ディスプレーの狭額縁化と本体の薄型化によって前モデルよりも小型・軽量になり、モバイルでの使い勝手が向上したデルの「New Inspiron 13 7000 2-in-1」(関連記事)。性能面でも、第8世代Coreプロセッサーを採用するなど従来モデルから進化を遂げている。今回はベンチマーク結果を交えながら、New Inspiron 13 7000 2-in-1のパフォーマンスを紹介していこう。
第8世代Coreプロセッサーを搭載
New Inspiron 13 7000 2-in-1は、搭載するCPUやメモリー、ストレージ容量の違いによって「プレミアム」「プラチナ」「スプレマシー」の3モデルが用意されている。いずれもノートパソコン向けの第8世代Coreプロセッサーを搭載しているが、プレミアムのみCore i5-8250U(1.60GHz/最大3.4GHz)で、プラチナとスプレマシーはCore i7-8550U(1.80GHz/最大4.0GHz)が採用されている。今回試したのはプレミアムモデルだ。
第8世代CoreプロセッサーのUシリーズは、コア数が従来の2から4に倍増して、最大8スレッドで同時処理ができるようになった。そのため、第7世代のCore i7-7500UやCore i5-7200Uに比べて、マルチスレッド処理を必要とするシーンでパフォーマンスが大幅に向上している。
たとえば、Core i7-8550Uを搭載した同クラスのノートパソコンの場合、「CINEBENCH R15」のマルチコア性能をはかるテストではCore i7-7500Uに比べて60%ほどの性能向上が見られた。「Passmark」でも同様に50~60%程度スコアがアップしていた。
それでは、New Inspiron 13 7000 2-in-1 プレミアムが搭載するCore i5-8250Uの場合はどうだろうか。また、上位モデルのCore i7-8550Uとはどのくらいの実力差があるのだろうか?
まず、「CINEBENCH R15」のマルチコアテストを試したところ、CPUのスコアが594cbとなった。前世代のCore i5-7200Uが320cb前後なので、80%以上も性能が向上していることになる。ちなみに、Core i7-8550Uを搭載した同クラスのノートパソコンも同程度のスコア。マルチコア性能に関する限り、上位モデルが搭載するCore i7-8550Uとの性能差はほとんどないといえそうだ。
さらに「Passmark」も実行してみたところ、「CPU Mark」が8630という結果になった。Core i7-8550Uよりは1割程度低いが、前世代のCore i5-7200Uよりも80%近くスコアが向上している。
New Inspiron 13 7000 2-in-1 プレミアムの総合的なパフォーマンスを見るため、「PCMark 8 Home Accelerated」を実行してみたところ、下図のようにスコアが3824となった。また、「PCMark10」では、3871というスコアだった。
PCMark10のスコアの詳細を見ると、パソコンの基本性能を示す「Essentials」で8142、ビジネスアプリの性能を示す「Productivity」で6510と、いずれも快適さの目安となる5000を大きく超えている。ウェブ閲覧やOffice文書作成のような日常的な使い方なら、ストレスを感じることなく快適にこなせそうだ。
グラフィックス性能はどうだろうか? 「3DMARK」を試してみたところ、次の結果になった。
3DMarkスコア | |
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Time Spy | 414 |
Fire Strike | 1038 |
Sky Diver | 4526 |
Cloud Gate | 8405 |
Ice Storm Extreme | 51630 |
Ice Storm | 69760 |
いずれのテストも前世代に比べて1~2割程度スコアが向上している。たとえばミドルレンジパソコン向けのテスト「Sky Diver」は、3800前後から4526となった。CPU性能の向上ほど劇的というわけではないが、着実に進化しているのがわかる。
ゲーム系のベンチマークもいくつか試してみた。まず、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.51」は次のようになった。
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.51のスコア | |||
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解像度 | グラフィック設定 | スコア | 評価 |
1920×1080ドット | 低品質 | 5482 | 快適 |
1920×1080ドット | 標準品質 | 5238 | 快適 |
1920×1080ドット | 最高品質 | 4591 | 普通 |
同様に「FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」と「FINAL FANTASY XIV: 紅蓮の解放者(リベレーター)」も試してみた。
FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編 | |||
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解像度 | 品質 | スコア | 評価 |
1920×1080ドット | 標準品質(ノートPC) | 3489 | やや快適 |
1920×1080ドット | 高品質(ノートPC) | 2188 | 普通 |
1920×1080ドット | 最高品質 | 1586 | 設定変更を推奨 |
FINAL FANTASY XIV: 紅蓮の解放者 ベンチマーク スコア | |||
---|---|---|---|
解像度 | 品質 | スコア | 評価 |
1920×1080ドット | 標準品質(ノートPC) | 2253 | 普通 |
1920×1080ドット | 高品質(ノートPC) | 1504 | 設定変更を推奨 |
1920×1080ドット | 最高品質 | 1079 | 設定変更が必要 |
タイトルによってスコアに多少の向上は見られるものの、ゲームのベンチマークでは基本的に前世代とそれほど変わらない結果になった。また、上位モデルのCore i7-8550Uとの差もほとんど見られなかった。Core i5-8250UとCore i7-8550Uの性能差はごくわずか、といっても過言ではなさそうだ。写真や映像の編集など、CPU負荷の高い作業をする際はそのわずかな差が処理時間に影響することもあるだろうが、普段使いで差を体感することはまずないだろう。
バッテリー駆動時間も十分
New Inspiron 13 7000 2-in-1 プレミアムは従来モデルから質量が300g近く減っており、機動性が大きく向上している。そのため出先で積極的に使用したいというユーザーも多いだろう。そこで気になるのが、バッテリー駆動時間だ。公称値では最長約8時間20分(MobileMark 2014によるテスト結果)となっているが、実際どのくらい持つのだろうか。
そこでバッテリーベンチマークソフト「BBench」を使ってバッテリー駆動時間を計測してみた。なお、BBenchは「60秒間隔でのウェブ巡回」と「10秒間隔でのキーストローク」に設定し、満充電状態から電源が落ちるまでの時間を計っている。
BBenchによるバッテリー駆動時間結果 | ||
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電源プラン | 画面の明るさ | 駆動時間 |
省電力 | 40% | 6時間10分 |
公称値には少し届かなかったが、おおよそ6時間程度の駆動が可能だった。モバイル用途には少し物足りない感じもするが、出先でちょっと文書やメールを作成したり、ウェブブラウジングをするには十分な長さではある。本機の場合はACアダプターも小型・軽量なので、一緒に持ち歩いてもそれほど負担にならないのはうれしいポイントだ。
狭額縁化によってコンパクトになり、使い勝手が上がったデルのNew Inspiron 13 7000 2-in-1。第8世代Coreプロセッサーの採用によって性能も向上しており、モバイルノートとしての魅力も大きくアップしている。とくに今回試したNew Inspiron 13 7000 2-in-1 プレミアムは、上位モデルと比べても遜色ない性能を備えており、コストパフォーマンスは非常によい。
デルの直販サイトでは、「プレミアム」モデルの場合、12万3378円で販売されている。また、クーポンを適用すれば、9万702円で購入可能だ(12月25日現在)。洗練されたモバイルノートを探している人や、使い勝手のよい2-in-1ノートを探している人はぜひチェックしてみてほしい。
試用機の主なスペック | |
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製品名 | New Inspiron 13 7000 2-in-1(プレミアム) |
CPU | Core i5-8250U(1.4GHz、最大3.4GHz) |
グラフィックス | インテルUHD グラフィックス620(CPU内蔵) |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD |
光学ドライブ | なし |
ディスプレー | 13.3型ワイド(1920×1080ドット) |
インターフェイス | USB 3.1(Type-C、DisplayPort/電源供給)端子、USB 3.1端子×2(うち1基はPowerShare対応)、HDMI 2.0端子、ヘッドフォン/マイク入力ジャック、Nobleロック・セキュリティスロット、SDカードリーダー |
OS | Windows 10 Home 64bit |