小型化されたイヤフォン本体
Aria Oneと異なるのは、まずパッケージングだ。イヤフォン本体は薄くなり、全体的に小型になった。それにより連続再生時間はAria Oneの4時間に対し、Aria Twoは3時間と1時間短くなっている。
そして装着安定性を確保するためのスタビライザーは省略されている。防水保護等級が一段下がったことでもわかるように、ジムでのハードなトレーニングは、想定される用途の上位項目から外れたということだろう。
イヤフォンの充電は、付属のバッテリー内蔵ケースを使う。ケースへの給電はUSB経由で、イヤフォン本体の充電に60分。ケース内蔵バッテリーの充電には2時間かかるが、これで電源のない場所でもイヤフォンを3回充電できる。
左右はシルバーとゴールドで色分けされているのでわかりやすい。ゴールドが右チャンネルで、スマートフォンと直接接続するプライマリー側。Bluetooth 4.0対応で、マイク内蔵でヘッドセットとしても利用可能。一度ペアリングを済ませれば、電源を入れるだけでステレオペアとして自動接続する。
イヤフォン本体は、一見するとメタルパーツをあしらっているように見えるが、実際には樹脂成形品。操作はマルチファンクションのシングルボタン式で、「♭5」ロゴの入った側面全体がボタンになっている。
付属品はバッテリー内蔵ケースのほか、充電用USBケーブル、クリーニングクロス、標準のシリコン製イヤーチップ(SML)、コンプライ製の形状記憶フォームチップ(SML)、そして日本語も含む取扱説明書。
やや低域寄りになった音質
本体の形状はまったく人間工学的に見えないが、その割に装着感は悪くない。イヤーピースがフィットしていれば、装着安定性も悪くはない。むしろこのデザインはボタン面積が大きくとれるので、操作性でのメリットを感じる。
Bluetooth周りの使用感は、印象の良かったAria Oneそのままで、トゥルーワイヤレスイヤフォンにありがちなフェージングの問題は感じなかった。動画再生時の映像と音声ズレは存在するものの、音と動きのズレが目立ちやすいミュージックビデオでもさほど気にはならない。
音に関しては細かいチューニングが入っているようだ。まず、再生音の帯域バランスは、味付け程度だがやや低域寄りになり、もう少しあってもいいかなと感じていた高域が増している。標準装着のイヤーチップは、内側に硬めのシリコンチューブを使ったハイブリッドタイプに変更されているので、高域の印象はそのせいでもあるはず。
全体としてドンシャリにならずに済み、ワイドレンジ化しただけのように感じられるのは、もともと中音域の解像感が豊富なおかげ。ドライバーユニットの特徴と思われる独特のエア感はそのまま生かされているし、ダイナミック型ドライバーのイヤフォンとして、これもまた不満のないバランスだ。
総じて言うなら、デザインを高級志向に、音もゴージャスな方向に振ったのがAria Twoのようだ。ただ、fFLAT5ならではのよさはAria Oneでも楽しめるし、バッテリーも長く持つ。迷ったら価格やデザインの好みで選んでしまってもいいかもしれない。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ
