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月刊アスキー創刊40周年、特別寄稿 第5回

月刊アスキーでの10年間 / 泣きながら作った最終号!!

2017年06月22日 12時00分更新

文● 橋本優・岡本善隆 / ASCII編集部

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今回は、現役のASCII編集部員2名(おなじみの2人です)の、
月刊アスキー編集部時代の思い出です!!

橋本優
ASCII編集部
(元月刊アスキー編集部)

 私が月刊アスキー編集部で働きはじめたのは、1996年だったと思います。当時月刊アスキーといえば、PC総合誌として王道を行く雑誌。そのページ数は広告を含めて300ページを超え、鈍器のようなものの1つとして数えられそうなほど分厚い雑誌でした。

創刊5号目の特集は「TK-80の2K BASIC」と「コモドールPET」!!

 そんな有名な雑誌ですから、当時の編集部員たちはプライドと誇りに満ち溢れ、校了前の徹夜続きの時期でもギラギラした感じで働いておりました。

 また、子供のころからPC、というかマイコンに親しんでいた人が多く、PC-88がどうとか、MSXがどうとか、X68000がどうとか、コモドールがどうとか、そんな会話が飛び交っていました。そういう猛者が集まった編集部だったのです。

 私は……今だからカミングアウトしてしまうと、当時のパソコン歴はほんの2年ほどでした。生まれたての小鹿状態です。

 はじめて買ったPCはPC-9821CE2、後に「Canby」と呼ばれるPCシリーズで、すでにCD-ROMとかついていたし、「マルチメディア」なんて言葉が普通に使われるようになっていた時代のPCです。

1992年に発売となった初代PC-9821は一体型のようなデザインだがCRTは別体だった.

 パソコンの知識も含めてほぼド素人の私でしたが、優しい先輩とか優しくない先輩とかに囲まれ、編集者の丁稚奉公(お手伝い)からニュース書き要員を経て、数年後には3DCG系ページ担当という地位を得るまでに進化しました。

 そのタイミングで、パソコン業界には美少女3DCGブームが起きます。「Shade」とか、「Lightwave 3D」とか、3Dモデリングソフトに注目が集まりました。  私は、何本か記事を編集した結果「よし、俺も美少女3DCGを作って名を上げるぞ!」と自腹で総額100万円超の機材を買ったりしました。結果としては3DCGソフトが難しすぎて制作を断念。借金だけが残りましたけど……。

2008年に発売となった「Shade10」の記事より

 その後、PC用のテレビチューナーカードがブームとなり、3DCGつながりでそのあたりの製品を担当。カノープスのMPEG-2テレビチューナーカード「MTV1000」を購入してテレビ録画に明け暮れました。私が現在AV機器担当としてASCII.jpで活動しているのも、このあたりが原点です。

2001年にカノープスが発売した「MTV1000」はテレビ放送やビデオ入力を可変ビットレートでMPEG2変換できた.

 そんなこんなで10年ぐらい在籍していたでしょうか。パソコンだけでなく、いろいろな話題に触れられ、知識を深めることができたのは月刊アスキーにいたからだ、と思う今日この頃です。



岡本善隆
ASCII編集部(アスキースマホ総研)
(元月刊アスキー編集部)

 月刊アスキー周辺の編集部には長らく所属しているものの、月刊アスキー本体には最後の2年のみの自分がなにか語ってもいいものかと思っていたのですが、“PC誌としての”月刊アスキーの最終号(2006年8月号)に携わった数少ないスタッフだったということで理由付けは完了。このテキストを入力しています。

 で、その2006年8月号なのですが、これが残念ながらあまり記憶がありません。そういえば当時の月刊アスキー編集部スタッフのうち約半数は、4ヵ月後を予定していた“ビジネス誌”へのリニューアルに携わっており、残りのスタッフで主に最終号を作ることになった結果、大変な状況に……どうりで記憶に欠落があるわけです。

 唯一鮮明に覚えているのは、付録DVD-ROMも担当することになってコンテンツを集めていたところ、締切直前に遠藤元編集長が「最終号にDVDを付けるなら、入れたい映像がある!」とおっしゃるので、プレス業者に電話越しにペコペコと頭を下げてマスター入稿を1日延ばしてもらったあとに渡されたMPEG-1データは、通路と机に大量の荷物が積み上がった1996年の編集部の様子をダラダラと写した謎映像だったのです。これを喜んだ読者の方はいたのでしょうか……。

こちらが、付録DVDのページ.過去の記事とともに「アップル社取材ビデオ」も!?

 その謎映像では、編集長によってカメラが向けられているにも関わらず、ある先輩は鋭い視線のまま一瞥してスルー、ある先輩は悠然と仕事机で漫画誌を読んでいます。一般常識的にはそれってどうなんだという考えもあるかもしれません。ただ、その姿は自分の記憶にあるそれぞれの先輩のイメージそのもの。編集者たるもの、一流プロレスラーのように、あくまで自らのスタイルを貫くべきなのでしょう。一方で、最近の自分は全然それができずに、空気が読めないのに必死に読もうとしています。反省です。

 話を戻すと、月刊アスキー最終号は「パソコン30周年の振り返り」がテーマだったので、まず昔の月刊アスキーを読まないと始まらないだろうと過去の号を取り寄せて、ザッとですがひたすら読みまくりました。それでわかったのが、時代ごと、それどころか号単位でも内容やテイストが結構異なることです。ビジネス寄りにもなれば、ホビー寄りにもなり、コンピューターサイエンス寄りなこともあります。

2008年6月号の特集は「伝説のパーソナルコンピュータ100+」でした!!

 この読み通しの経験によって、読者の皆さんが、月刊アスキーの感想を語るとき、その人ごとにまったく違う内容である理由がわかった気がしました。そんな懐が広い(自由度が高い)存在だからこそ、自分でも関われたのだろう、ということでこの原稿を締めたいと思います。



月刊アスキー創刊40周年リレーコラムは 明日も公開の予定です!!

復刻版について

月刊アスキー復刻版は、当時出版されたものを、そのまま再現しており、広告等も、当時のコンピューター業界を知る手だてと考え、そのまま収録しております。また、記事および広告における住所・連絡先等は、誤用防止のため削除しております。ご理解の上、ご利用いただけると幸いです。

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