シチズンの強み「スーパーチタニウム」が重さや傷の心配を軽減
完売モデル再び、シチズン光発電スマートウォッチ「新エコ・ドライブ Bluetooth」
2018年04月20日 11時00分更新
デザインで先進性や未来感を伝えたい
今回の商品企画を担当した池山 聡氏は、まず、エコ・ドライブ Bluetoothについて、池山氏はその商品コンセプトを「電子楽器」に求めたという。「Bluetoothという新しい機能を入れ込むに当たって、デザインのところでも新しい要素は取り入れたい。楽器には長い間で培われたフォルムや情緒がありますが、そこに電子という先進性であったり未来感をうまくデザインに落とし込んでいるなと。Bluetoothの時計を作るときも、時計本来の美しさというのは残しつつ、Bluetoothという新しい機能を、何か先進性や未来感を時計のデザインとしても落とし込めないかと考えました」とのこと。
この先進性や未来感は、初代限定モデルが瞬く間に完売となった理由のひとつ。台形にカットされたベゼルまで覆う大きなサファイアガラスなど、全体のデザインはキープコンセプトとなっている。そのうえで、本体素材をステンレスからチタンへの素材変更し、細かな点で機能をともなったデザインのバリエーションが加えられている。
柔らかな金属チタンに適した曲面フォルム
たとえば全体のフォルム。「初代限定版はステンレスを使っています。ステンレスの性質と先進性という意味から、シャープなデザインとなっています。一方、今回の第4世代モデルに採用したチタンは柔らかい素材であることに着目し、曲線をイメージすることでチタンのもつ柔らかさを活かし、大きな曲線を多用した有機的なフォルムに仕上げました」(池山氏)と、シャープでエッジの効いたデザインから、有機的なデザインへの変更点を上げている。
ダイヤルのデザインについては、テキストの配置が横書きで統一されているのは同じ。一般的な時計は円弧に合わせて配置していたりもするが、その場合テキストの視認性が落ちる。また、初代限定版ではインデックスがダイヤル部分にあったが、今回のモデルでは見返しリングのところに移動している。「ちょうどガラスの丸みを帯びた縁の部分にあたるので、さらに広がりのあるデザインに進化している」(池山氏)とのこと。
さらに細かいところでは、「初代限定版はストライプのパターンが入っていますが、今回のモデルは右上のサブダイヤルのところから円弧上にリップルパターンを採用しました。これは電波の広がりをイメージしていて、“Bluetooth搭載”をデザインで表現しています」(池山氏)と一見するとこれまでのモデルと同じデザインに見えるが、細かな点で改良が加えられているのがわかる。
そして大きな変更点が、第2世代モデルで採用した「チタン」の復活だ。池山氏は「チタンはエコ・ドライブと同じくらいシチズンの顔と言える技術」と力説する。
およそ50年前にシチズンが世界で初めて採用した航空宇宙用素材「チタニウム」とは
チタンは金属としては、柔らかい素材にあたる。日常、腕に装着して使うには不向きな素材にも思えるが、それを越える利便性がチタンにはあるとのこと。池山氏はチタンの優位性として「ステンレスの約半分の軽さ。金属アレルギーを引き起こしにくく、肌に優しい。錆びにくい」と3つの特徴を挙げており、「肌に直接触れながら腕に装着する腕時計の素材としてはいちばん良いと考えています」(池山氏)とのこと。
チタンは柔らかいので加工技術としては、難度が高い。しかしシチズンでは1970年に、世界初のチタン製腕時計をリリースしており、エコ・ドライブ同様長い技術の蓄積がある。その技術のひとつが「デュラテクト(表面硬化技術)」だ。シチズンでは「スーパーチタニウム」と呼んでいる、デュラテクトが施されたチタンは「より美しく、より傷に強く」(池山氏)が特徴だ。
たとえば今回の第4世代モデル、オールブラックの「BZ1045-05E」はデュラテクト DLCという非晶質のカーボン硬質膜でコーティングされている。これはものの堅さを表すビッカース硬度で、1000から1400という数値になる。
Gorilla Glassのおよそ倍の硬度を誇る表面硬化技術
ちなみにスマートフォンなどのディスプレーに使われるGorilla Glassシリーズはビッカース硬度で約700と言われているので、その倍近い堅さ。ちょっとぶつけたりこすった程度では傷はつかない。気に入った製品に傷が付いてしまうのはショックだが「物理的な傷だけでなく、心の傷も保護できる」(池山氏)というわけだ。
加工技術が難しいチタンをあえて採用することで、ステンレス素材と比べると約半分近くの軽さとなる。池山氏は「エコ・ドライブ Bluetoothという時計によって、いろいろな煩わしさから解放するというのもひとつのテーマにしています。エコ・ドライブでケーブル充電が不要というのもそうですが、チタンを使うことで腕の重さからも解放したい」とスーパーチタニウムとBluetoothの相性のよさを語った。
肌にやさしいスーパーチタニウム
金属アレルギーに対してもチタンは、大きなアドバンテージを持つ。「他社ではチタンが柔らかい素材ということで、ほかの金属と合わせたチタン化合物を使ってチタン製をうたっているところもありますが、シチズンの場合は純チタンを使っています。チタン化合物はほかの金属を使う関係でアレルギーの要因となりますが、純チタンの場合はその可能性が低くなる」(池山氏)とのこと。またサビについてもほかの金属素材が使われるチタン化合物より、純チタンのほうが耐性がある。
今回一挙に5モデルもリリースすることについて、池山氏は「まず限定モデルだったグリーンは、もう一度チタンにして展開したかった。オレンジというのは最近のトレンドカラーのひとつで、アクティブな印象を与える色。メタルバンドのダークブルーというのもここ数年続いている人気のカラーで、さらに Bluetooth のイメージというのがあります。黒は男性用の趣があってレギュラー商品というイメージ」と、それぞれのカラーリングにも意味を持たせている。
光発電とBluetoothという組み合わせのスマートウォッチという、先進的なアイテムでありながら、シチズンが培ってきた技術で従来の時計としての使い勝手を失わず、軽量な素材でいつまでも美しい状態のまま長く使用できる。それがエコ・ドライブ Bluetoothの最新モデルというわけだ。
エコ・ドライブ Bluetoothシリーズ第4世代ラインアップ
エコ・ドライブ Bluetoothシリーズ第4世代以前の販売継続モデル
エコ・ドライブ Bluetoothの機能紹介動画
製品名 | エコ・ドライブ Bluetooth(第4世代) | |
---|---|---|
キャリバー | W770 | |
駆動形式 | 光発電エコ・ドライブ | |
対応OS (本体、アプリともに) | iOS 9.3以上、Android 5.1以上 | |
ケース径、厚み | 48.mm、15.7mm(ともに設計値) | |
主な仕様 | パワーセーブ機能、デイ&デイト表示、24時間表示、ローカルタイム機能、日付早修正機能、接続状態表示機能(ON、OFF)、通知表示機能(CALL、INFO、LL)、自動時刻受信機能、振動機能、フィルタリング機能、1/1秒クロノグラフ(60分計)、アラーム、パーペチュアルカレンダー、ライトレベル インディケーター、衝撃探知機能、充電量表示機能、充電警告機能、過充電防止機能、夜光(針、インデックス) | |
通信 | Bluetooth LE | |
フル充電後、1度も 充電しないで時計が 停止するまでの目安時間 | 約9ヵ月(スマートフォンと接続した場合)、約1年6ヵ月(スマートフォンと接続しない場合)、最大約4年(パワーセーブ作動時) | |
通常に動く状態を 1日保つための 目安充電時間 | 12分(晴天の屋外/100,000Lx)、30分(曇天の屋外/10,000Lx)、1.5時間(30W 蛍光灯の20cm下/3,000Lx)、8時間(屋内照明/500Lx) | |
防水性能 | 10気圧防水 |
(提供:シチズン時計)