ガンホー・オンライン・エンターテイメント 森下一喜社長(左)、レベルファイブ 日野晃博社長(右)
「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)を運営するガンホー・オンライン・エンターテイメントが27日、スマートフォン向け新作ゲーム「妖怪ウォッチ ワールド」を発表。同日にiOS/Android OS向けに配信を開始した。
現実世界を反映したマップにあらわれる「妖怪ウォッチ」のキャラクター(妖怪)を見つけ、カメラで現実空間に重ねる形で表示し(拡張現実)、バトルを通じて妖怪を集めるゲーム。妖怪ウォッチシリーズを手がけるレベルファイブとの共同開発。同日開催の発表会でガンホー森下一喜社長は「社員にも秘密にしていた」と、極秘裏に開発を進めていたことを明かした。
妖怪ウォッチ ワールド プレイ画面
仕組みがナイアンティック「ポケモンGO」に似ているためSNSでは「妖怪ウォッチGO」とも表現されたが、ゲーム内容は性質の異なる部分が多い。
ポケモンGOは歩いているだけでポケモンがあらわれたが、妖怪ウォッチ ワールドは「サーチ」機能を使わなければ妖怪が姿をあらわさない。一旦足を止めてプレイをすることで「歩きスマホ」の抑止にもつなげるねらいだ。また、ポケモンGOのバトルは「モンスターボール」をスワイプで投げるだけの簡単なものだったが、妖怪ウォッチ ワールドは本家妖怪ウォッチを思わせる戦略性ある内容だ。
また妖怪ウォッチ ワールドではマップに妖怪だけではなく他のプレイヤーを表示し、プレイヤー同士の交流をうながすようなゲーム要素をもっている。具体的には、他のプレイヤーに妖怪キャラクターを「憑依(ヒョーイ)」させることで、遠くの妖怪キャラクターを集められるようになる機能がある。たとえば妖怪を憑依させたほかのプレイヤーが大阪に行けば、大阪の妖怪が仲間になる可能性ができる。
プレイヤーの表示にあたってはプライバシーを考慮して、直径1km圏内のプレイヤーをランダム表示する設定にしたという。位置を特定されないようアイコンやアカウント名を匿名化する「カモフラージュモード」も用意した。
最後にマップは立体的な3D表示だ。ゲームエンジン「Unity」に対応したGoogleマップAPIを使い、東京タワーや新宿ゴールデン街のような建造物をわかりやすく表示する。「妖怪ウォッチ版Googleマップ」のようなイメージで、ポケモンGOのシンプルな2Dマップとはかなり様相が異なる。同技術はグーグルが今年3月に発表したばかりのもの。同作はGoogleマップ内の建物に特別なディテールを表示する「パラペット」機能に対応した初めての例になるという。
まとめると、バトル時のゲーム性が強く、プレイヤー同士の交流要素が色濃く、最新の3Dマップを使っているところが、ポケモンGOとの大きなちがいになる。
マネタイズはガシャやゲーム内アイテムなどゲームの有料アイテムが中心だ。低年齢層にファンが多い妖怪ウォッチの特性からも、レアな妖怪がほしいときアイテムを購入するという程度の要素になり「廃課金するような設定にはしていない」(森下社長)という。ナイアンティックが「ポケモンGO」で展開してきたような、ゲームを通じた企業とのタイアップも運営しながら考えていきたいそうだ。
なおガンホーではパズドラIPを使った位置ゲーム「パズドラレーダー」を配信している。サーチ機能などは同作の継承だ。ポケモンGOを「意識しなかったといえばウソになる」(森下社長)としながら、2016年7月配信のポケモンGOより同年3月配信のパズドラレーダーを先行作ととらえていると話していた。
ガンホーの課題は「パズドラ頼み」の解消だ。