――2つ目のライトな方々に対するタッチポイントを現在持っていないとのことですが、ここに対してはどのようにアプローチするのでしょうか?
須原 例えば9月に開幕したキリンチャレンジカップ、ワールドカップ後であることもあり盛り上がっています。ですが、仮に6回全部試合に足を運んでくれたとしても何のメリットも差し上げていません。ロイヤリティプログラムがないからです。
Jリーグにはファンクラブがあります。FC東京が好きで、サムライブルー(日本代表)に興味がないという人もいますが、両方応援しているファンもいらっしゃいます。そのような人たちに対して、日本サッカー協会は何も便宜を図っていないのが現状です。
そのような方々に相応のプレミアムサービスを提供することは、ビジネスの感覚からすると当たり前ですが、この当たり前のことを今からやろうとしているのです。エンドユーザーの方々にメリットを感じていただくことが最優先です。そのような施策に順番に取り組みます。そうすることでタッチポイントができます。双方向のコミュニケーションが増えて顧客情報がたまってくると、BtoBのスポンサーに対して我々が提供できる付加価値が広がります。
これは先ほどお話したスポンサー企業の課題に通じるもので、企業により大きなメリットを提供できます。
――個人情報を取得するためにどのような方法を考えているのでしょうか?
須原 日本代表の試合に来場する4万人、5万人の方も重要ですが、JFL、関東・関西・東海など協会の試合、都道府県協会の試合などに足を運んでいるのがどのような人なのか、何に興味があり、どんな行動パターンがあるのか――この情報は価値が高いと思います。ところが現在、インフラ上にボトルネックがあります。Jリーグならホームグラウンドを持っているので、リーダーを常時設置しておけばJリーグIDを取得できます。ですが、サッカーは毎週、毎節でグラウンドが異なるし、(リーダー設置が難しい)河川敷でやることもあります。
エンドユーザーのIDがスマートフォンの中に入っており、ポータブルなリーダーがあれば、取得できるでしょう。我々がリーグ、都道府県などにポータブルなリーダーを配ってIDを取得してもらうことが考えられます。この仕組みを外部にご協力いただきながら、考えているところです。日本サッカー協会にはテクノロジーも資金もないので、スポンサー企業に技術を出してもらいます。
――リーダーの設置は手間でもありますが、それ以上のものを日本サッカー協会として返すことができるということですね。
須原 そうです。ですから、この部分を説明し、賛同してもらえるように丁寧に進めます。
日本サッカー協会は日本のサッカー界の頂点に位置していますが、やると言ったことがすぐにできるような組織ではありません。やっていただくのは都道府県協会や連盟、Jリーグです。ビジネス界のように一筋縄では行かず、簡単ではないのです。ここは我々にとってのチャレンジで、今回求めるプロ人材につながります。
