IBMからPowerPC 400シリーズを購入
PowerPCベースのプロセッサーを自社開発
さて、売上の回復基調が見えてきた2005年3月にRickey氏はCEOおよび会長職を辞任。後任にはCiscoの副社長だったKambiz Hooshmand氏が就く。その前年となる2004年、同社はIBMからPowerPC 4000シリーズの製品ラインナップをまるごと買収し、RAIDコントローラーで局所的に有名だった3wareも買収している。
ネットワークビジネスが不調な以上、これに変わる柱がなにかしら必要という判断だ。2000年に買収したMMC Networkは独自の64bit RISCプロセッサーをベースにしたネットワークプロセッサーを提供していたが、性能的にはすでに見劣りするようになっており、ただ自社開発で独自アーキテクチャーを貫くのはビジネス上のデメリットが大きかった。
これもあり、AMCCは2004年にIBMとFreescaleが設立したPower.orgというPowerPCベースプロセッサーを普及させる業界標準団体に参加するとともに、IBMからPowerPC 400シリーズのリソースを手に入れ、これを(MMCの独自コアに代えて)ネットワークプロセッサーにも活用していく方針を定める。
ただPowerPC 440シリーズは連載298回でも触れたが、組み込み向けの同時2命令実行のIn-orderタイプで、それほど高い性能を持つわけではない。そこでAMCCはPowerPCベースのプロセッサーの自社開発に踏み切ることになる。これがTitanと呼ばれるコアで、2007年のMicroProcessor Forumで発表された。
これを開発したのは旧IBMのPowerPC 440の部隊だったようで、PowerPC 440の後継になるはず「だった」。問題はこの後、Titanの製品化に進まなかったことだ。AMCCは引き続きPowerPC 440ベースと、プロセス微細化&マルチコア対応を追加したPowerPC 465ベースでMambaシリーズを展開していく。
では自社開発を辞めたのか? と思ったら2013年に突如登場したのがX-Geneである。ARM v8Aのアーキテクチャーライセンスを受け、4命令同時実行のOut-of-Orderを実装したX-Geneは40nmプロセスで製造され、最初はそれほど多くのニーズを集めなかったが2014年に発表された28nmプロセスのX-Gene 2では次第に採用例がすこしづつ増えていた。
なぜPowerPCを捨てたかについて、2014年10月のARM TechConにおいて、当時のCEOだったParamesh Gopi博士は以下のスライドを示し、これからは命令セットはARM v8Aで統一される(から、我々はPowerPCを捨てる)と説明している。
そしてTSMCの16FFを利用したX-Gene 3は2016年に発表され、この世代でいよいよARM v8Aビジネスが立ち上がるかと思われた。
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