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1万円台イヤフォン「MA650 Wireless」のデザインと音が素晴らしい

2017年12月03日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ソリッド感ある音のキャラ

 残りは、実際に着けて鳴らしてどうかという一番大事なところ。まずイヤフォン本体の装着性については文句がない。

 短く、外径も小さなハウジングは耳の対珠(ついじゅ。耳穴を後ろから覆うように張り出した部分)の内側に収まってしまうので、装着安定性が高い。スタビライザー付きのイヤフォンのように多少のことでは外れない。ここはワイヤードな一般的イヤフォンと比べてもかなり良い。

 内蔵ドライバーは、RHAオリジナルの「380.1」ということだが、口径は公表されていない。外径から言って大きな振動板は使えないはずだが、可聴域の下限あたりからレスポンスがあり、タイトでしっかり解像するのが、まず驚き。レシーバー側のパワーにも余裕があって、簡単に飽和しない。

 聴き込んでいくと中音域に若干ラフなところはあり、ここを「きらびやか」なキャラクターと解釈するかどうかは微妙なところ。その代わり高域の上限までまんべんなく出ているので、全体としてソリッド感のあるシャープなキャラクターとして受け入れられるだろう。ハイが伸びている割に、Bluetooth特有のS/Nの悪さを感じないのも好ましい。

 RHAのBluetooth機には、もうひとつワンランク上の機種「MA750 Wireless」もある。ネックバンドやレシーバーの仕様は同じで、イヤフォン本体だけが違うというもの。価格は倍近く高いが、当然ながら音も違う。こちらはいま試しているところで、近いうちに記事としてまとめたい。

トゥルーワイヤレスに並ぶ選択肢

 MA650 Wirelessのもっとも大きな魅力は、小型軽量ハウジングがもたらす装着感や快適性だと感じた。おかしな話に聞こえるかもしれないが、特にトゥルーワイヤレスと比べるとそう感じてしまう。

 コードがないトゥルーワイヤレスの自由度は本当に素晴らしいが、ハウジング内にバッテリーや電子回路を詰め込まなければならないため、形状や重量バランスも制約を受ける。ワイヤレスの機能を維持しようとすれば装着性は犠牲になってしまうのだ。それに電波状況の影響を受けやすく、まだまだネックバンドに比べて音切れも多い。「期待して買ってみたけれど、使い物にならなかった」という話はよく聞く。

 MA650 Wirelessは、同じネックバンドタイプと比べてもデザインが合理的にできているし、1万円台の製品とは思えない質感にも魅力がある。ワイヤレスイヤホンにクオリティーを求めるなら、まずこのあたりから試してみると幸せになれる気がする。

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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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