様々な業務課題を「Windows 10 IoT」で解決! 第2回
エプソンダイレクトの製品担当者に聞く、Windows 10 IoTの魅力
顧客目線で選ぶとOSはWindows 10 IoTだった――「Endeavor JN40」で構築するPOSレジ
2019年03月01日 10時00分更新
Windows 10 IoTの利用範囲は、想像以上に幅広い。今回はWindows 10 IoTを自社製品に採用し、新たなソリューションを生み出しているエプソンダイレクトに話をうかがい、製品と特徴と共にWindows 10 IoTの魅力を探る。
長期サポートにより資産を長期活用
最新の専用機向けOSであるWindows 10 IoTは、PCで使うWindows 10 Home/Proとは異なり、POS(販売時点情報管理)レジスターや飲食店の注文端末、工場などの管理端末などで利用されている。最近では銀行などの受付端末に導入されるなど、Windows 10が備えるタッチ操作の需要が高まっているという。
Windows 10 IoTは資産の長期利用が可能なOSだ。例えば、Windows 10 バージョン1809(October 2018 Update)をベースにしたWindows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCであれば、2029年1月19日まで。前バージョンとなるWindows 10 IoT Enterprise 2016 LTSBでも2026年10月13日までの延長サポート期間を設けており、専用機向けに開発したアプリケーションを長く生かせる。
Windows 10 IoTの採用は顧客、販売代理店、製造元にメリットがある
このWindows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCをプリインストールできるのが、エプソンダイレクト製のWindowsタブレット「Endeavor JN40」だ(※Windows 10 Home/Pro搭載モデルは「Endeavor TN40」)。2019年1月下旬に受注開始したばかりの新製品である。
エプソンダイレクト 営業推進部 エキスパート 平澤利哉氏は、Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSCを採用した理由を次のように語る。「顧客からいただくフィードバックには、『年2回の機能更新プログラムが煩雑だ』という意見が少なくない。実際にWindows 10でシステム構築した場合、機能更新プログラムの適用でアプリが動かなくなったという顧客もいた。Windows 10 IoTをお薦めすると喜んでいただける」。
また、「Windows 10 IoTであれば、販売代理店の手離れもよくなる」と同社 営業推進部 販売促進グループ 課長 手塚誠氏はいう。「販売代理店は、納品後にトラブルが発生したら対応せざるを得ない。機能更新プログラムでアプリの動作に不具合が発生した場合も同様だ。年2回の機能更新プログラムがないWindows 10 IoTは、販売代理店や現場からは高く評価される」(手塚氏)。
エプソンダイレクトは、Windows 7 Professional SP1 for Embedded Systemの頃から専用機向けOSを搭載したデバイスの開発を手掛けてきた。開発の立場でも、最新版のWindows 10 IoTは、「店舗の現場などでは、PC操作に不慣れなスタッフでも操作できるWindows 10のタッチUIの存在が大きい。これまでもタッチ操作の需要は高かったが、以前は高額な専用アプリやデバイスを用意しなければならなかった。Windows 10 IoTであれば価格を抑えつつ、自動サインインとデスクトップ表示をオフにするキオスクモードで専用アプリを実行するといったことができる」(平澤氏)と高く評価する。
そのほかにも、Windowsの開発環境や、「誤った操作で不具合が生じてもOSの再起動で元通りになるUWF(統合書き込みフィルター)がある点」(平澤氏)も評定ポイントだと同社は強調した。
顧客目線で開発した「Endeavor JN40」のPOSレジ
Endeavor JN40は、タブレットおよびドッキングステーションの他に、グループ企業のエプソン販売およびセイコーエプソンが開発したレシートプリンターや、キャッシュドロアーと組み合わせてPOSレジなどの運用を想定している(タブレット以外はオプション)。
ドッキングステーションにはシリアルポート×2を完備する。「この時代にシリアルポート?」と首をかしげる読者も少なくないと思うが、「POSレジなど金融周りでは、今現在もUSBケーブルのように外れやすいI/Fではなく、シリアルポートに対する信頼が厚い」(平澤氏)のだという。飲食店などでは電子レンジが無線LANネットワークの安定性に影響を及ぼすため、ドッキングステーションには有線LANポートも備える。来店客の目に触れるドッキングステーション背面には、ケーブル周りをスッキリさせるためのACアダプター収納スペースとケーブルを隠すためのカバーがあり、見た目にも配慮している。
タブレットは、35/50/65/80度の4段階角度調整が可能で、持ち運ぶ必要のない用途に応じたバッテリーレスモデルも用意する。ドッキングステーションとタブレットのこれら一連の機能は、すべて顧客からのフィードバックによるものだという。サイズも顧客の声で決まった。Windowsタブレット市場では7~8インチや10インチがメインストリームだが、POSレジや受付端末として見た場合、「10インチでは小さい」というフィードバックが少なくないため、Endeavor JN40は11.6インチを採用している。
Endeavor JN40が備えるもう1つ特徴が、豊富かつ柔軟なスペックだ。メモリーは4~16GB、ストレージは128GB~1TB(M.2 SSD)まで幅広い構成をとることができる。また、一般的なWindowsタブレットと比較すると若干厚く感じるが、「フルHDMIやUSB Type-Aポートを備えるための厚み。もちろんMicro HDMIコネクターでタブレットを薄くすることは可能だが、顧客からの意見には『変換アダプターを使いたくない』が多かった。常設すると変換アダプター部分で外れてしまうケースがあり、あえてフルポートを選択している」(手塚氏)。
街の居酒屋や小売店などに導入されている注文タブレットは、iOSやAndroidを搭載した機種が少なくない。しかし、平澤氏は「(Azureを使った)バックヤードとの連携やアプリ開発環境を踏まえると、(他のOSよりも)Windowsが優れている」と説明する。
「1日修理」や無償の「貸し出しプログラム」を用意、医療現場での実績も
エプソンダイレクトでは、Endeavor JN40を含むWindows 10 IoT搭載デバイスで、最長6年の定額保守や、万が一ハードウェアトラブルが発生したときに土日を含めて1日で修理する「1日修理」、顧客が希望する構成で1カ月間の無償貸し出しを行う「貸し出しプログラム」など、法人顧客のニーズに応じた様々なサービスを用意している。顧客が使用する専用アプリやWindows 10 IoTの各種ロックダウン機能を含めたカスタマイズイメージを作成し、修理の際にも復元できる有償「キッティングBTO」サービスも選択可能だ。
このような法人向けサービスの充実から、前述したPOSレジの用途以外にも、医療現場などで引き合いが強い。「例えば、弊社顧客に電子カルテシステムを販売するSIerがいるが、病院側としては投資金額が大きいため長期にわたって使いたいという希望がある。最長6年の定額保守を高く評価いただいき、歯科系大手企業が多くの台数を導入した実績がある」(平澤氏)。そのほか、薬局やドラッグストアなどに設置する自動分割分包機でも使われている。
Windows 10といえばWindows Helloによる顔認証も有益な機能の1つ。Endeavor JN40ももちろんWindows Helloをサポートしている。「まだ顔認証機能を活用している顧客は少ないが、飲食店の調理場や工場では手袋をはめることが多く、指紋認証は難しい。現在は訴求段階だが、現場の利便性は大きく向上すると考えている」(平澤氏)。Endeavor JN40は手袋をはめた状態でも、感度を変更することでタッチ操作できる「手袋モード」も用意している。
デジタルサイネージにもWindows 10 IoT
エプソンダイレクトでは、デジタルサイネージに使えるシステムも用意している。デジタルサイネージでは、コンテンツのリモート配信やリモート保守を行う機能を実装しつつ、できる限りOS周りのトラブルを避けたいというニーズから、Windows 10 IoTの採用率が高いそうだ。
「デジタルサイネージでポップアップウィンドウが表示されたら致命的」と手塚氏。そのような理由からOSはWindows 10 IoTが選ばれる。
* * *
利用者の声を取り入れ、現場の使い勝手を真剣に考えて開発されたエプソンダイレクトのプロダクトは、安定性や長期運用を実現するためのOSであるWindows 10 IoTと見事なほどマッチングする。今回はEndeavor JN40のPOSレジや医療現場、デジタルサイネージでの活用事例を紹介したが、そのほかにも様々なビジネスシーンで業務課題を解決してくれる。興味を持った方は、エプソンダイレクトの「貸し出しプログラム」を利用して、自社のビジネスでの活用を考えてみてはいかがだろうか。
(提供:エプソンダイレクト)
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