Dayzは8月22日、iOS用の広告ブロックアプリ「あどしらず」を発表した。価格は240円。
iOS 9以降にビルトインされた「コンテンツブロッカー」機能を利用したもので、スイッチをオンにするだけでSafariの広告を非表示にできる。これにより意図しないリンクの選択といった誤操作の軽減や、意図しない動画やバナーといったデータ量・不要なトラフィックを削減できるという。若年層向けの不適切なサイトへの誘導・流入防止という、フィルタリングソフトに近い機能も搭載する。
定義ファイルは独自収集した広告情報のリストで、2週間に1回の手動更新。リストはアドサーバーごとに認識しており、ドメインで分析をかけているため、意図しない広告でも同じドメインから出ているものであれば完全にブロックするという。連絡窓口がアプリにビルトインされており、URLなどのデータを送ることで開発陣に依頼をかけられる。バナー/テキスト/動画/その他の広告をブロックし、現状では非搭載だが技術的にはSNSボタンや動画プレーヤーなども削除可能としている。
現状のネット広告は邪魔者扱いされている
発表に先駆けて都内で開かれたメディア向け説明会では、同社代表の玉城朝(たまき あした)氏が登壇。あどしらずのサービス開発経緯などを語った。
同社はChromeのベースとなった「Chromium」プロジェクトのソースを使ったWindows/Mac向けブラウザー「Kinza」を、2015年から展開。スマホ向けソリューションの開発にあたってKinzaを利用中のユーザーを中心にリサーチをかけたところ、突然再生される動画や画面いっぱいに展開されるバナーなど、過激化の一途を辿る広告に問題を感じているユーザーが非常に多かったという。
玉城氏は現状のネット広告に対して「広告ではなくジャマなもの。もはやコンテンツとして成立しておらず、広告として受け取ってもらえない」と指摘。しかしすべての広告を一律で排除することはネットメディア全体にとっても最善ではないという。
それでもあえてコンテンツブロッカーを新サービスとして開始した理由は、コンテンツとしての広告の価値向上を目指したためだと語る玉城氏。メディアに対して広告主が広告を配信する時、適切なサイトのトラフィック(つまり、メディアを享受するユーザーが望む広告)を増やすためのマッチングをすることが、新サービスの大きなねらいだとしている。
「一般的に広告主はアドネットワークを通すことで、どこのメディアに配信されるかわからないという問題を抱えており、配信先を誤ると購買行動につなげるはずの広告でユーザーの心象を悪くすることもあります。ユーザーから見るとわざわざデータ料を払うわけですから、邪魔者扱いされては広告の意味がありません。
“コンテンツブロッカー”という言葉が示すとおり、広告はコンテンツなんです。昔テレビ録画にあった“CMカット機能”も色々と話題になりましたが、テレビCMにも支持される広告があり、そういうものは手元に置きたいとする視聴者もいます。
それに、ある意味で“ダークな世界”もあってのネットだと思うので、そこを潰すのは違うとも感じます。メディア、ユーザー、広告主の関係を見直すきっかけとして、新サービスを受け取ってもらうことができればと考えています」(玉城氏)