非公開の場所は、MOVERIOを使って映像で公開
この映像は、当時の様子を再現しているのもメリットだ。例えば、蚕を育て繭を収穫することは、現在では1年で4~5回行われているが、当時は1年に1回だったという。その1回に多くの繭を仕入れる必要があるため、大きな繭倉庫が必要だった。そのため、2棟の大きな繭倉庫が建築され、その2階には乾燥した繭を貯蔵し、繰糸所で工女が糸を取り出して生糸を作っていった。
この乾燥した繭を貯蔵していた2階部分は、普段は非公開だが、現在は期間限定で見ることができる。またMOVERIOを介して当時の再現映像を視聴可能で、室内に所狭しと並べられた棚の様子を見ることが可能だ。
ほかにも、検査人館の2階にある貴賓室も、ほぼ当時のまま残っているというが現在は非公開。それもMOVERIOを使えば映像の形で内部を確認できる。さらに指導者として明治政府に雇われたポール・ブリュナ氏が住んでいた邸宅も内部は公開されていないが、これも360度のCG映像で室内の様子をくまなく確認できる。
この「本来は見られない内部の様子を見られる」というのがMOVERIOを使ったガイドツアーのメリットだ。富岡製糸場でも復元写真は用意されているし、繰糸所内ではVTRによる解説もあるが、精密なCGで当時の様子を再現された映像が目の前に見えるとインパクトが違う。同行している解説員に質問すれば答えも返ってくるので、理解度が大きく違う。
「MOVERIO」は、富岡製糸場の価値を伝えるのに有効な武器
解説員の櫻場善文氏によれば、こうした点から初めての人だけでなく、何回か見学に来ているリピーターにも、MOVERIOを使ったガイドツアーは好評なのだという。また、櫻場氏はMOVERIOについて「映像を見れば一目瞭然。華やかさはないが富岡製糸場の価値を伝えるのに有効な武器」だと明かす。
現在、MOVERIOを使ったガイドツアーは事前予約制で、富岡製糸場の団体予約のサイトから予約ができる。団体予約といっても、「家族4人で」といった予約も可能だ。MOVERIO自体は50台用意されているが、システムの都合上1グループ20人が最大で、それ以上の場合は2グループに分けてガイドを行なうそうだ。最小は4人で、価格は1グループ5000円(税別)。20人で参加すれば一人250円と安い。櫻場氏によれば、機械に詳しくない人にもMOVERIOを使ったガイドツアーは好評だという。
日本の近代史で重要な富岡製糸場をより深く、より分かりやすく理解するために、MOVERIOを使ったガイドツアーを体験してみてはいかがだろうか。
絹糸を巻いて灯籠作りを体験できる「絹灯篭づくり体験会」を12月17日開催
富岡製糸場の所在地、群馬県富岡市では、2017年12月22日より富岡市街地の各スポットを絹灯篭で灯すライトアップイベント「富岡製糸場とまちなか光のおもてなし」を開催予定だ。この事業で使用する絹灯篭は、現在座繰りによってひとつひとつ絹糸を巻いて作っており、その作成を体験できる「絹灯篭づくり体験会」を富岡倉庫(富岡市富岡1450)で開催する。日時は12月17日午前10時から午後3時までで、参加料は無料。富岡製糸場の見学と合わせて体験することをぜひオススメしたい(座繰りした絹灯篭は「富岡製糸場とまちなか光のおもてなし」で使用するため、持ち帰ることはできません)。
絹灯篭づくり体験会 | |
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開催日 | 2017年12月17日 |
時間 | 午前10時から午後3時まで |
参加料 | 無料 |
場所 | 富岡倉庫 |
富岡製糸場とまちなか光のおもてなし | |
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開催期間 | 2017年12月22日から2018年2月25日の毎週金、土、日曜日 |
時間 | 午後4時30分から午後7時まで |
場所 | 富岡製糸場、富岡倉庫、まちなかポケットパーク |