ミリタリーな展示も楽しみなワンフェス
ガレージキットの祭典とも呼ばれるワンダーフェスティバル、通称ワンフェス。毎年夏冬の2回開催されていて、この冬もワンダーフェスティバル2018[冬]が開催されました。
ワンフェスの会場は個人エリアと企業エリアに分かれていて、個人エリアでは個人やサークルが自作のキットや造形物を展示・販売しています。
その個人エリアをウロウロしていたワタシの財布には、朝ATMから引き出したお金が少しだけ入っていました。見て回るだけで買ったりはしないけど、何が起こるかわからないし万が一ということもあるかもしれないので、多くはないですがちょっとした物なら買える程度のお金を下ろしてきたのです。
ただ、お金を持ってきたのはあくまで念のためのつもりだったのですが、大好きな立体物を目の当たりにして、見て回るだけで気が済むはずがありません。欲しいと思っていた物や欲しいと思ってしまった物を次々と見つけてしまい、即買いの連続です。
ナイトビジョンの中身である光増幅管を3Dプリントで作ったMX10160タイプペーパーウェイトとナイトビジョンの同人誌Night Vision Discovery、1/144のハンヴィーM1025キット、デフォルメされたカーモデルのシトロエン2CVにシュビムワーゲンと立て続けに購入し、気づいたら諭吉が英世1枚と小銭に……。
大満足なお買い物だったんですが、このあたりで自制しておかないと止まらなくなってしまいます。最初見たときはちょっと高いかなと思っていた物も、あと2000円出せばあれが買えるなとか、もう3000円出せばこっちも買えるなとかやってるうちに安く感じてきてしまうというのはよくある話。このままだとあっという間に財布がカラになりそうだったので、個人エリアから企業エリアに移動しました。
企業エリアでは、メーカーの自社製品展示や物販があります。完成品フィギュアを中心に、ドールやカプセルトイ、アパレル、グッズ、本など様々なアイテムが展示・販売されているのですが、その一角にほかとはちょっと雰囲気の異なるスペースがあります。
それはミリタリー関連の展示・販売エリア。軍装品の販売やモデルガンなどの展示のほか、ワタシの大好物である軍用車両が展示されています。
兵員輸送車を発見!
以前ご紹介した、M3ハーフトラックやハーレーダビッドソンWLAをレストアしたり、素敵な工房をお持ちだったりする群馬のKT.ARTSさんも展示の常連。以前のワンフェスではM3ハーフトラックや105ミリ榴弾砲といった大物を持ってきていて、毎度毎度驚かされています。
そして今回もまたワタシの心をグッと掴みまくる車両を投入してきました。米軍のM113装甲兵員輸送車です。
KT.ARTSさんの本業は鉄やモルタルによる建物の造形演出なんですが、別名ミリタリーアーツと呼ばれているぐらい、様々な軍用車や軍用バイクのレストアをしています。M113も実車をレストアしたもの……と言いたいところですが、装甲車なのでさすがに本物というわけにはいかず、レプリカです。
ほかの車両は基本的に趣味の範囲だそうですが、今回はオーダーを受けて製作中とのこと。仕事で軍用車両のレプリカを作るとは、まさにミリタリーアーツです。ちなみに、転輪や履帯などの足回りは、ヤンマーのYFW45Rという履帯付き運搬車を流用したそうです。
この足回りを元にサイズを決定したため、実際のM113よりもふた回りほど小さいのだそうですが、運搬を考えるとこのぐらいがちょうどいいかもしれません。
実物は全長が4.86m。ウチのハンヴィーは全長4.97mなので長さはハンヴィーより短いんですが、なんせ幅が2.69mもあります。幅の広いハンヴィーでさえ2.27mで、40cm以上大きいのです。ハンヴィーは4t車にぎりぎり乗りますが、2.7m近くあるのでは全然無理。でかいトレーラーが必要になってしまいます。
足回りは塗装されていますが、車体の塗装はこれから。鉄板がむき出しになっているおかげで、工作の具合がよくわかります。ところどころ白っぽくなっているのはパテの跡で、ネジ止めしたところや繋ぎ目をパテで埋めているようです。このへんは大きなプラモデルって感じですね。
キャビンや荷台を取っ払った運搬車がKT.ARTSさんに搬入されたのは、2018年の1月。まずは運搬車の上にアングルでフレームを作り、床になる鉄板を敷き詰めています。床は縞鋼板と呼ばれる滑り止めの付いた鉄板です。
転輪はダミーで、履帯に合わせて回転しますが、車体を支えてはいません。自動車のホイールを軽自動車のハブに取り付け、黒いコーキングでフチゴムを再現したそうです。
車体パネルの取り付けでは、サイズが違うためあちこち矛盾が生じるので、いかに実物に近づけるかで苦労したとのこと。特にフロント部分は、エンジンや燃料タンクがあったり、履帯幅が広かったりするため、大幅にデザインし直されています。
ハッチ類はKT.ARTSさんいわく「でっち上げた」そうですが、いろいろなものを流用してソレっぽく作られています。こういうのって図面どおり作るよりもでっち上げる方がセンスが必要なぶん、難しかったりするんじゃないかと思います。転輪もそうですが、アレンジがうまいです。
そしてたったの3週間ほどですっかり形に。
足回りは流用とはいえ、ハンヴィーと同じ大きさの車両を作ってしまうというのはやっぱりすごいし、しかも3週間ほどしかかかっていないというのがまたすごい。趣味と違って就業時間中に作業ができたとはいえ、あっという間に作っちゃう感じですよね。
鉄を使い慣れた人からすると、鉄は道具さえあれば切るのは簡単だし、プラスチックの接着と違って溶接の方が素早くガッチリとくっつけられるから扱いが楽らしいんですが、ワタシは鉄を切ったり溶接したりということができないので感心するばかりです。
溶接の体験ができるホームセンターがあるらしいので、まずはそこに行ってみよう思います。そしていつかはこういう工作に参加したいなぁ。
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