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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負 第30回

坂本龍一のBTTB20周年リマスター盤なども

麻倉推薦:ヒラリー・ハーンのバッハは素晴らしいのひとこと、MQA音源も増加

2018年10月06日 12時30分更新

文● 麻倉怜士 編集●HK(ASCII)

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『レゾナンス ~チェロ二重奏~』
安田謙一郎、藤村俊介、鴨川華子、宮坂拡志

推薦

 実に暖かく、ゆったりとした、安寧な響き。音の動きをそのディテールに至るまで、徹底的にすくい取るという高解像度指向ではなく、ある離れた距離から、チェロの直接音と会場に拡がる間接音を同時にたっぷりと豊かに感じようという録音方針と聴いた。ロッシーニの「チェロとコントラバスのための二重奏曲」には、直接音の細部の表現までこだわったカメラータ・トウキョウ音源の名アルバムがあるが、安田アルバムは、豊かなソノリティと、響きの美しさを堪能。

FLAC:192kHz/24bit、96kHz/24bit
WAV:192kHz/24bit、96kHz/24bit
DSF:11.2MHz/1bit
マイスターミュージック、e-onkyo music

『アダージョ ~グラスハーモニカ作品集~』
ウィーン・グラスハーモニカ・デュオ

推薦

 9月の始めにヴェネツィアに行き、ガラス細工で有名なムラーノ島で遊んでいたら、クリヤーで飛翔感の高い音が、聞こえてきた。グラス・ハーモニカの大道芸だ。ムラーノのガラス工芸にちなんでの道ばた演奏だが、ここまで多彩な旋律とハーモニーが出せるのか、驚嘆した。

 それはともかく、マイスターミュージックの新譜。典雅にして繊細、そして透明で美しいグラス・ハーモニカ。モーツァルト「そりすべり」では18世紀のウィーンの貴族社会の音が聴け、サティ「グノシエンヌ」では不思議で神秘な香りが漂い、「シュタイヤー風舞曲」ではチロル民族的な舞曲が懐かしさを奏で、「小妖精」ではまるで森の中に迷い込み妖精と邂逅するような気分。グラス・ハーモニカは、他の楽器では得られない豊かなイマジネーションを聴く者に与えてくれる。

FLAC:192kHz/24bit、96kHz/24bit
WAV:192kHz/24bit、96kHz/24bit
DSF:11.2MHz/1bit
マイスターミュージック、e-onkyo music

『Love Is Here To Stay』
トニー・ベネット、ダイアナ・クラール

推薦

 トニー・ベネットは92歳。老いてますます盛んだ。ダイアナ・クラールとのデュエットでの生誕120周年のガーシュウイン作品集。これまで個別に録音していた有名曲が、天下のデュエットで聴けるのは嬉しい。

 音的な特徴は,ヴォーカルだけでなく、バックのバンドの音も、豊かなリバーブが与えられていることだ。ビアノの音像がヴォーカルとほぼ同様サイズで、ピアノが重視されたプロデュース。ふたりとピアノの協演のような雰囲気だ(バックはビル・チャーラップ・トリオ)。ヴォーカルの響きが深く、豊かなソノリティが特徴だ。まさに緻密なスタジオワークでのみ成し遂げられる至宝的なサウンド。ニューヨーク、アヴァター・スタジオ及びエレクトリック・レディ・スタジオにて録音。

FLAC:96kHz/24bit
Velve、e-onkyo music

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