年末に大きな注目を集めたファーウェイ問題の先行きがいまだ見えないが、1月早々からモバイル業界が騒がしい。CES(だけ)ではない。アップルの業績見通し下方修正で幕を開け、その次にはクアルコムの訴訟が見出しを飾っている。
米国でFTC対クアルコムの訴訟がスタート
4日(現地時間)、米カリフォルニア州サンノゼの連邦地方裁判所で、米連邦取引委員会(FTC)がクアルコムを相手に起こした独占禁止法訴訟の審理がスタートした。
この訴訟は、スマートフォンのモデムチップとして大きなシェアを持つクアルコムがその立場を利用して、特許ライセンスに当たって条件を不当に釣り上げていたというもの。FTCがクアルコムを提訴したのは2017年のことだ。
クアルコムは3G、4Gなどの無線通信技術で特許を持っており、スマートフォンに同社のチップを採用するかどうかに関係なく、特許ライセンス料を払わなければならないとされている。これらは必須技術であり、FRAND(Fair, Reasonable and Non-Discriminatory:公正、合理的かつ非差別的に)条件でライセンスする必要がある。
ところが、クアルコムはスマートフォンメーカーに自社の条件を受け入れるよう強制していただけでなく、競合他社のチップを使わないことも奨励していたというのが、FTCの主張(このビジネスモデルを"No License-No Chips"と表現している)である。
対するクアルコムは自分たちのビジネスモデルは違法ではなく、総じて競争と価格低下を招くので消費者のためになると主張しているようだ。また、そもそも自社の立場は独占的でないことも強調している。たとえばファーウェイの場合、クアルコムのモデムを利用する比率は4分の1以下であり、サムスンも38%のデバイスでしか同社のモデムを利用していないという。
この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ