2019年2月7日、NGINX(エンジンネックス)は東京オフィスを開設し、日本市場への本格参入を発表した。急成長するNGINXのユーザーをサポートする日本語情報や人員を強化するとともに、商用製品を幅広く販売する体制を構築するという。
3億5000以上のサイトで用いられるWebサーバーの新スタンダード
NGINXは、現CTOのイーゴル・シソエフ氏が開発したWebサーバーで、OSSとして公開されている。もともと高負荷時のパフォーマンスを重視して開発され、高い並列処理能力と省メモリが大きな売りになっている。このNGINXをコアテクノロジーとして、2011年に設立されたNGINX,Incは耐障害性や拡張性を必要とするサービスに向けた商用製品を提供している。具体的には、ロードバランシングやキャッシング、APIゲートウェイ、WAFなどの機能を統合したアプリケーションゲートウェイ「NGINX Plus」、集中管理やモニタリングを提供する「NGINX Contoroller」、さまざまな言語に対応したマイクロWebサーバー「NGINX Unit」などが提供されている。これら商用版NGINX製品を使っている顧客もグローバルで1900にのぼっており、大手の銀行、小売業、IT業など幅広く導入されている。
OSSのNGINXは3億5000万以上のサイトで用いられており、Webサーバー全体のシェアもApacheと拮抗しており、ハイトラフィックのサイトではほぼデファクトになっているという(出典:W3Techs)。実際、人気10万サイトのうち、NGINXが動いている割合は6割に達するという。
NGINXが成長している背景は、デジタルトランスフォーメーションを実現する業界のトレンド変化があるという。開発モデルはウォーターフォールからアジャイルへ、アーキテクチャもサービス指向アーキテクチャからマイクロサービス・マルチクラウドへ。インフラも固定・静的インフラからソフトウェア定義のクラウドへと移り、サイロ化された開発・テスト・運用からDevOpsに移行している。こうしたトレンドの変化に追従し、高い顧客体験とアジリティ、低廉なコストでよりよいサービス提供を実現するのがNGINXアプリケーションプラットフォームだという。
日本語情報やトレーニングも提供 パートナーにマクニカネットワークスが参加
NGINX,Incは、現在はサンフランシスコ、ロンドン、コーク、シンガポール、シドニー、モスクワにオフィスを構え、従業員も250人に達している。今回の日本進出も、国内での飛躍的な成長が背景にある。日本のJPドメインのNGINX利用率も、2013年時点では3%だったが、現在では3割を超えている。2014年以降のWebサイト数は1000%の増加となっており、グローバルでは4番目の市場になるという。「日本ではOSSの活動が盛んであり、またOSSテクノロジーを必要としている」とロバートソンCEOが語る。
日本オフィスのカントリーマネージャーに就任した中島健氏は、「スタッフの増員」「日本語による情報提供」「パートナーとの協力した強固な営業体制の構築」「市場開拓・拡大」などをコミットするという。人員は2年以内に20人体制を目指すほか、情報提供に関しては日本語のWebページを同日オープンし、ユースケースやトレーニングも提供していくという。パートナーに関しては、2014年にサイオステクノロジーと提携し、商用版製品の展開を開始しているが、今回マクニカネットワークスがパートナーに新たに加わった。