PCゲームはもちろん、動画ストリーミングサービスの利用が当たり前になったいま、無線LANルーターにもパワーが必要になった。だらだらとゲームをしていたら急に大規模な遅延が生じたり、ストリーミング動画を見ていたら、ネットワークが一時的に落ちてしまった……なんていうことはないだろうか。ほとんどはルーターが負荷に耐えられなくなったために処理が遅れているのだが、ことFPSやRTS、MMORPGなど常時接続が前提のゲームタイトルとなると、そういったイベントは致命的だ。
無線でも快適なゲームプレイを実現したい、複数デバイスで常に通信を行いたいといった場合、当然ルーターもそうした用途にあったものを使いたい。本日販売開始となったASUSのゲーミングブランド「ROG」シリーズ初のルーター「ROG Rapture GT-AC5300」は、そんなユーザーにうってつけの製品と言えるだろう。ゲーミングブランド扱いで、ゲームを前提にしたものだが、SOHO規模のルーターとしても余裕で使える豪華なスペックとなっている。
小型PCばりにデカい! トライバンド対応の超ハイエンドルーター
ROG Rapture GT-AC5300は、トライバインド対応Wi-Fiルーターで、5GHz帯×2、2.4GHz帯×1を利用でき、4ストリーム最大2167Mbpsに対応する。ゲーム用の帯域を構築して、ながらゲームプレイでも安定した通信状況を用意できるのが魅力だ。設定周りは後述するとして、まずはインパクトのある外観からチェックしていこう。
本体サイズはブレードアンテナ抜きでおよそ245mm×245mm×65mm、重量は約1880gと、ルーターとしては規格外の大きさが本製品の大きな特徴だ。ブレードアンテナは取り付け式で8本用意されており、形状はゲーミングルーターらしいメカっぽさが目立つ。ロボットものっぽくてテンションが上がる人も多いだろうが、そのぶん四方にアンテナを装着する関係上、本体を横向きにして設置面積を減らすことはできない。またCPUにクアッドコアの「Broadcom 4908」(1.8GHz)を搭載するなど、ルーターとしても非常にハイスペックであるため、冷却性能も妥協が無く、底部から頂部へのエアフローが確保されている。購入を検討する場合、都合のいい設置場所の検討がまず必要だろう。
もちろん、自宅のネットワーク環境に対して都合の良い部分もある。とにかくアンテナ性能が強く、ASUSの資料によれば3階建て/マンション4LDKをサポートするため、ほとんどの家屋はこれ1台でカバーできるだろう。設置に関して自室に拘らなくてもいいのはありがたい。
また、接続デバイスの推奨利用台数は24台までと非常に多く、ゲーム専用というよりは、ネットワークへの接続機能を持つ機器すべてを受け止められるものと考えてもいいだろう。クアッドコアCPUにメモリー1GBと基本スペックが高いため、ゲーミングPCとスマホ、スマートスピーカー、NAS、テレビ、レコーダーなどもりもりと接続しても安心である。以降でスクリーンショットを掲載しているが、CPU負荷は負荷テスト中でも15%付近に留まっていたため、NASへのデータ転送を加えた場合も余裕のある状態をキープしてくれるだろう。
さて、本体サイズがこれだけ大きくなったことには、もちろんそれなりの理由がある。上記のようなベーススペックの高さに対して、冷却性能を確保するためだ。放熱性能が低ければ、CPUは性能を発揮できないし、突然のネットワークダウンも起きやすい。ゲームのみであれば、「ROG Rapture GT-AC5300」でなくても耐えるは耐えるが、最近のデバイス環境を考えると、ゲームのみのためにルーターを使うという人は少ないだろう。
ASUSから届いた分解写真を見てみると、Mini-ITXマザーボードよりもややデカい基板が入っていた。ほぼ本体幅ギリギリの基板が入っているのは驚きだが、過密レイアウトではなく、余裕を持たせたレイアウトでスペックに対しての冷却性能を確保していると思われる。