kintoneな人 第9回
光ファイバの敷設からkintoneにシフトし、次は海外で対面開発
IoTも得意なジョイゾー山下竜氏、70日間の北米勤務で見たモノとは?
2017年10月30日 09時00分更新
物理インフラ出身で、IoTも得意なkintoneエバンジェリストである山下竜氏。ジョイゾーで対面開発を長らく手がけ、今年は北米に渡って現地企業を対象としたkintone案件も手がけてきた。山下氏がkintoneに行き着いた経緯を追うとともに、自身の目で見た北米市場の現状を聞いた。
光ファイバーの敷設から始まり、kintoneに触れるまで
九州の福岡出身の山下竜氏。大学進学とともに東京に移ったものの、「空気清浄機が真っ黒になった」(山下氏)のを見て、2年で故郷の福岡にリターンした。その後、大学時代に研究していた無線技術の経験を活かし、九州電力の電気通信部門に入社。「光ファイバーを張ったり、パラボラアンテナを持った無線機を設置したり、通信工事や保守をやっていました。インフラ屋さんで、しかもレイヤー0(物理)のお仕事でした」(山下氏)。
転機が訪れたのは、入社してから3年後に九州電力グループのニシム電子工業に出向したことだ。kintoneのパートナーとしても知られている同社では、新規事業開発でIoT案件をやらせてもらうようになり、デヂエを経由して、kintoneに出会ったという。にんじんの生育管理にセンサーとkintoneを活用しているNKアグリの事例に関わったのもこの時期。「先輩がIoTとサイボウズのグループウェアをつなぐことにチャレンジしていたので、それをやるために久しぶりにコードを書くようになりました。その後、サイボウズの野水さんにもお会いし、気がついたらAPIが付いたばかりのkintoneを触っていたという感じです」(山下氏)。
とはいえ、長らく物理インフラを触ってきた山下氏からすると、kintoneやクラウドのインパクトはすぐには理解できなかった。「クラウドを知らなかった当時は、kintoneでできることは、NASに入ったExcelでできるのではないかと思っていました。でも、kintone使っていくうちに、API経由で操作するとか、機械データを取り込むとか、蓄積されたデータを共有するのであれば、クラウドが最適であるということに気付きました」(山下氏)。さまざまなデータを取り込み、さまざまな方法で共有されたデータを使うというユースケースにおいて、クラウドの利用価値に気がついたわけだ。
「幸せなシステム開発を自分でやったらどうなるだろう」と思った
その後、2014年にはkintoneエバンジェリストになり、現在のジョイゾーの社長である四宮 靖隆氏やkintone Caféの創業者である斎藤 栄氏と出会い、自身もkintone Caféを開くことにしたという。「みんなの頭の中に『勉強会やってみたい』という想いはあったんですけど、パートナーの立場とか、参加者の人数とか、いろいろ考えるとできなくなっちゃうんですよね。でも、斎藤さんが札幌でやってくれた。だから、私も福岡で開催できました。10人来ればいいくらいのイメージで、まさに自然発生的に始めた感じです」と山下氏は振り返る。
その後、出向解除後に九州電力に戻り、震災後の光ファイバー系の事業が一段落したタイミングで四宮氏に声をかけられた。そして、kintoneを広めたいという意思を持ってジョイゾーに転職するという流れになる。「システム39での対面開発の話を聞いて、これならkintoneのメリットを活かせそうだと思ったし、ジョイゾーが目指す『幸せなシステム開発』を自分がやってみたらどうなるだろうと興味を持ったのもジョインのきっかけです」(山下氏)と語る。
都内に移住した山下氏は、その後3年間に渡ってkintoneに邁進。ジョイゾーが展開してきた対面開発サービス「システム39」のエンジニアとして、さまざまなシステム開発を手がけてきた。「塾講師をやっていたので対面での会話は抵抗感もないし、事業売却の経験もあったのでプロジェクトの予実管理等も勘が効くという面はあったと思います。お客様との相性や向き・不向きもあると思うのですが、平均以上くらいには向いてた感じです」(山下氏)というのが3年間の自己評価だ。
また、もともとの出自がネットワークや物理インフラ系だった山下氏は、モノのデータ入力にこだわったデモやPoCにもチャレンジしている。「kintoneは基本的に業務システムなので人手で入力することが多いのですが、個人的にはスマホであれ、IoTであれ、データのインターフェイスの幅を拡げていけると思ってます」(山下氏)。AWSやSORACOMなど他サービスとのAPI連携も模索しており、適材適所で使いわけることで、kintoneの価値を上げていきたいと考えている。
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