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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第210回

新たな企業に買収されたFlickrはまだまだ生き続けそう?

2018年04月25日 10時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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 春になって外を歩くのが気持ちよくなったからでしょうか、ついつい写真の話題に敏感になってしまいます。新しいカメラ、新しいアプリなど、写真に関するいろいろな情報がセンサーに引っかかるようになって、ますます散歩に出歩くのが楽しくなってきます。

 先週はInstagramがFacebook傘下だと知らない米国人が6割もいる、という話題を紹介しました。今回は、そのInstagramにモバイルフォト分野の競争で破れながらも、依然として一定のネームバリューがあり、多くの人に大切にされている写真サービス「Flickr」についてです。

日本ではやや影が薄くなったFlickrですが、海外では熱心な写真好きに支えられ、いまだ元気があるサービスです。ただ、大量の写真を1つのサービスに貯め込むと乗り換えが難しいわけで、Flickrは今後も生き続ける、そして時代に合った進化を続けてくれるのでしょうか。

実はSlackの共同創業者が立ち上げていたFlickr

 Flickrは、無料で1TB、年間約25ドルの有料プランならば無制限に写真を保存することができるフォトコミュニティです。カナダ・バンクーバーに本社があったLudicorpが2004年2月に立ち上げたサービスですが、実はネトゲ(MMO)向けツールをビジネス化したものでした。

 Flickrの創業者はStewart Butterfield氏と当時の妻Caterina Fake氏。Butterfield氏はその後に、ビジネスチャットプラットホームを提供するSlackを立ち上げた人物でもあります。

 ユーザーは写真を投稿する際に、タイトルや場所、そして任意のタグを付けることができ、個人が写真を保存したりブログ向けの画像サーバとして活用することができ、またそうした写真を共有する場としても成長しました。

 たとえば一眼レフカメラを選ぶ際には、Flickrに投稿されている写真から、同一の機種で撮影した写真を絞り込むことで、どんな画質なのかを知ることができます。またiPhone 4以降は、iPhoneで撮影された写真が上位を占めるようになり、スマホカメラ時代への転換をいち早く察知できる場ともなりました。

 2005年にFlickrは米Yahooに買収されました。しかし日本のヤフーとはアカウントシステムを共有していないため、米Yahooのアカウントが必要でした。その米Yahooアカウントは2013年の大規模ハッキングで30億件が被害に遭っており、当然Flickrユーザーも含まれる結果となりました。

 そのYahooは米国最大の携帯電話キャリア、Verizonに買収され、すでに買収済みだったAOLとともにOathに統合。FlickrもOathの傘下のサービスになっていました。

YahooからFlickrを買収したSmugMugという企業とは?

 Flickrは現在7800万人のユーザーを抱え、月間アクティブユーザー数は1310万人。1年前と比較して240万人増加しており、実はまだまだ成長しているサービスです。そしてアマチュアからプロまで、写真に取り組んでいるユーザーから愛されているサービスでもありました。

 そんなFlickrが、同じ写真サービスのSmugMugに買収されるというニュースが流れました。SmugMugはシリコンバレーのマウンテンビューに本社を置く写真サービスで2002年創業。写真の販売を含む共有プラットホームを提供しています。プロアカウントでは透かしを自動的に入れるなど、写真の権利を守ることにも配慮されています。

 写真についてより理解があるサービスによる買収は、Flickrユーザーにとっては少し安心できるのではないでしょうか。ただ、ユーザー数はFlickrの方が大きく、こうした規模のサービスをSmugMugがうまく運営していけるのかという点も注目されています。

 あるいは、SmugMugをFlickrプラットホームに移行するような展開もあるのかもしれません。

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