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フィンランドのベーシックインカム実験、雇用には繋がらず

2019年02月12日 10時55分更新

文● Charlotte Jee

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フィンランドで失業者に2年間ベーシック・インカム(最低所得保障制度)を適用する試みが実施された。失業者の復職には至らなかったが、初年度の結果報告によれば、支払いを受けた人々はより健康的でより幸せそうだったという。

2017年1月から2018年12月まで、フィンランドの2000人の失業者が無条件で月々560ユーロ(634ドル)を、通常の失業保険(ほぼ同額)の代わりに受け取った。これによって失業者の復職が促進されるかどうかを見るのが実験の目的だった。結果によると、ベーシック・インカムの支払いを受けた人々は、支払いを受けなかった対照群と同様、仕事が見つかる見込みはなかった。だが、全体的にかなり健康で幸福な状態だと報告されている。実験の最終報告は2020年に発表される予定だ。

ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI=全国民向け最低所得保障) は、収入にかかわらず、すべての人に毎月一定金額を与えるという考え方だ。これは近年流行しているコンセプトであり、自動化によって起こる失業や不安への対処策の一つとして考えられている。カナダ、ナミビア、インド、その他の諸国でも実験されてきた。

当然ながら、今回のフィンランドの実験結果は、UBIが役に立つのか? という疑問を生じさせる。だが、今回のデータが初年度である2017年だけを扱っていることには留意する必要がある。また、失業者のみに焦点を当てているため、「ユニバーサル(例外なく当てはまる)」・ベーシック・インカムの事例としては適切とは言えないかもしれない。結論を得るにはデータがまだ必要であり、議論の決着からほど遠い。

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