軽量級5gのイヤフォン本体
イヤフォン本体の重量は公式なスペックにはないが、実測してみたところ片側5gと、かなりの軽量級だった。トゥルーワイヤレスイヤフォンの現行機種で一番軽いのがEARIN M-1の3.5g、次いでERATO APOLLO 7sと、Beat-inのStick/Power Bankの4g。1万円を切る製品としては軽い。
イヤフォンのバッテリー容量は55mAhで、再生時間は最大で3時間。ここはごく普通だ。付属の充電ケースで充電を繰り返せば、約60時間使えるというから、20回程度は充電できるのだろう。
イヤフォン本体の外装もケースと同じ材質で、あえて高級感を狙わず、チープシックでまとめたところにセンスを感じるが、これで防水仕様ならアクティブに使えて、なお良かっただろうと思う。また、気をつけたいのが、ハウジングは完全な円筒形で、机の上で転がりやすいこと(テスト中に2度行方不明になっている)。
低価格ながら、イヤフォン本体にR/Lの表示があり、左右は別の個体で、スマートフォンと接続するプライマリー側は左。一度ペアリングを済ませておけば、ケースから取り出すとスマートフォンへ接続に行く。ここも低価格機ながら、使い勝手は悪くない。
ノズルの径はやや太めで、イヤーピースの選択には気持ちシビアなところはあるが、ノズルには微妙なオフセット角が付いているので、回転させながら耳に装着すると、うまくフィットするポジションが見つけられるはず。
動画は不向きだが優秀な点も多い
再生装置としての欠点は、動画の声ズレが大きく、動画の視聴には向かないこと。しかし、バッテリーがフルチャージの状態なら、フェージング(ステレオ音声の位相がズレて、音像が左右に揺れ動く現象)のような不快な現象も顔を出さない。最低価格帯の製品としては立派だ。
イヤフォン自体の音質については、2000円前後で売られている、特に低音強調をうたわないワイヤードなカナル型をイメージしてもらうといい。決してレンジは広くないが、オーディオ機器として見当違いなチューニングにはなっていないし、好みをうるさく言わなければ、音楽再生用のイヤフォンとして最低限の仕事はしてくれる。この価格の製品として文句はない。
1万円を切る価格で音質を優先するなら、「VAVA MOOV 20 VA-BH001」が有力候補ではあるが、充電ケースは付属しない。もうひとつ、イヤフォン本体が4gの軽量級で、2100mAhの大容量バッテリーを内蔵する充電ケースが付く「Beat-in Power Bank」もあるが、こちらは1万円台半ばから後半と価格設定が高い。
個人的には充電ケースが必須とは思わないが、使い勝手の良さは否定できないし、特にこのAIR TWINSの充電ケースは実用的にできている。トゥルーワイヤレスイヤフォンの利便性を手軽に満喫できるパッケージとしては優秀で、最初に買うこのタイプのイヤフォンとしておすすめできる。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ