テラバイト級の4K/8K映像も扱う10ギガネットワーク必須の業務環境、サウンド・シティに聞く
iMac Pro導入、映像のプロが10GbEスイッチにネットギアを選んだ理由
2018年06月07日 08時00分更新
サウンド・シティは、音と映像の総合ポストプロダクション企業だ。たとえばプロアーティストの楽曲レコーディングやミックスダウン、映画やCMのためのナレーション収録や音制作、またノンリニア編集システムによる映像編集や合成といった、音と映像にまつわるプロフェッショナルサービスを提供している。
坪井忠さんは、そのサウンド・シティ本社でエディターを務める人物である。CM制作会社などクライアントから持ち込まれるビデオ素材に対し、「Adobe Premiere」や「Autodesk Flame」といった映像編集制作ソフトウェアを駆使してグリーンバック合成(背景映像合成)やビジュアルエフェクト(VFX)の処理を行うのが、坪井さんらエディターの主な仕事となる。
4K/8K映像への対応が求められ「iMac Pro」導入へ
音と映像のプロフェッショナルサービスを行う企業として、1961年設立のサウンド・シティでは常に先進的な設備や機材を導入し続けてきた。たとえば1980年代のデジタルレコーディングに始まり、90年代のノンリニア編集システム、2000年代のHD映像など、新たな技術ニーズを先取りしていかなければクライアントの期待に応えられないからだ。そして現在は「4K映像への対応」が課題になっているという。
「テレビ放送用の場合、最終的にはフルHD(1920×1080ピクセル)画質の映像を納品すれば良いのですが、持ち込まれるビデオ素材としては4Kや8K(それぞれ3840×2160、7680×4320ピクセル)のものが増えてきました。また、Web配信用や大型デジタルサイネージ用など、4K映像として納品してほしいというケースも徐々に増えつつあります」
坪井さんらエディターが映像加工/編集の作業を行うのが「編集室」と呼ばれる部屋である。本社に7室あるこの編集室には、これまでアップルの「Mac Pro」が設置されていた。アップルが誇るハイエンドワークステーションだが、4K映像をスムーズに処理するためには「正直なところ、Mac Proでも少し厳しかった」と坪井さんは語る。今後さらに4Kや8Kの映像業務が増えることを考えると、ここはぜひ改善したいところだ。
そんなとき、アップルからiMacのハイエンドモデルである「iMac Pro」が発売された。2017年12月のことだ。当然、サウンド・シティでもこのハイスペックマシンに注目が集まった。
「スペックの高いiMac Proを導入すれば作業時間が短縮できるのではないか、ということで、さっそく(2018年)2月中旬に1台購入し、ソフトウェアを入れて実稼働させてみました。実際に良い結果が出たので本格導入が決まったのですが、問題になったのが『10ギガネットワークも必要だ、どうする?』ということでした」
扱うビデオ素材はテラバイト級データ、10ギガネットワークが不可欠
実は、サウンド・シティでは以前から10ギガビットEthernet(10GbE)ネットワークを構築、利用してきた。10GbEにとどまらず、2つのフロアスイッチ間(地下1階、地下3階)を結ぶ回線は40GbEとかなり大容量だ。
作業を始めるにあたってはその素材データをファイルサーバーから手元のMacにコピーし、その日の作業が終われば加工編集済みデータを書き戻すのが基本となる。しかし前述のとおり、同社に持ち込まれるビデオ素材は4K/8Kのものが増えており、そのファイル容量はテラバイト級になることも少なくない。こうした大容量データになると、1GbEのスピードでは到底業務に追いつかないのだという。
「単純に理論値で言っても、1ギガネットワークならば1TBデータの転送に2時間半ほどかかる計算です。実際の環境ならばその数倍は遅いでしょう。これが10ギガネットワークであれば、理論値で15分ほど、実際の環境でも30分から1時間もあれば転送できます。これならば、急ぎの作業依頼で当日にビデオ素材が届いても、その日のうちに作業を終えられます。作業マシンの10ギガネットワーク対応は必要不可欠なのです」
ただし、これまで使ってきたMac Proは外付けインタフェースを介した10GBASE-SR(光ファイバケーブルによる10GbE)接続だった。一方で、新しいiMac Proは標準で10GBASE-Tインタフェースを内蔵しており、カテゴリ6a/7の銅線ケーブル(いわゆるLANケーブル)で接続しなければならない。そして、サウンド・シティが導入している40GbE対応のフロアスイッチは、10GBASE-T対応のコンバーターが用意されていなかった。
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