今回レビューするスマートフォンは、ファーウェイの「HUAWEI Mate 20 Pro」だ。AIの処理能力を高めた最新プロセッサー「Kirin 980」と、Leica監修のトリプルカメラを搭載するハイエンドモデルで、まずSIMフリー版(実勢価格は12万830円)が2018年11月30日に発売された。1月11日にはソフトバンク版(月月割適用後の実質負担額は6万9120円)も発売され、SIMフリーとキャリアモデルが選べるようになっている。
海外でも高い評価で売れていることもあり、日本でも注目の集まっている端末だが、“ファーウェイ、大丈夫なのか?” と心配する人も少なくないだろう。12月に入って以降、カナダでCFOが逮捕されたり、アメリカの要請を受けて、日本政府が中国メーカー製の通信機器を排除する方針を示したり、いわゆる “ファーウェイ問題” が報じられている。
与党関係者が「ファーウェイ製品を分解すると余計なものが見つかった」とする報道もあったが、ファーウェイ日本法人が、それを「根拠のない報道」として否定している。ファーウェイ問題は米中の政治問題で、そこに日本が巻き込まれているという見方も強い。いまのところ、コンシューマー向けのデバイスの販売には影響はなさそうだが、今後の情勢も見守るべきであろう。
前置きが長くなったが、筆者は10月16日にロンドンで、この「HUAWEI Mate 20 Pro」が発表されて以来、いち早くサンプル機を借りて、使い勝手を試す機会に恵まれた。日本向けモデルも含めて、約2ヵ月ほど使った率直な感想を述べたいと思う。
撮る楽しさを広げてくれる超広角カメラ
HUAWEI Mate 20 Proの最大の魅力は、Leicaとの共同開発によるトリプルカメラに尽きる。3つのカメラは、焦点距離27mm(35mm換算)の広角カメラ(約4000万画素/F1.8)、焦点距離16mmの超広角カメラ(約2000万画素/F2.2)、焦点距離80mmの望遠カメラ(約800万画素/F2.4)という組み合わせ。
ちなみに、6月にドコモから発売された「HUAWEI P20 Pro」もLeicaのトリプルカメラを搭載している。ただし、超広角カメラは搭載されておらず、約4000万画素(カラー)+約2000万画素(モノクロ)+約800万画素(カラー/望遠)という組み合わせだ。
HUAWEI P20 Proでは、カラーとモノクロの2つの画像センサーが捉えた情報を融合して高画質を実現していたが、HUAWEI Mate 20 Proでは、カラーセンサーだけで Leica画質を実現しているとのこと。その結果、新たに超広角カメラを搭載できたわけだ。
モノクロセンサーがなくなったことによる画質への影響だが、筆者が撮り比べた限りでは、大きな差はないと感じている。HUAWEI Mate 20 Proには、AIによる被写体・シーンの認識機能があるが、AI認識による自動設定が改良されたようで、従来よりも自然な色の画像に仕上がる印象だ。
新たに追加された超広角カメラは、誰もが気にいること請け合いだ。広い画角で景色を撮影できることはもちろん、近い距離で建物を見上げるように撮ったり、超広角レンズ特有のパース(歪み)を生かして、遠近感を強調させた写真を撮ったりすることもできる。
デジタル一眼レフやミラーレス一眼を使っていても、焦点距離16mmで撮るには、それなりの価格のレンズを別途購入しなくてはならない。HUAWEI Mate 20 Proは、レンズを付け替えたりすることなく、気軽に超広角から光学3倍ズームを切り替えて撮影できるのだ。しかも、光学ズームとデジタルズームと超解像技術を融合するハイブリッドズームにより、5倍ズームまでは画質をほとんど劣化させずに撮影できる。
もちろん、絞り値を設定して背景ボケをコントロールできる「ワイドアパーチャ」や、 HUAWEI P20 Proで好評だった「夜景」モードも健在。インカメラはLeica監修ではないが、約2400万画素センサーで画質は良好。「ポートレート」モードは、ユーザーが好みのビューティー補正を調整できるようになっている。カメラの性能は、現在日本で買えるスマホの中で1、2を争うレベルと言って差し支えないだろう。
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