メンテ代はハンヴィー自身が稼いでくれたりしています
この連載で何度か登場しているハンヴィーは、米軍払い下げ品というちょっと特殊なクルマ。道端で声をかけられて、公道を走れるんですか!? と驚かれることがありますけれど、ちゃんとナンバーが付いてますし、もちろん車検証も発行されています。
ふだんは移動用として使っていて、アメ車や軍用車のイベントなんかがある時は参加して展示しています。また、撮影に使いたいとかイベントで展示をしてほしいとお声がけいただくことがあり、そういう時は仕事としてレンタルもしています。ハンヴィーのメンテナンス代はハンヴィー自身に稼いでもらう感じです。
これまでにお仕事として受けたのは、雑誌の取材や、東京マルイのエアガン「HK416デルタカスタム」のプロモーションビデオ出演&イベントでの展示、映画HiGH&LOWの「MIGHTY WARRIORS」ミュージックビデオへの出演、「SAOオルタナティブ ガンゲイル・オンライン」のイベント展示などなど。
先日も走行を含むちょっとハードな撮影に貸し出したため、足廻りを中心にメンテナンスを受けました。前回はハンヴィーのちょっと変わった足廻りをご紹介しつつ、ブレーキフルードやオイルの交換の様子をお伝えしましたが、今回はその続きから。
ボールジョイントとATFを交換
オイル類の状態は想定の範囲内で特に問題はなかったんですが、左のリアタイヤを支えているアームのゴムブッシュが潰れてしまっていました。
ハンヴィーのサスペンションはダブルウィッシュボーンという方式で、タイヤを取り付ける部分を上下のアームで挟んで支持する構造になっています。アームの先端にはボールジョイントがあり、ゴムブッシュをクッションにして繋がっているんですが、このブッシュが潰れてしまったためボールジョイントもダメになっていたのです。
ボールジョイントがおかしくなると具体的にどんなイヤなことが起こるかというと、キコキコカタカタといった異音がしたり、乗り心地が悪くなったり、最悪走行不能になるなんてことも。あまりにひどい状態だと車検に通らないなんてこともあるそうです。そういえばうちのハンヴィーは車体が上下したときにキコキコ鳴ることがあるので、まさしくこの症状。今すぐ走れなくなるというわけではないですが、ボールジョイントごと交換してもらいました。
続いてはATFの交換です。ATFはオートマチックトランスミッションフルードの略。ATの作動油で、ギヤの潤滑や冷却といった通常のオイルのような役割のほか、エンジンの出力伝達や、適切なギアに自動的に変えるシフト制御というとても大事な役目も果たしています。ATFが劣化するとシフト時にショックが大きくなったり、ギアが滑って加速しにくくなったり、シフトチェンジのタイミングがおかしくなったりすることもあります。
一時は交換不要とされたこともあるんですが、現在では10万キロでの交換が推奨されているのだとか。特に不具合は感じていないのですが、なんせ払い下げ品なのでこれが正しい状態なのかどうかがわかりません。まだ5万キロ弱しか走っていませんが、交換しておけばベストを知ることができるので、作業をしてもらいます。
ATFは下から抜いてもAT内部に半分近く残ってしまうらしく、交換には専用のチェンジャーを使うそうです。詳しくは知らないのですが、古いATFを4分の1ぐらい抜いたらその分を継ぎ足し、また抜いて継ぎ足しというのを自動的に繰り返す機械らしいです。
ATFを交換したことでわかるとおり、ハンヴィーはATです。軍用車ってなんとなくマニュアルのイメージがありますが、いまどきはみんなAT。AT限定免許で運転できちゃいます。
免許の種類も普通免許でオーケー。去年準中型免許ができて、普通自動車の規定が従来の車両総重量5t未満、最大積載量3t未満、乗車定員10人以下から、車両総重量と最大積載量がそれぞれ3.5t未満、2t未満に下げられました。そのため準中型が必要と思われがちなんですが、うちのハンヴィーは3.42tでぎりセーフ! 最大積載量は0.5tしかないし乗車定員もデカいくせに4人なので余裕です。ちなみにこの条件を見てわかるとおり、免許区分に車体サイズは関係ありません。
アライメント調整でハンドルが真っ直ぐに
これでオイル類の交換は終了。下廻りが汚れていたので、高圧洗浄をしてくれました。高圧洗浄機欲しいなぁ。
あとはエアフィルターの交換。ケースを開けてみたら純正の米軍のものではなく、K&NというメーカーのハマーH1用フィルターが入っていました。K&Nのフィルターって、若かりし頃に乗ってたAE86レビンやFC3S RX-7で使ってたんですよね。懐かしいぃぃ。
K&Nのフィルターはフィルターオイルを染み込ませた湿式と呼ばれるタイプで、メンテナンスすれば半永久的に使えるんですが、今回は交換して、古いフィルターは予備として保管することにしました。
最後はアライメントの調整です。アライメントというのは、タイヤを上や前、横から見たときのタイヤや軸の傾き角度のこと。ふだんはいじる必要はありませんが、今回サスペンションをバラしたため狂っている可能性が高く、調整が必要なのです。アライメントがおかしくなっているとフラついたりハンドルのセンターがズレたり、曲がりにくい、曲がりすぎる、タイヤの減り方が偏るなどの症状が出てしまいます。
こうしてすっかりリフレッシュされたハンヴィー。作業が終わったとの連絡を受けて取りに行きました。
そういえばハンドルを取られることが度々あったから、もしかしたら以前からズレてたのかも……なんて思いながら運転席を見てみると、なんとハンドルの角度が変わっていました。センターがズレていたのです。
クルマのハンドルは軸にギザギザが付いていて角度を微調整できるのもあるんですが、ハンヴィーのハンドルは位置が決まっていて微調整ができません。マニュアルを見ても正しい位置がわからなかったので、Y字じゃないのが正しいのかなと思ってたんですが、やっぱり違ったみたいです。まぁ見るからにナナメってますもんね。
受け取ってからあちこち走ってみたんですが、キコキコという音もしなくなったし、ハンドルを取られるようなこともなくなり、共振して鳴っていたビビリ音もなぜか消え、当分の間は快適に乗れそうです。もっと早く調整してもらえばよかったなぁ。
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