昨年、女子高生がチアダンスで全米制覇するまでの実話を描いた広瀬すず主演の映画「チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」が話題となった。
その物語が今年の夏、土屋太鳳主演でTBS系の連続ドラマとして放映されることが決定した。「チア☆ダン」は、福井県立福井商業高等学校チアリーダー部JETSの顧問・五十嵐裕子教諭が「夢はかなう」を体現した、まるで映画のようなホントの話がベースになっており、全米制覇したあともJETSは、全米5連覇7回優勝を果たしている。今回、五十嵐教諭にインタビューする機会を得られたので、いろいろと話を聞いた。
映画「チア☆ダン」を観たりノンフィクションの書籍「チア☆ダン『女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』の真実」(円山夢久著、KADOKAWA刊)を読んだ方ならわかると思うが、五十嵐先生はとても厳しい「鬼教師」として、規律を重んじ、夢をかなえるために生徒たちを引っ張っていく熱血教師。JETSを起ち上げてわずか3年で夢をかなえてしまったその行動力には「何事も頑張れば必ず夢はかなう」という元気をもらえるはずだ。
テレビ番組の企画に合わせてインタビュー
実は今回のインタビューは、1月8日に放送されたTBSのバラエティー「さんま・玉緒のお年玉!あんたの夢をかなえたろかSP」の中で、五十嵐先生に内緒でOGも含めたJETSのメンバーがみんなでダンスを披露する際に合わせて企画されたもの。
JETSの4期生であるモデル・久保美佳さんも五十嵐先生に会いに来て福井を散策。久保さんは、姉は2代目JETSの部長を務め、久保さん自身も4代目JETSの部長を務めたが、残念ながらどちらも全米優勝はできなかった。久保さんに先生との思い出を聞いてみると、
久保 部長をしてましたが、今思えば苦手だったのかなって(笑)。先生は、わかってくれていたというか、もっと踊りで引っ張っていけって言われていたので、その意味が今になってわかりました。
五十嵐 ものすごく負けず嫌いで、2年生の時からセンター張って、私はやるんだという心意気は誰よりも強かったですね。久保さんは職人なんですよ。職人肌と人をまとめることは別で、踊りが上手だから人をまとめられるかというとちょっと。メンバーに対して「何でできないの!」という勢いだったですもんね。
卒業後はUSJでダンサーとして活躍していたが、その後モデルへ転身。次の夢を追い続けている。ただ、離れてみると先生の言葉が身にしみているという。1年に1回は母校へ顔を出し、元気をもらっているそうだ。
20代のころは空回りしていた
夢をかなえ、大成功を収めている五十嵐先生だが、過去には空回りばかりで、かなり苦労された経験も持って。福井商業へ赴任する前はまったくうまくいかなかったそうだ。
五十嵐 金八先生やスクールウォーズのように、テレビの中の先生というのは生徒に絶大な指導力や影響力がありますが、実際には、そういう先生方はなかなかいらっしゃらない。でも、自分がそうなったら、いいなとは思っていましたが、20代は失敗ばかりでした。
人間の可能性というのは計り知れないと思うんです。例えばとんでもない落ちこぼれが良くなっていく話とか、弱かった子が元気になる話だとか、とても憧れました。せっかく教師になったのであれば、私も、そういう生徒たちに火をつける人間になりたいというのはありましたね。ただ、私には実力もなければ、魅力もないわけで、そんな先生の言うことを何故聞かなければならないのかとなりますよね。空回りばかりでした。