ポッドから取り出すと自動接続
イヤーピースは本体装着品と合わせて4ペア付属するが、グレー、黒ともに大小2サイズしかない。おそらくこれで大多数のユーザーに適合するはずだが、ユーサーによってはうまくフィッティングできない可能性もある。その場合は、付属品には含まれないが、コンプライのイヤーピース(T-400)に対応するので、これを利用する手もある。
本体が小型で軽いので装着も楽だし、フィット感も悪くない。特にエルゴノミクスに考慮したデザインでもないが、よほど激しい運動でもしなければ、装着安定性が問題になることもないだろう。
イヤフォン本体の操作系はワンボタン式のマルチファンクションタイプで、電源のオン・オフやペアリング操作、音楽の停止と再生、ダブルクリックで音楽のスキップ、長押しでSiriやGoogle Nowの呼び出しなど、一通りの操作ができるようになっている。
ペアリング操作を済ませた後は、ポッドから取り出すと電源が入り、ステレオペアの接続を維持したまま、自動的にスマートフォンと接続する。耳から外してポッドに収納すると、スマートフォンとの接続が切れて、充電モードになる。このへんの使い勝手もこなれていて、とても扱いやすい。
ディープな領域の低域再生能力が魅力
音に関しては、重低音の再生力の高さに特徴がある。重く、ディープな領域の成分を持ち上げながら、中高域をマスクせず解像感を確保しているところに、このイヤフォンの良さがある。
BOSEはまだトゥルーワイヤレスイヤフォンを発表していないが、もし仮に製品が存在していたとしたら、こんなチューニングかもしれないなというバランス。代わりに、ドライバーは6mm径ということもあり、EQカーブを操作して作ったような感じは若干ながらある。そういったタイプのチューニングが気に入らない人にはなじめないかもしれない。
左右チャンネルの位相差から来る音像の移動は、ほとんど感知できなかった。動画再生時の音ズレは認められるが、演者の動きと再生音のズレが目立ちやすい音楽ビデオでも気にならない程度のわずかなもので、MV鑑賞向きのモデルだろうと思う。
ルックスや低音域を主体にした音のまとめ方、そして価格帯から言って、同じ6mm径のドライバーを使ったSOL REPUBLICの「AMPS AIR」といい勝負になるはずだ。だが、動画の音ズレなどBluetooth周りの性能では、sonabudsが少なからずリードしている。
Bluetooth周りの性能を重視するなら、今のところAppleのAir Podsが最右翼だが、あちらはオープンエア型。低音域の再生能力、遮音性は断然sonabudsの方が高い。破綻のないディープな低域は、小型軽量モデルとしてとても魅力的だ。
レビューした両機種はe☆イヤホン各店舗で試聴できるので、興味がある人は試してほしい。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ