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ツイッターは票につながる、オックスフォードの研究で判明

2017年11月03日 23時10分更新

文● Emerging Technology from the arXiv

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選挙にソーシャル・メディアを活用しても、他候補を応援している有権者を自陣営に取り込めないという評論家は多い。しかし、ツイッターの選挙に及ぼす影響を測定した研究者は、それは間違いだと反論している。

かつて政治におけるツイッターの役割が、これほど目立ったことはなかった。 最初の「ソーシャル・メディア大統領」とも呼ばれるオバマ大統領は、人気と成果において明らかにライバルを上回っていた。トランプ大統領は、論争を巻き起こしながらも、議論、苦情、政策推進のためにツイッターを活用している。

明らかにソーシャル・メディアは、政治・政局についての議論に重要な役割を果たしている。多くの政治家は、選挙期間中に数百または数千のメッセージを送信し、ソーシャル・メディアに相当な資金をつぎ込んでいる。

ここで1つ、興味深い疑問が浮かぶ。ソーシャル・メディアへの努力は、果たして票に還元されるのだろうか?

The U.K. electoral map
英国選挙地図

最近になって、英国オックスフォード・インターネット研究所(Oxford Internet Institute)のジョナサン・ブライト特別研究員らの研究で、1つの回答が得られた。ブライト研究員らによると、英国で最近続けざまに実施された2回の下院(庶民院)議員選挙は、ツイッターが選挙結果に及ぼした影響を測るまたとない機会だったという。

ソーシャル・メディアが選挙に及ぼす影響に関する多くの研究は、単記投票選挙(候補者のうち1人だけに投票する方法)に焦点を当てている。選挙運動を取り仕切る専門家の力量、選挙資金の額などの要因とソーシャルメディアの効果を区別するのが難しいからだ。

選挙と選挙の間隔が大きく開いた2つの選挙を比較するのも、用心しなければならない。最長で5年ごとに実施される英国下院議員選挙では、その間に政治家や有権者のソーシャル・メディアの使い方が、劇的に変わる可能性があるからだ。

だから、英国の最近の2回の下院議員選挙は、ソーシャル・メディアの使い方をより深く考察できる得意な機会だと位置づけられる。ブライト研究員ちが最初に調査した選挙の投票日は2015年5月7日だった。2番目は2017年5月3日の下院解散による6月8日投票の選挙で、候補者に与えられた準備期間はわずか24日間だった。

英国国民は、2015年と2017年の両選挙のそれぞれで650人の下院議員を選出した。各議員は一地区約7万人の有権者の代表となる。選挙戦は、およそ7つの主要政党が、合計6000人の候補者を擁立して実施された。このうち822人の政治家が両選挙に立候補したので、研究では2回カウントされている。

2015年の候補者のうち76%、2017年の候補者のうち63%がツイッターを利用した。2017年にツイッターの利用が減少したのは、議会の解散による選挙だったため、十分な選挙期間がなかったからだろう。時間ぎりぎりで多くの候補者が選ばれたため、ソーシャル・メディア戦略を十分に組織化する時間があまりなかったのだ。

それにもかかわらず、2017年のツイッターの利用頻度は増えた。ツイッター・アカウントを持つ候補者は、2015年の選挙期間中は平均86ツイート、1日あたり3.6ツイートだった。2017年は平均123.5ツイートに上昇し、1日あたり5.1強のツイート数だった。

これらの数字には、現職の政治家と現職に挑戦する新人候補者のツイッターへの依存度という重大な違いが隠されている。2015年には現職の政治家の87%がツイッターのアカウントを持っていたが、新人候補者でアカウントを持っていたのは73%に過ぎなかった。

2017年にはその差はさらに広がった。84%の現職の候補者がアカウントを持っていたのに対し、新人候補者はわずか58%だけだった。この違いもまた、2017年の選挙期間が短かったせいだろう。

ブライトと共同研究者は、ツイッターをより多く活用する政治家の得票率は上がるのか、という簡単な質問の回答を得ようと研究を続けた。

結論は、「ツイッター・アカウントを持つ政治家は、わずかではあるものの、確かにより多く得票する」だった。

選挙全体へのツイッターの影響は小さいものの、アカウントを持っているグループは持っていないグループよりも得票率で勝っている。ブライト研究員らは「ツイッター・アカウントを持っている下院議員の得票率は、持っていない人に比べると、おおむね7〜9%高くなっていました」という。

ブライト研究員らは、政治家のツイート数を0.28から1.75倍に増やすことで、得票率を1%上乗せできると計算している。

得票率1%の増加はわずかと考えられるかもしれないが、その1%が勝敗を分けた選挙区も多い。ブライトと共同研究者は「研究対象となった選挙戦で当選した人の約14%は、次点の候補者と5%未満の票差しかありませんでした。また、4%の人が1%未満の票差で勝利しています」と述べている。

この研究は、ソーシャル・メディアの重要性を軽視している評論家が考えを改める機会になるだろう。ソーシャル・メディアで広がったメッセージは、候補者に忠実な有権者にしか届かず、他の候補を応援している有権者を取り込むまでには至らないと異議を唱える人もいる。この研究は、その考えが信頼に足るものではないと指摘しているようだ。

「全体で見れば、研究結果から得られた数値で証明できたように、ソーシャル・メディアの活用は選挙戦に重大な違いをもたらすと言えるでしょう」。

(参照:
arxiv.org/abs/1710.07087 :Does Campaigning on Social Media Make a Difference? Evidence from candidate use of Twitter during the 2015 and 2017 UK Elections)


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