Windows Subsystem for Linux(以下、WSL)には、wslconfig.exeというコマンドがある。これはディストリビューションを管理するためのもの。Windows 10 Ver.1809(October 2018 Update、RS5)から「/upgrade」オプションが増えた。オンラインヘルプには、「ディストリビューションを WslFs ファイル システム形式にアップグレードします。」とある。この「WslFs」とは何かについて少し調べた。
Windows Subsystem for Linuxのファイルシステムには
VolFsとDrvFsの2つがある
WSLには、2つの独自のファイルシステム「VolFs」と「DrvFs」がある。前者は、ディストリビューションがインストールされるファイルシステムで、Linuxのメインのファイルシステムに相当する。名称は「Volume File System」の意味と思われるが、最近のWSLでは、「lxfs」と表記される。後者は、WSL内からWindowsのNTFSにアクセスするためのもので「Drive File System」の略と思われる。
wslconfig.exeの「/upgrade」オプションは、VolFsをアップグレードするためのものだ。実行は簡単で、WSLが起動していないときにディストリビューション名を指定して実行すればよい(ディストリビューション名は「/list」オプションで表示できる)。
そもそもLinuxのファイルシステムとは?
Linuxのファイルシステムは複数あり、カーネル内でVFS(仮想ファイルシステム)として管理され、ファイルシステムへの操作は、すべてVFSに対する操作として実行される。このVFSの下に物理的なストレージを操作するファイルシステムがある。
Unix系OSでは、OSの管理する資源をファイルシステムとして管理する。たとえば、デバイスも「/dev」というパスを持つ「ファイル」として表現され、デバイスファイルへの書き込みが、デバイスへのデータ転送になる。また、Linuxカーネルなどの情報を「/proc」や「/sys」といった「疑似ファイルシステム」で表現している。
ファイルと同じくパスを使うことで、複数の同名の資源にユニークな名前を付けることができ、アクセスもファイルと同じようにすればよいのでソフトウェア開発が簡素化される。
話を戻すと、Linuxのファイルシステムは、VFSが持つメタデータなどを管理する必要がある。メタデータとは、ファイルの中身ではないが、ファイルに関連する情報(たとえば、ファイルの作成日時や、作成者など)をファイルシステム内でファイルに対応させる形で保持していなければならない。
また、Linuxのファイルシステムでは、シンボリックリンク(ソフトリンク)、ハードリンクなどのファイル構造を作ることができるが、その情報もファイルシステム内でなんらかの形で保持していなければならない。

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