月刊アスキーが創刊して40年もたってしまったので思わずASCII倶楽部で復刻します!!
「月刊アスキー」生誕40周年記念!! ついに1977年の創刊号を全ページ公開だっ!!
2017年06月18日 12時00分更新
テクノロジーは40年で進化したが、
我々自身はどれだけ前に進んだのだろう?
遠藤諭(元月刊アスキー編集長)
角川アスキー総合研究所 取締役主席研究員
いまから30年以上前、私は『東京おとなクラブ』という同人誌のようなものを作っていて、それで知り合った元『ログイン』編集者の野々村文宏氏(現:和光大学表現学部表現文化学科准教授)の紹介でアスキーに入社した。たぶん、採用になったのは仕事でDECのVAX-11/780を使い倒していましたとか、会社でちょっと触ったJStarについて一人前の話をしたからだ。どちらも、当時のマイコン野郎たちには憧れのマシンですからね。アスキーに来てMS-DOSやCP/Mに触りだして「dir」とやるのだと知って「なんだDECのマシンと同じじゃん」というのを身をもって体験したクチの一人である。
それが、1985年なのでつまり私はそれまで月刊アスキーやマイコンを1つ外側の世界から眺めていた。月刊アスキーが創刊された1977年は、米国で初期の「マイコン御三家」と呼ばれたアップルの「Apple][」、コモドールの「PET2001」、タンディラジオシャックの「TRS-80」が登場した年である。Apple][とPETのCPUはファミコンに同じ「MOS 6502」、TRS-80は後にMSXはじめ多くの国産機でも使われる「Zilog Z80」である。ああ、8ビットの世界は楽しかったと懐かしい人も多いはず。
つまり、それまでキットを自分で組み立てるのが基本だったマイコンが、本体ケースに入っていて自宅で電源を入れればすぐに使い始められる。それまで企業や大学で使うしかなかったコンピューターが、家庭にやってきたというのはまさに革命だった!
少し前後するものの仕事でIBMの超大型コンピューターである「S/370」(ビルの1フロアを占拠するような怪物マシンを直接触った=当時の銀行は何百億円もかけて第二次から三次オンラインの開発に猛然と向かっていた)や、前述のVAX-11/780(FORTRANマシンだがDECのシステム記述言語BLISSや論理プログラミング言語Prologを使った=このスペックで1億円を割ったことが話題だった)を使っていた私には、よりその実感があった。
ところがその一方、この1977年は、最初に成功した家庭用ゲーム機の「Atari VCS」が発売された年でもあった。この時代、マイクロエレクトロニクスは急速に我々の身の回りに着実に浸透をはじめていて、いまよりも目まぐるしく変化していたのだ。創刊号の誌面でも音声認識やコンピューターミュージックなどが扱われているが、我々が目指しているコンピューティングのテーマは実はこの時代にほとんど示されていたのではないかとも思える。このあと、マイコンによって、炊飯器がオコゲを作らなくなり、エアコンで寝冷えすることもなく、カメラのピントが自動で会うようになっていく時代でもある。
78年 マイコン搭載エアコン、マイコン搭載カメラ、スペースインベーダー
79年 PC-8001、ウォークマン、マイコン搭載の電子ジャー
80年 ゲーム&ウォッチ、OAブーム
ところで、創刊号には、安田寿明さんの『マイ・コンピュータ入門』(講談社ブルーバックス)が紹介されている。私も、むかし読ませてもらった記憶があるが、アスキーの記事と同じく、著者は、このときすでに音楽やら通信やらさまざまなことにフル活用している。本の最後で、マイコンが知識社会に与えるインパクトを強く訴えていた点がきわめて印象的だ。コンピュータが、いまのように我々の知とエンターテインメントと創造性にかかわるものと、先達たちは喝破していたのだ。
私が、はじめて使ったパソコンはアスキー編集部に入るのとほぼ同時に買った「Apple//c」だった。子どもを想定したソフトが多数出ていて、そうしたソフトが人間とコンピューターの関係をより考えさせてくれた気がする。最近、全国小中学生プログラミング大会というのを、株式会社UEI、NPO法人CANVAS、朝日新聞社さんと一緒にやっているが、子どもたちの創造性に対するコンピューターの活用に関しては、本当にこの頃よりも進んだのかあやしいと思っている。
月刊アスキー創刊40周年リレーコラムは 明日も公開の予定です!!
復刻版について
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月刊アスキー復刻版は、当時出版されたものを、そのまま再現しており、広告等も、当時のコンピューター業界を知る手だてと考え、そのまま収録しております。また、記事および広告における住所・連絡先等は、誤用防止のため削除しております。ご理解の上、ご利用いただけると幸いです。
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