働き方改革とG SuiteがGoogle Cloud Nextのもう1つのテーマ
ファミリーマートはGoogle Cloudと企業文化をセットでインストール
2017年06月16日 07時00分更新
働き方改革を実現する企業文化をグーグルと作る
働き方改革とG Suiteの文脈でもっとも今回の大きなトピックは、ファミリーマートとの提携であろう。Google Cloudカスタマー部門 プレジデントのタリク・シャウカット氏の導きで登壇したファミリーマート代表取締役社長の澤田 貴司氏は、グーグル提携との背景について熱く語った。
現在、ファミリーマートの店舗数は国内で1万8000店、海外でも6000店舗を数える。国内では毎日1500万人が来店しているが、「とにかくお客様に一番身近な存在でありたいと考えて日々やっているが、できていないことが多々あります」と澤田氏は語る。
この背景は、サービスを多層化したことによる業務過多と社会問題ともなっている人手不足だ。単なる小売店舗の枠を超えつつある今のファミリーマートでは、レジの接客や発注のほか、品出し、鮮度チェック、清掃、宅配便の配送、スタッフのトレーニングなど業務内容が多岐に渡る。「全国20万人におよぶスタッフに大きな負荷がかかってしまっているのが現状」と澤田氏は語る。
こうした課題を解決すべく、ファミリーマートはグーグルと提携することでテクノロジーのみならず、企業文化も導入していくという。「企業文化をどうやってファミリーマートにインストールしていくか、そして小売り分野におけるGoogle Cloudの応用を推進すべく、グーグル様と提携させていただく」(澤田氏)。
企業文化に関しては、生産性の向上や業務削減、ツールの導入といった一連の働き方改革は当然だが、実際はこれらを実現できる企業文化を作っていく方がむしろ重要だと澤田氏は語る。コミュニケーションやコラボレーションはもとより、十倍、数十倍の成長を目指す指向を醸成し、企業文化を大きく変えていくという。
両社の提携ではすでにパイロットプロジェクトがスタートしており、従業員への働き方の意識調査を行なったほか、グーグルのファシリテートの元、企業文化を変えるためのワークショップも主催した。さらに全社アンケートや本部でのGoogleDriveの採用、マルチデバイスでのハングアウトの採用など、G Suiteを使った働き方改革の実証実験を300人程度の部署で実施。これにより、アンケートは70時間から15時間、資料の編集時間・打ち合わせが4時間から0時間/回に、会議の移動時間も1.5時間から0時間/人にまで削減できたという。
未来のファミリーマートを作っていくためのテクノロジー活用としては、まず機械学習による発注業務の改善を実施。おむすびの発注業務で試したところ、実測と予想の平均誤差率が開始2週間で11.65%、その1週間後には9.68%にまで減少した。また、年間55億人という来客から得られる膨大なデータもGoogle Cloud Platformにため込み、新規サービスの立ち上げや加盟店での分析に利用していく予定だという。「今までの10倍の思考で、ファミリーマートをお客様により近い環境でサービスが提供できる会社に変貌させていきたいと思う。グーグル様の力をお借りしながら、変革できればと強く思っています」(澤田氏)。