ポイントは啓蒙と教育、そしてITによる新たな属人化を避けること
導入の効果は大きかった。kintoneならそれぞれが個別に活動して、その記録を共有していけばいいので、作業のたびに必ず全員が集まる必要はなくなった。自宅や夜間でもPTA活動に参加できるようになったのだ。ビジネスで全国を飛び回っている四宮さん自身にも、大きな恩恵があったことは想像に難くない。
そのほかの課題もkintoneで解決できた。イベント準備の履歴や担当した人の名前が残るので、ノウハウが属人化せず、誰でも過去の運営事例を参考にできるようになった。アカウントごとにアクセス権限を管理できるので、個人情報に対するセキュリティも向上した。
「導入成功のポイントは、とにかく啓蒙、啓蒙、教育、教育です。『きんとーん』が共通単語にならなければ、みんなに使ってもらえません。また、100%のIT化にこだわらないのもポイントです。紙の方がいいもの、紙へのこだわりがあるものもありますから、それらは紙のまま残し、80%くらいの完成度で走り出すイメージでいるといいでしょう。あとは走り出してから運用に合わせてシステムを調整すればいいんです」(四宮さん)。
導入だけではなく、今後の運用も考えられている。そのひとつが、カスタマイズを避けて基本機能をフル活用するという運用方針だ。四宮さんはプロなのでカスタマイズももちろん可能だが、カスタマイズすればITに強い人への属人化が起きるのであえて基本機能だけで実現できることにこだわっている。「ジョイゾーではシステム39という、39万円の定額カスタマイズサービスを提供していますが、チーム応援ライセンスを使っている団体には同様のサービスを19万円で提供します。ぜひこちらもご検討ください」(四宮さん)。
ボランティアとしてPTAで活動しながら、その経験をビジネスにも活かしていくしたたかさ。もしかしたらこれこそがPTAへのkintone導入成功における最大のポイントかもしれない。