CI/CDパイプライン)、Azure Boards(作業追跡ツール)、Azure Artifacts(パッケージ生成/共有)、Azure Repos(プライベートGitリポジトリ)、Azure Test Plans(テストソリューション)で構成される、開発チーム向けのサービスです。
Slackから、Azure Pipelinesのリリースデプロイを承認できるようになりました。
Azure SQL Data Warehouse:ワークロードの重要度
Azure SQL Data Warehouseは、SQL Serverベースのデータウェアハウス(DWH)サービスです。
Azure SQL Data Warehouseで、ワークロードの重要度で要求を分類する機能がプレビューになりました。重要度が高い要求は、最初にリソースにアクセスでき、より早く完了できるようになります。
- 更新情報「Azure SQL Data Warehouse のワークロードの重要度(プレビュー)」
- ブログポスト「Azure SQL Data Warehouse: ワークロードの重要度のプレビューを開始」
Azure Databricks:Delta、Azure DevOps、VNetインジェクション
Azure Databricksは、Apache Sparkベースの分析プラットフォームのサービスです。
Azure Databricks Deltaは、トランザクション型ストレージレイヤーです。Azure Databricks Deltaを使うと、複数ステージの複雑なデータパイプラインを作成することなく、複数のユーザーやジョブが、一貫性を保ちながら同じデータセットを修正できます。
2018年9月のIgnite 2018カンファレンスでプレビューになっていたAzure Databricks Deltaが、今回、GAになりました。
Azure Databricksが、Gitプロバイダーとして、これまでサポートされていたGitHubに加えて、Azure DevOpsのAzure Reposをサポートしました。
Azure Databricksでは、既定では、Azure Databricksが管理する仮想ネットワーク(VNet)内にDatabricksクラスターがデプロイされます。
今回、自分で作成した仮想ネットワークにDatabricksクラスターをデプロイする「VNetインジェクション」が、パブリックプレビューになりました。
Azure Sphere:19.03
Azure Sphereは、インターネット接続デバイス向けの組み込みの通信、セキュリティ機能を備えた、セキュアなアプリケーションプラットフォームです。Azure Sphereの認定を受けたパートナー企業のMCU(マイクロコントローラー)、LinuxベースのIoT専用セキュアOS「Azure Sphere OS」、Azureのセキュリティサービス「Azure Sphere Security Service」の3つで構成されています。Azure Sphereは、現在プレビュー中です。
2月にリリースされていた19.02に続いて、Azure Sphere 19.03のパブリック プレビューがリリースされました。
- 更新情報「Azure Sphere 19.03のパブリック レビューの提供を開始(評価用)」
- 更新情報「RetailフィードでAzure Sphere 19.03パブリックプレビューの提供を開始」
- ブログポスト「Azure Sphere Retail and Retail Evaluation feeds」
それでは、また来週。
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