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遅滞するクリーンエネ開発、COP24合意でも残る「壁」

2018年12月18日 06時42分更新

文● James Temple

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気候変動の原因となる、温室効果ガス排出量を削減するために世界ができることは大きく2つある。1つはクリーン・エネルギーへの移行を加速するための公共政策や国際協定の制定、もう1つは、温室効果ガス排出量削減をより経済的かつ容易に実行できる技術開発のための資金提供だ。

その両方について、われわれは残念ながら失敗したようだ。

2015年に開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でパリ協定に署名した200近くの各国代表が、12月2日から14日まで、温室効果ガス排出量削減目標を達成するための追跡および報告ルールの決定のために、ポーランドに集まった。このCOP24の会議でアントニオ・グテレス国連事務総長が、「重要な問題の合意なしに崩壊する」事態を回避すべく、各国により大きな犠牲を払うよう訴えていることがAP通信によって伝えられた

すべての国が何らかの形で当初の約束を守ったとしても、地球の気温は(産業革命前比で)3℃以上も上昇する可能性 があり、科学者らはそうした事態を「壊滅的」だとしている。

3年前の パリ協定締結後、クリーン・エネルギーの研究開発投資を2021年までに倍増させる合意書に、20を超える国々が署名した(「Paris isn’t the only clean energy pact the US is fleeing」参照)。2018年3月には、この協定から発足したミッション・イノベーション・グループが、ブラジルや中国、インド、米国などの参加国がクリーン・エネルギーの研究開発投資のために出資した自己申告の資金額を強調した進捗報告書を発行している。

情報技術・イノベーション財団(ITIF)のコリン・カンリフ上級政策アナリストによれば、現状、参加国は2021年までにクリーン・エネルギーの研究開発費を約75%増やす方向に向かっている。大きな進歩のように聞こえるが、目標値の達成にはほど遠いという。

カンリフ上級政策アナリストは、この数字は一貫性のない方法で算出された自己申告の結果であり、参加国が他の場所で発表している数字と異なっているという。

カンリフ上級政策アナリストは、パリ協定参加国の多くが加盟している国際エネルギー機関(IEA)が発表している投資額を信頼できると考え、その数字を基に推定した。それによれば、参加国が5年間のうちに増資するクリーン・エネルギーの研究開発費は、50%を少し上回る程度になるという。 カンリフ上級政策アナリストは先週、 ブログ記事 に「倍増にはほど遠い」と書いている。

カンリフ上級政策アナリストは、「ミッション・イノベーションは気候変動問題を解決すべく3年前に作られました。いま、問題の緊急度はさらに上がっています」と述べる。「現在の一連のクリーン・テクノロジーでは、将来達成可能なコスト削減を考慮に入れても、ゼロ炭素エネルギー・システムを達成するために必要な、大幅な排出削減を推進するには不十分です」。

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