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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第243回

スマートホーム普及に必要なピースは設置のサポート

2018年12月14日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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 スマートホームについては個人的な関心もあって、自分の家での体験を含めて、経験を積み重ねているところです。ここ5年ほどの感想としては、スマートスピーカーが先行して普及している状態で、家の中に追加されるデバイスが充実したかと言われればそうでもありませんでした。

 興味はあるけれども、なかなか難しい、スマートホーム市場は世界的に、そんな状況を抱えているように感じています。

まだ利用できるエリアが限定的ですが、EnjoyはGoogleなどと提携し、スマートホーム機器購入者に設置サービスを提供しています

スマートホーム普及での最大の問題は必然性?

 皆さんは今住んでいる家の中で、どんな機器や設備が「スマート化」したらいいと思いますか?何か不便なことはあるでしょうか。テクノロジーの活用を考える上で、とくにスマートホームの場合、「強烈な不便を解決する」という勢いのような動機がなかなか見いだせない点が問題だと思っています。

 筆者の家の電球は取りあえず全部フィリップス「Hue」というスマート電球に変えました。これによって、スマートスピーカーや手元のiPhone、Apple Watchから声で電気を付けたり消したりできます

 アメリカの古い住宅の場合、照明は部屋の四隅にスタンドを建てるケースが多いのです。なので、声で部屋中の電気を一度に点けられると非常に便利になります。

 しかし、日本はどうでしょう。部屋の入口付近にスイッチがあり、部屋中の電気を一度にオン/オフできる仕組みが整っている住宅がほとんどではないでしょうか。スマートスピーカーで声でコントロールできると、スイッチまで歩きに行く必要はなくなります。ただ筆者だけかもしれませんが、部屋に1人のときも、部屋に誰かがいるときも、どうも発声するのが気恥ずかしいというか……。

機器単体であれば
すでに万全の心配りがなされている日本の家電

 そのほかのデバイスでも、必然性を探すのは結構面倒です。

 たとえば洗濯機。確かに汚れ具合をスマホから設定して最適な洗い具合にしてくれればより環境にも優しい選択が可能かもしれません。しかしそれを実現するには設定する人が、機械の特性と汚れ具合を正確に判断して、設定する必要があります。それって可能なのでしょうか。

 だったら、洗濯機側のセンサーがこれ以上汚れが出てこないところまで洗うという制御をすればよさそうです。その方が筆者は賢いと感じます。あとは、終了時間をスマホに通知してくれさえすれば十分です。

 スマートフォンでは、今まで電話ではやらなかったことが習慣になるという現象によってライフスタイルの変革のドライバーとなりました。しかしスマートホームの場合、日常が新たに作られるというよりは、日常を便利にする方向に終始している印象があります。特に日本の家電は機能、性能、便利さなどで優れており、スマホやインターネットを介在させてまでやりたいことを見つけるのが大変と言えます。

 お米の銘柄ごとに炊き方をコントロールできる炊飯器、なんてその場で思いつくようなモノは、すでに実現されているわけです。しかもアイリスオーヤマの非常にお買得な炊飯器でも。

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