据え置きのデスクトップPCとしても利用可能
日本HPは、VRヘッドマウントディスプレー(HMD)向けのバックパックPC「OMEN by HP Desktop 1000」を発表した。本製品は、外付けバッテリーで駆動。専用のハーネスに取り付けて背負うことができ、HTCのVIVEやOculus Riftなどを接続し、VR空間を歩く体験をケーブルレスで快適に行なえるとしている。9月14日発売予定で、予想直販価格は37万5840円から。
背負う形のPCは、MSIの「VR One」、ドスパラの「GALLERIA VR WEAR」、ZOTACの「VR GO」とあるが、先行する3メーカーの製品は、いずれも背負うことのみを前提としたつくりになっている。しかし、「OMEN by HP Desktop 1000」は、専用のドッキングステーションに取り付けることで据え置きのデスクトップPCとしても利用できる。
また、PC本体に接続できる2つのバッテリーのほか、予備バッテリーを2つ備える。PC本体には、別途内蔵バッテリーを備え、外付けバッテリーのホットスワップにも対応。そのため、予備バッテリーに取り換えることで、長時間の連続使用が行なえるようだ。
キーボードやマウスは標準で付属しないようだが、アクセサリとして同社の最新ゲーミングキーボード「OMEN by HP ゲーミングキーボード 1000」や、ゲーミングマウスの「OMEN by HP ゲーミングマウス 600」、「OMEN by ゲーミングヘッドセット 800」が選べるようだ。
重量はPC本体が約2.5kgを予定、バッテリーなどを含めても4.5kgになるとしている。事前の内覧会では、その予定重量よりも重いとのことだったが、バッテリーが外付けのバッテリーホルダーに収まって腰のあたりにあるなど、重量が分散しているためか、VR Oneの3.6kgとさほど変わらないように思えた。
主なスペックは、CPUがオーバークロックも可能なCore i7-7820HK(4コア/8スレッド、2.9~3.9GHz)、グラフィックスがGeForce GTX 1080(8GB)、16GBメモリー(PC4-19200)、ストレージが1TB SSD(M.2 NVMe)と高性能で、VRHMDの推奨スペックを優に超えている。
インターフェースは、PC本体の上部にUSB3.0×2、USB3.1 Type-C、HDMI出力、ミニDisplaPort、VRHMD用電源コネクタを搭載、右側面にUSB3.0×2を備える。
背負う形のバックパックPCは、VIVEのルームスケールなど、VRHMDを被りながら移動するのに適している。「OMEN by HP Desktop 1000」は後発であるがゆえにデスクトップPCになるなど、VRHMD用途以外の使い勝手も考えられている。
また、背負いながらの長時間使用にも耐えうるよう、取り換え用のバッテリーもあり、バッテリーのホットスワップに対応するなど、VRHMD用途の使い勝手も高いように思える。同社はバッテリーの別売りも検討しているとのことなので、イベントや個人店舗利用を検討している人にも注目の製品となりそうだ。
期待も高まるMRHMDにも注目
同社の内覧会では、すでに予約受付が開始され、現在一時販売停止中の「HP Windows Mixed Reality Headsetデベロッパーエディション」 も展示されていた。直販価格は5万3784円。
本製品は、複合現実(MR)が可能となるMRヘッドマウントディスプレー(HMD)。ディスプレーの解像度は片側1440×1440ドット。視野角は95度、フレッシュレートがHDMI2.0接続時で90Hz、HDMI1.4接続時で60Hzとしている。
数値上は、解像度でOculus Riftなどの片眼1080×1200ドットを上回っているが、視野角はやや狭い(Oculus Riftは110度)。現状は、眼鏡の上から使用できず、視差調整も行なえない。
使い勝手は、やや先行して予約を開始していたAcer製と変わらない。前面のHMD部分を上下に可変できるフリップアップ式で、HMDの底面にはイヤホンジャックを備える。
装着時に後頭部にあたるヘッドバンド部分には、締め付けを調整するダイヤルを備える。この調整部分は、PlayStation VRに似通っている。
Mixed Reality Headsetは、現状どういったアプリが利用できるのかなど、明確になっていないところもあるが、PC用のHMDとしては安価であり、外部センサーを必要とせず、ヘッドトラッキングが利用できるといった利点も大きい。製品発売後の動向にも注目していきたい。