大容量データのバックアップに悩んでいる人は多いだろう。選択肢はいくつもあるが、今回ご紹介するのはクラウドサービス。もちろん、個人用途なのだから高額なサービスは難しい。そこで月額ワンコインで無制限にデータをバックアップできるクラウドサービス「AOSBOX Cool」を活用するワザを紹介しよう。
データを取り出すのに時間はかかるが
安く抑えられるのがウリ
クラウドにデータをバックアップする、というとまずは「Dropbox」や「OneDrive」といった一般的なクラウドストレージが思い浮かぶだろう。しかし、個人とはいえ、デジカメ写真を含むデータすべてとなると、数GBの無料プランでは容量が足りなくなる。たとえば、1TB利用したいなら、DropboxだとProプランが月額1296円(年額1万2960円)、OneDriveだとOffice 365 Soloが月額1274(年額1万2744円)となる。一昔前のことを考えれば、1TBもの大容量が1000円強で利用できるなら安く感じるが、もちろんさらにコストを抑えられるならそれに越したことはない。しかも、1TBに収まらなかったら、どんどんコストが増えることになる。
そこで「AOSBOX Cool」の出番だ。提供しているのはAOSデータという企業で、データ復旧市場では18年連続でシェアNo.1の「ファイナルデータ」というソフトも発売しているので、ご存じの人も多いだろう。データ復旧ソフトとシェアを食い合いそうなカテゴリーのバックアップソリューションだが、ビジネス版の「AOSBOX Business」はすでに1000社以上に導入されている定番サービスのひとつになっている。
個人向けのPCバックアッププランである「AOSBOX Cool」は、月額540円(年額6480円)と激安なのが特徴。しかも、容量無制限というのもスゴイ。
「容量無制限」と聞くと、眉につばを付けたくなる人もいるだろう。2014年にマイクロソフトはOffice 365ユーザーのOneDriveの容量を無制限にしたが、2015年には撤回した。その2015年、アマゾンは容量無制限の「Amazon Drive Unlimited」を年額1万3800円で提供したが、こちらも2017年に撤退している。
しかしご安心を。「AOSBOX Cool」がこの価格で無制限を実現しているのは、サーバーにAmazon Glacierというサービスを利用しているため。たとえば「Amazon Drive」はAmazon S3というサーバーを利用している。ユーザーはリアルタイムにアクセスして、ファイルをやりとりできるのが特徴だ。
その点、Amazon Glacierはデータの復旧に4~5時間かかる。データの量が多いからではなく、Word文書1つでもその時間がかかるのだ。その代わり、高速アクセスが可能なAmazon S3サーバーと比べて、ファイルを圧縮して保存するAmazon Glacierは10分の1くらい安く済む。そのため、サービスを提供する側もコストを抑えることができるというわけだ。
それではまず、ファイルをバックアップしてみよう。今回は試しに、700GBのデータをバックアップした。
初回バックアップは何日もかかることもある
ファイル形式を選ぶ「おまかせバックアップ」も選べるが、ここではフォルダを指定してバックアップしてみる。アプリを起動したら、「選んでバックアップ」タブを開き、初期設定を行なう。スケジュール設定は2時間ごとになっているが、このままでもいいだろう。変更したいなら、5分から24時間まで選べる。暗号化設定も256ビットAOS設定のままでOK。通常の環境であれば、通信帯域も気にすることなく最大速度でアップロードすればいい。「デュアルバックアップ」については後述するので、やはりこのままでOK。「次へ」をクリックする。
続いて、バックアップするフォルダやドライブにチェックを入れると、ファイル容量の合計が表示される。14日間の無料体験版の場合は、最大50GBまでしかバックアップできないので注意すること。
設定が終わったら「次へ」をクリックすればバックアップが始まる。筆者のオフィスは実効速度で1Gbps出るネット回線なので、数時間で終わるかと思ったのだが、全然進まない。200kbps程度しか出ていないようだ。途中で、体験版の容量が一杯になったので有料プランにアップグレードしてバックアップを続行する。ちょっとアナログだが、速度が低下した時にPCを再起動するとスピードアップしたように感じた。
結局700GB超のバックアップが完了するまで、まるまる3~4日かかった。数百GBのデータをバックアップするなら、初回のアップロード時間がかかるのは覚悟しておいた方がいいだろう。とはいえ、その後は差分だけのアップロードになるので、気にならない。
月額500円で、これからずっとトラブルがあっても、最悪2時間前までのデータはがっつりバックアップされていることになる。火災や地震などで部屋ごとPCが壊れたとしても、クラウド上にデータがあるので巻き込まれずに済む。誤操作で外付けHDDを消去してしまう心配もない。
では、万一に備えて、データを復旧する方法を試しておこう。アプリのホーム画面から「復元」をクリックし、復旧するフォルダやドライブを選択する。必ずしもバックアップした全体を復旧するのではなく、特定のファイルやフォルダを選ぶことも可能だ。
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