このページの本文へ

UIやユーザー管理、アーカイブをメールシステムと一元化、サイバーソリューションズ「CYBERCHAT」

「メールはもう限界」メール専業会社が新ビジネスチャット発表

2018年06月26日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 メールシステム専門のソフトウェア開発会社であるサイバーソリューションズが2018年6月25日、新製品のビジネスチャットツール「CYBERCHAT(サイバーチャット)」を発表した。同社製のメールシステムと機能統合されている点が特徴で、ユーザーアカウントやメッセージアーカイブなどもメールと一元的に管理できる。今年10月からの販売開始予定。

ビジネスチャットツール「CYBERCHAT」のインタフェース概要。同社メールシステム「CYBERMAIL」とのシームレスに統合されている

サイバーソリューションズ 代表取締役社長の秋田健太郎氏

「すべての社内メールを置き換える」チャットツールとして開発

 2000年設立のサイバーソリューションズは、累計で1万5000社/150万アカウント以上の導入実績を持つメールシステム専門のソフトウェアベンダー(ISV)。オンプレミス型のWebメール一体型メールサーバー「CyberMail」と、そのクラウドサービス(SaaS)版である「CYBERMAILΣ」、監査対応のためのメールアーカイブツール「MailBase/MAILBASEΣ」、メール無害化ツールなどを提供してきた。

 そんな“メール専業”のサイバーソリューションズが新たにビジネスチャットツールをリリースする理由について、同社 代表取締役社長の秋田健太郎氏は、今までのメールシステムが「限界」を迎えており「これからのメールシステムが必要」だと考えたからだと説明する。

 そもそも企業のEメールは「社外」に向けた「フォーマルな」連絡手段として使われてきた歴史的経緯があり、現在の「社内」コミュニケーションツールに求められる「インフォーマルさ」や「インタラクティブ(リアルタイムのコミュニケーション)」「コラボレーション(柔軟なチーム/グループ化)」「イノベーション(機能的な新しさ)」といった性格を十分には満たしていない。

 そうした背景から近年、さまざまなベンダーがビジネスチャットツールの提供を始めているが、ここにも課題が生じていると秋田氏は指摘する。たとえば、社内のチーム/部門が個別に“シャドーIT”として導入してしまうため全社共通のコミュニケーションツールとして浸透しない、管理者も不明でガバナンスが効いていない、メールのようにやり取りがアーカイブされておらず監査/コンプライアンス面で問題がある、といった課題だ。

 そこでサイバーソリューションズでは「すべての社内メールを置き換える」ためのツールとして、今回のCYBERCHATを設計、開発した。従来のメールシステムと同様に、会社規模が大きくても「簡単に管理できる」「全社員が使える」「すべてのメッセージがアーカイブできる」ことを基本コンセプトとしている。ちなみに同社調査によると、企業でやり取りされるメールのうち「社内メール」はおよそ40%を占めるという。

CYBERCHATは、メールシステムにCYBERMAILを採用している顧客向けに開発された、約40%を占めるすべての「社内メール」を置き換えるチャットツール

アーカイブで監査にも対応、「チャットというよりも『これからのメール』」

 今回発表されたCYBERCHATは、同社のメールシステムであるCyberMail/CYBERMAILΣを導入済みの顧客に提供されるクラウドサービス(現在のところオンプレミス版の提供予定はなし)。メールアーカイブのMailBase/MAILBASEΣとも連携する。

 ユーザーインタフェース(UI)は、同社CYBERMAILのWebメールツールに統合されており、アイコンをクリックすればシングルサインオンでチャット画面に遷移できるほか、メール画面上にチャットのタイムラインを表示することもできる。この簡潔なUIにより「社外はメール、社内はチャット」の使い分けが誰でも簡単にできるという。

 メッセージの中ではビジネス向けデザインのスタンプが利用できるほか、ファイルの添付も可能。メッセージの既読/未読確認や全文検索、ユーザー/タグによるフィルタリング、メンションなどの機能も備える。

 管理面では、CYBERMAILのユーザーアカウント情報がそのまま同期されるため、管理者は再登録する必要がなく、全社員での導入も容易になる。階層型アドレス帳、管理権限の委譲、公開/非公開ルームの設定、ルームのグルーピングといった機能も提供される(一部機能は2019年にかけて実装予定)。アーカイブ製品との連携により、チャットのメッセージもすべて改竄不可能なかたちで保存され、監査/コンプライアンスにも対応する。

ユーザーアカウントや利用権限、アーカイブなどはメールシステムと一元管理できる

 提供開始時期は、クラウドサービス(CYBERMAILΣ)対応版が今年10月から、オンプレミス(CyberMail)対応版が来春(2019年春)からの予定。利用料金(税抜)は1ユーザーあたり月額200円。加えて初期登録料5万円がかかる。なお2019年9月末までは、「リリースキャンペーン価格」として1ユーザー/月額150円で提供する。さらに、導入から6カ月間を無償試用期間とする「半年間無料キャンペーン」も行う。

 CYBERCHATについて秋田氏は、従来の「メール文化」の延長線上にあるツールであり、まったく新たなコミュニケーションツールを導入するというよりも「社内メールのメーラー(メールソフト)のインタフェースが変わる、というイメージ」で、「これからのメールシステム」として設計していると説明した。

 同社ではまずメールシステムの既存顧客をターゲットに展開していく方針で、2019年中に累計40万アカウント、2020年末までに同200万アカウントの販売を目標としている。

 さらに秋田氏は、サイバーソリューションズは今後、メールシステム専門企業から「ユニファイドメッセージング専門企業」へとビジネス領域を拡大していく方針であり、来年2019年にはクラウドストレージ基盤や音声通信システムを、さらにその先にはグループウェアやWeb会議システムをリリースすべく検討を進めていると説明した。

カテゴリートップへ

ピックアップ