さとうなおきの「週刊アジュール」 第18回
Azure Data FactoryやAzure App Serviceの新機能をチェック
知財訴訟保護プログラム「Azure IP Advantage」がAzure Stackもカバー
2018年01月25日 11時30分更新
こんにちは、さとうなおきです。「週刊アジュール」では、先週の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。
深層学習分野におけるPFNとの協業の進展
2017年5月のde:code 2017カンファレンスで、深層学習(ディープラーニング)分野におけるMicrosoftとPreferred Networks(PFN)の協業が発表されていました(関連記事1、2)。
今回、この協業の進展についての発表があり、PFNの深層学習フレームワーク「Chainer」が、MicorsoftとFacebookの共同プロジェクト「ONNX(Open Neural Network Exchange)」をサポートすることが発表されました。詳細は、次のリソースをご覧ください。
- プレスリリース「深層学習分野における Preferred Networks との協業の進展について」
- 記事「MSと協業拡大、PFNが深層学習モデル相互運用プロジェクト『ONNX』参加」
- ブログポスト「Open AI ecosystem advances as Preferred Network adds Chainer support to ONNX AI Format」(日本語訳)
Azure Virtual Network:サービスタグがGA
仮想ネットワーク機能を提供するAzure Virtual Networkでは、仮想ネットワーク内のサブネットやVMのNICに対して、ネットワークセキュリティグループ(NSG)を指定します。NSGには、ソース/ターゲットIPアドレス、ポート、プロトコルを基に、受信/送信ネットワークトラフィックを許可/拒否するセキュリティ規則の一覧が含まれています。
2017年9月のIgnite 2017カンファレンスで、NSGの定義を簡素化するための3つの新機能のプレビューが追加されていました。
- 「アプリケーションセキュリティグループ」を使うと、VMをグループ化してグループに基づくセキュリティ規則を定義できます。
- 「サービスタグ」は、Microsoftが管理するAzure StorageやAzure SQL DatabaseといったサービスのIPアドレス空間であり、セキュリティ規則の作成を簡素化します。
- 「拡張セキュリティ規則」は、複数のポート、複数のIPアドレス、サービスタグ、アプリケーションセキュリティグループを組み合わせて、単一のわかりやすいセキュリティ規則を作成できます。
今月、拡張セキュリティ規則がGA(一般提供)になっていました。これに続いて、今回、サービスタグがGAになりました。
詳細は、更新情報「General availability: Service tags for NSGs」、ドキュメントをご覧ください。
Azure App Service診断の新機能
Azure App Serviceは、Webアプリ、Web API、モバイルバックエンドをホストするためサービスです。
2017年11月に、チャット形式でWebアプリケーションのトラブルシューティングを支援するサービス「Azure App Service診断」がGAとなっていました。
Azure App Service診断のGA以降に、以下の新機能が追加されました。
- 「TCP接続」のタイルショートカットを追加
- WindowsベースのAzure App Serviceに加えて、LinuxベースのApp Service(Web App for Containers)をサポート
- .NETベースのアプリケーションで、Azure Application Insightsを統合
詳細は、ブログポスト「Exciting New Features in App Service Diagnostics」をご覧ください。
Azure Data Factory:ビジュアル作成機能
Azure Data Factoryは、データ統合サービスです。
2017年9月のIgnite 2017カンファレンスで、機能強化された次世代のAzure Data Factory v2のパブリックプレビューがリリースされていました。2017年10月には、Azureポータルでデータ統合パイプラインの監視を行う、Azure Data Factory v2のビジュアル監視機能がリリースされていました。
今回、Azure Data Factory v2で、データ統合パイプラインの監視に加えて、その作成も行えるビジュアル作成機能がリリースされました。
このビジュアル作成機能では、ドラッグ&ドロップでのパイプライン作成、テスト実行、検証、オンデマンド/スケジュール実行、Visual Studio Team ServicesのGitリポジトリでのソース管理が可能であり、65種類のデータソースがサポートされています。
詳細は、ブログポスト「Azure Data Factory: Visual Tools enabled in public preview」、ドキュメントをご覧ください。
Azure IoT Hub:Azure CLI 2.0向けのIoT拡張機能
Azure IoT Hubは、多数のIoTデバイスとの間で、セキュアで信頼性のある双方向通信を実現するサービスです。
Azure CLI 2.0は、Windows、macOS、Linux、Azure Cloud Shellで動作する、Azureの管理を行うためのコマンドラインインターフェイスです。Azure CLI 2.0では、Azure IoT Hubリソース、Azure IoT Hub Device Provisioning Serviceインスタンスの作成や管理を行うことができます。
今回、Azure CLI 2.0向けのIoT拡張機能がリリースされました。この拡張機能は、 Azure IoT Hub、Azure IoT Hub Device Provisioning Service、Azure IoT Edgeに対するさまざまな操作を追加します。
この拡張機能のリリースに伴い、2018年6月末に、Azure CLI 1.0向けのIoT拡張機能、IoT Hub Explorerは非推奨になる予定です。
詳細は、ブログポスト「Announcing IoT extension for Azure CLI 2.0」、 GitHubリポジトリ、ドキュメントをご覧ください。
Azure Security Center:OSセキュリティ構成のカスタマイズ
Azure Security Centerは、Azure リソースのセキュリティの可視化と制御を行うサービスです。
Azure Security Centerは、ファイアウォール、監査、パスワードポリシーなどに関する150以上の推奨される規則を使って、マシンのOSセキュリティ構成を監視します。脆弱な構成を持つマシンが見つかった場合は、セキュリティに関する推奨事項が生成されます。
今回、OSセキュリティ構成のカスタマイズ機能のプレビューがリリースされました。これによって、規則の有効化/無効化、規則の新規追加などが可能になります。
詳細は、ブログポスト「Azure Security Center adds support for custom security assessments」、ドキュメントをご覧ください。
Azure SQL Database:互換性レベルが140に
Azure SQL Databaseは、SQL Serverベースのリレーショナルデータベースサービスです。
SQL Server、Azure SQL Databaseの互換性レベルは、データベースエンジンの動作をSQL Serverのバージョンの動作になるように指定するものです。2014年12月にリリースされたAzure SQL Database V12では、新規作成されるデータベースの既定の互換性レベルは120(SQL Server 2014)でした。2016年6月に、新規作成されるデータベースの既定の互換性レベルが130(SQL Server 2016)に変更されていました。
今回、新規作成されるデータベースの既定の互換性レベルが、140(SQL Server 2017)に変更されました。互換性レベルを140にすることで、2017年9月のIgnite 2017カンファレンスでGAになっていたアダプティブクエリ処理を有効化できます。
詳細は、ブログポスト「Compatibility Level 140 is now the default for Azure SQL Database」、ドキュメントをご覧ください。
また、SQL Operations Studioは、SQL Server、Azure SQL Database、Azure SQL Data Warehouse向けのモダンなデータベース開発、運用のための、Windows、Mac、Linuxで動作する軽量なツールです。
SQL Operations Studioの12月リリースに続き、1月リリースがダウンロード可能になりました。1月リリースでは、SQL Operations Studioの終了時に保存されなかったファイルの内容が次回起動時にも維持される、HotExit機能などが追加されています。
詳細は、ブログポスト「The January release of SQL Operations Studio is now available」、リリースノートをご覧ください。
Azure IP Advantage:Azure Stackをカバー
2017年2月に発表されていたAzure IP Advantageは、Microsoftの知的財産(IP)保護プログラムの対象範囲をAzureの基盤となるオープンソーステクノロジにも拡張し、Azure上で稼働するサービスに対する訴訟からAzureサービスを利用しているお客様を保護するために、Microsoftの1万件の特許を利用可能にします。
Azure Stackは、オンプレミスにAzure互換の環境を持つことのできるハイブリッドクラウドプラットフォームです。
今回、Azure IP Advantageが、パブリッククラウドのAzureに加えて、Azure Stackもカバーするように拡張されました。Azure Stackを、ますます安心して使えるようになりますね。
詳細は、ブログポスト「Announcing the extension of Azure IP Advantage to Azure Stack」をご覧ください。
それでは、また来週。
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