サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。
本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第11回では、業務に必要なアプリをゼロベースから構築してみる。

飲食店向けのナレッジアプリを一から作ってみる
業務で使いたいシステムがkintoneアプリストアになく、まだエクセルも作っていない場合、一からアプリを構築することもできる。とはいえ、ゼロベースから作ってさえ、kintoneなら短時間で済む。コツは、アプリを作る前に業務で必要なデータをきちっと洗い出しておくこと。
今回は、たとえば飲食店向けのナレッジアプリを作ってみる。せっかく多種多様なお酒を購入し、試飲しているのに、それがそれぞれのスタッフの味の記憶としてしか残らないのはもったいない。データベース化し、全スタッフで情報を共有したい。さらに、ボトルがリニューアルしたり廃版になったりした時に貴重な情報源になるし、お客様への提案の幅や仕入れのバリエーションが広がるかもしれない。
まずはアプリの追加画面から、「はじめから作成」をクリックする。アプリの作成画面が開くので、フォームをドロップしよう。ドロップしたら、設定画面を開き、フォーム名を入力したり、必須項目にしたりできる。後はこれを必要な分だけくり返せばいい。
フォームは28種類用意されており、自由に組み合わせられる。商品名は「文字列(1行)」にして、文字入力を可能にする。登録日は「日付」フォームを利用する。入力時にはクリックするとカレンダーが開き、手軽に日付を選択できる「設定」の「レコード登録時の日付を初期値にする」にチェックしておくと、登録日を自動で入力できるのでユーザーの手間が省ける。同じように時刻を登録したり、日時を登録したりできる。
画像も登録したいので「添付ファイル」フォームを追加。サムネイルの大きさは初期設定が150×150ピクセルになっているが、最大の500×500ピクセルにした。画像以外はサムネイルが表示されないが、オフィス文書などほかの形式のファイルを添付することもできる。
1つだけ選択できる選択項目は「ラジオボタン」や「ドロップダウン」、複数選択できる場合は「チェックボックス」や「複数選択」といったフォームを利用する。テイスティングコメントのように、1行で済まなそうな場合は「文字列(複数行)」が用意されている。「リッチエディター」では複数行のテキストを入力できるだけでなく、文字の大きさや色をワープロライクにカスタマイズできる。
フォームのサイズは、端をドラッグすることで調整できる。要素が揃ったら、PC上での見栄えをよくしておこう。表示位置が微妙に揃わないなら「スペース」を追加すれば調整できる。入力データの内容を区切りたいときなどは「罫線」を追加すればいい。
アプリを公開したら、動作テストを行なおう。必須項目はユーザーの負担になっていないか、選択肢が足りなくはないか、表示位置は使いやすいかどうか、などをチェックする。もちろん、スマホでも利用できるので確認。レコード番号だと何のことかわからないので、レコードタイトルには商品名が表示されるようにしておこう。(「第8回 kintoneは外出先からスマホで利用できる」参照)
本格的にデータを登録し始めてから、フォームを追加したり削除したりすると手間なので、テスト段階できっちり過不足を決めておこう。

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