Raspebrry Piをはじめとする小型のシングルボードコンピューターが盛んに利用されるようになりました。これら製品が実現できるようになった背景には、CPUと周辺回路を1チップに集積したSystem-on-a-Chip(SoC)の高性能化があります。比較的、高性能なアプリケーションプロセッサARM Cortex-Aシリーズを採用するSoCが、スマートフォンやセットトップボックスで利用されるようになり、そうしたSoCを流用することで小型かつ十分な性能を持つシングルボードコンピューターが実現できるようになりました。
シングルボードコンピューターは、単にOSが動くというだけでなく、SoCが持つGPIO(General Purpose Input/Output:汎用入出力)やI2C(Inter-Integrated Circuit:I-square-C)、SPI(Serial Peripheral Interface)といったインターフェースにセンサーや自作の機器を接続して制御できます。PCとはまた違った使い方ができる点が魅力です。
とはいえ、コンピューターの中でもっとも普及しているのは言うまでもなくx86系のCPUを搭載したPCです。Raspebrry PiをはじめとするARM系のSoCを搭載する製品は、PCとはバイナリー互換性がありません。Linuxを利用する限り、バイナリー互換性はさほど問題なりませんが、Windowsでは少々不自由になります。
またARM系のSoCは、高速になったといってもストレージがmicroSDカードという製品が多く、総合的な性能ではPCに及びません。カーネルやソフトウェアのコンパイルには時間がかかり、PC側で行なう際にはクロスコンパイル環境を構築する必要があります。
Atom x5-Z8350搭載、超小型PCボード「UP Board」
今回紹介するAAEON「UP Board」(国内正規代理店V-net)は、そんなARM系のSoCを搭載する製品にありがちな面倒な点が一切ない、PC完全互換のシングルボードコンピューターです。SoCとしてIntel製の「Atom x5-Z8350」(4コア4スレッド、最大動作クロック1.92GHz)を搭載し、ブートローダーにはPCに一般的なUEFIを採用しています。
また、Raspberry Piと異なりストレージとしてeMMCをオンボードで搭載しているおかげで、microSDカードの用意も不要です。PC互換かつストレージもオンボードに搭載しているので、LinuxだけでなくPC向けのWindows 10もそのままインストールができる非常に便利な製品です。もしさらに大容量のストレージが必要なら、USB接続のSSDやHDDを接続して利用することもできます。
主なスペック | |
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製品名 | UP Board |
CPU | Intel Atom X5-8350(1.44GHz-1.92GHz、Cherry Trail) |
メインメモリー(最大) | 1/2/4GB DDR3L |
グラフィックス機能 | Intel HD 400 Graphics |
ストレージ | 16/32/64GB eMMC |
LAN機能 | 有線LAN(1000BASE-T、Realtek RTL8111G) |
インターフェース | HDMI 1.4a、eDP(Embedded DsiplayPort)/DSI (Display Serial Interface)、USB 2.0(Type-A)×4、USB 2.0(10ピンヘッダー)×2、USB 3.0(Micro-B) |
カメラ | MIPI-CSI2 |
I/O | 40ピンヘッダー |
RTC | 搭載 |
本体サイズ | 85.6×56.5mm |
電源 | 5V DC-in(4A-6A) |
Raspberry Piと互換性を持つ40ピンヘッダーを備え、GPIOやI2C、SPIを利用可能
さらに「UP Board」がユニークな点は、Raspberry Piと互換性を持つ40ピンヘッダーを備え、GPIOやI2C、SPIの利用が可能ということです。しかもカメラ用のインターフェースや、DSI(Display Serial Interface)も備えています。
ボードサイズもRaspberry Piとほぼ同じ85.6×56.5mm。Raspberry Piと同じサイズで同じ機能が使え、なおかつPCと完全互換なので、幅広い用途に利用できる魅力的な小型コンピューターといえるでしょう。