柳谷智宣のkintoneマスターへの道 第76回
経営に活用するため、たまったデータをプラグインで可視化
kintoneアプリ内に高機能なグラフとピボットテーブルを表示してみる
2019年02月21日 09時00分更新
サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。
本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第76回では、kintoneアプリ内にリッチで高機能なグラフとピボットテーブルを表示してみる。
kintoneにデータがたまり始めると経営に活用するために、データを可視化したくなる。kintoneのグラフ機能で事足りるなら問題ないのだが、物足りなく感じている人も多いだろう。そんなときは、プラグインの出番。今回は、お目見えしたばかりの「krewDashboard」の使い方を紹介しよう。
「krewDashboard」は「第73回 複数のアプリからデータ集計できるkrewDataをkintoneで活用してみる」で紹介した「krewData」と一緒に登場したプラグイン。さまざまなグラフやピボットテーブルをならべて表示でき、細かいカスタマイズもできる。経営判断に役立つダッシュボードをkintone内で構築できるのがウリだ。
BIツールはデータを経営戦略に活かしてナンボ。きれいに表示すること自体に意味はないのだが、手軽にわかりやすく表示できれば、現場の手間が減るし、経営陣の経営判断も早くなる。kintoneからCSVで出力していじりまくったり、大金を投入して専門のBIツールを導入するのは、せっかくのkintoneのメリットを潰してしまうことになる。
「krewDashboard」を利用すれば、任意のアプリの任意のデータを豊富なグラフでまとめて表示できる。強力なピボットテーブルも備え、エクセルと同等の機能を利用できる。まずは、無料体験版を申し込んで、シリアルナンバーとプラグインファイルをゲットしよう。
ダウンロードしたプラグインを読み込んだら、新規アプリを作成し、「文字列(1行)」フィールドを配置し、フィールドコードを「Dashboard_ThreadTitle」に変更する。続けてプラグインを適用し、新しく一覧を追加。レコード一覧の表示形式で「カスタマイズ」を選択すれば準備完了だ。プラグインの設定画面から、グラフの作成を開始できる。
表示したいグラフの項目を表示領域にドラッグ&ドロップすると、アプリの選択画面が開く。スペースや作成者で絞り込んだり、アプリ名で検索して、「OK」をクリックする。
アプリを指定すると、右側の「フィールド」タブと「書式」タブでグラフの内容を設定する。表示領域内にはプレビューが表示されているが、あくまでも一部データを利用しているサンプルとなる。
アプリには多数のフィールドを作成しているが、ここはシンプルに年月と金額だけを設定。項目を軸や値にドラッグ&ドロップするだけなので、簡単だ。設定を保存し、アプリを更新。一覧を表示してみよう。設定したグラフが表示される。
同様の操作で、複数のグラフを設定してみよう。次は、なんとなくビジネスしている感が強い「ゲージ」を追加してみる。先ほどのグラフの横に配置し、フィールドや書式を設定する。今回は、売り上げの総合計が、年間の目標に到達しているかどうかを表示する。
「フィールド」タブで「値」に合計金額を設定。年間目標金額はアプリ内にデータがないので、「書式」タブで目標値を手動入力する。赤、黄、緑で表示する割合を調整し、表示単位を選択したら完成。現在の達成率が一目でわかるようになる。
同様に、必要なグラフを追加し、設定していく。表示場所やサイズはマウス操作で行なえるので、迷うことはないだろう。終わったらアプリを更新してみよう。
強力なピボットテーブルを使えるのも「krewDashboard」の特徴だ。グラフと同じようにピボットテーブルをドラッグ&ドロップし、設定を開く。行列や値に表示したい項目を追加すればいい。自在に組み替えられるので、いろいろなパターンを気軽に試せる。
小計や総計の有無からテーブルの幅や高さ、フォントサイズなども細かくカスタマイズできるので見栄えにこだわることも可能。「条件付き書式」も利用でき、数字に合わせてデータバーを表示したり、目標未達のセルに色づけしたりできる。
「krewDashboard」はkintoneのデータを可視化する際、標準機能では物足りないが、専門のBIツールを契約するのもコストや手間の面で躊躇している人にぴったりのソリューションだ。機能的にも、kintone以上、BIツール未満という感じだ。
そして、なんと言ってもうれしいのがそのコスト。月額1万2000円で、年払いであれば12万円。サブドメインで月当たり1万円で済むのだ。経営陣が見る情報をダイレクトに左右するので、稟議は一瞬で降りることだろう。まずは、無料体験版を利用し、見栄えのいいダッシュボードを構築してあげてはいかがだろうか。現場の手間も減るので、一石二鳥だ。
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