余波は他の企業にも
ここ数ヶ月でZTEの株価は4割も下がっており、一旦業務再開にこぎ着けたところでこれまでのような成長路線に戻すことは難しいだろう。端末はもちろん、金額が大きいネットワーク機器は製品寿命も長く、敬遠する事業者が出るかもしれない。余波は、ZTEと同様に端末、無線ネットワーク機器と両方を手がけるHuaweiにも少なからずありそうだ。
米国ではHuaweiに対して厳しい見方をする議員もいるようだ。なお、HuaweiについてはZTEのような制裁対象国に輸出していたという事実はなく、感情的なもののようだ。なお、端末という意味ではHuaweiは米国4位のZTEより知名度は低い。1月に米国のキャリアショップ(Verizon)を訪問した際、ショップマネージャーはHuaweiという名称すら知らないようだった。
オーストラリアでは6月に入り、5Gのネットワーク機器でHuaweiの使用を禁じる動きが出ている。重要なインフラが中国にコントロールされるのはという懸念のようだが、これに対しHuaweiは公開書簡を発表、「事実に基づいていない」と反論している(http://huaweihub.com.au/huawei-is-good-safe-for-australia/)。
英国では国家サイバーセキュリティセンター(National Cyber Security Centre)が国内の通信事業者にZTE製機器とサービスの使用は国家保安上のリスクがあるとしている。つまり、中国政府が情報を不正に得ているのではないかというものだが、Cambridge Analyticaとの情報の不正流用が発覚したFacebookは、Huaweiを含む多数のデバイスメーカーとデータ共有していることが話題になっている。Facebookはいうまでもなく米国企業だ。
筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ