QRコード決済のPayPayは、決済利用者に総額100億円を還元する「第2弾100億円キャンペーン」を2月12日に開始する。昨年12月に実施したものに続く第2弾で、1回の決済につき最大20%をPayPay残高として還元。より多くのユーザーがより長い期間還元を受けられるよう、還元額上限を1回あたり1000円とするなど条件を変更している。
わずか10日間で終了した前回のキャンペーン
登録者数は400万人にソフトバンクのサービスで最速
新しいキャンペーンについて同社の中山一郎社長は、「長い期間、繰り返しPayPayでの決済を利用してほしい。便利、安心、お得と思ってもらえるユーザーが一人でも増えることに注力したい」と強調する。キャンペーン期間は5月31日までとされている。
前回の「100億円あげちゃう」キャンペーンは、12月4日にスタートし、PayPay支払いで20%分のPayPay残高が還元されるというもの(1ヵ月で5万円まで)。総額100億円という多額の予算に加え、一定確率で買い物額の全額(1回10万円まで)が還元という射幸性も手伝って、わずか10日間で終了した。
このキャンペーンの成果として、中山社長は短期間で認知度が向上して利用者が拡大し、名称認知で業界トップ、サービス内容理解でも1位になったと強調。累計登録者数はサービス開始で400万を突破し、これは「(親会社の)ヤフーのサービスの中では最速で400万突破」なのだという。
PayPayでの支払いが発生した加盟店の数もキャンペーン前後で10倍の増加となり、高い送客数もアピールする。
前回の還元額は実際には115億円に達し、ソフトバンクとヤフーが10億円、PayPayが107億円を拠出した(2億円は保留中でまだ還元されていない)。100億円で終了のキャンペーンだったのだが、100億円に達した日の24時までに、さらに7億円積み増したという。
漏出していたカード情報を利用した不正利用が発生
セキュリティー対策にはさらに力を入れる
こうした成果を達成した一方、課題も浮き彫りになった。わずか10日間の期間中に4回もシステム障害を発生させ、悪意のある第三者によるクレジットカードの不正利用も発生。悪い意味でも話題となってしまった。
障害については、システムチェックの改善やアプリの処理速度向上などを実施して再発防止に取り組んでいる。不正利用に関しては、クレジットカード会社と連携して、不正利用が判明した分には全額をPayPayが補償する。
不正利用では、基本的にすでに漏えいしていたクレジットカード情報が悪用されたと見られている。セキュリティーコードを20回以上試行してカードを登録しようとしたケースは13件発生したという発表はすでになされているが、そのうち9件は不正利用ではなく、4件はPayPayでの取引の実績がなかったという。
PayPayは、インドの決済サービス「Paytm」をベースにQR決済に参入し、技術的な面でもアピールしてきたが、不正利用の対策は想定していなかった、もしくは間に合わなかったとみられ、問題を拡大させてしまった。中山社長は、繰り返し「反省を持って対策をする」と強調し、今後は不正利用を発生させない意気込みだ。
とはいえ、クレジットカードの不正利用自体は発生しているため、同社ではクレジットカードを利用してのチャージ上限を定めるなどの対策を実施したほか、3Dセキュアによる本人認証にも対応させ、セキュリティー向上を図っている。3Dセキュア非対応のクレジットカードについては、クレジットカード会社側に働きかけることで対応を促す方針。
なお、クレジットカードの不正利用額は「金額が3~4ヵ月で確定するため、あらためて公表する」(同)という。
「テクノロジーを駆使して監視体制を強化」という安全性への取り組みに加え、キャッシュレス協議会に参加して、キャッシュレス普及に向けて貢献していきたい考えだ。