このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第253回

ワインを飲んだらどのくらい酔っ払うのか業務用アルコールセンサーでチェックした

2017年06月11日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ワインを1杯ずつ飲んで計測してみる

 飲んでいないときは、0.00mg/Lと表示されるが、実際に検出される場合はどうなのだろうか。お気に入りの「パナメラ キュベ ナパ2010」の最後の1本を開けてみよう。まずはまだ飲んでいないことを確認し、ワインをちびり。カベルネ・ソーヴィニヨンにメルロにジンファンデル。美味い!

 飲んですぐにチェックしたところ、ビープ音が鳴り、0.59mg/Lと表示された。呼気のアルコール濃度が0.1~0.5mg/Lがほろ酔いで、0.5~1mg/Lが酩酊、1~1.5mg/Lが泥酔、それ以上が昏睡となる。1杯目でもう酩酊か、と思ったのだが、実は飲酒直後に計測してはいけないのだ。口の中にアルコール成分が残っていたら当然多く検出されてしまうし、そもそもマニュアルには飲食後20分を経過してから計測するように書かれている。

 そこで、15分後(待ちきれず申し訳ありません)にうがいをして検出したら0.00mg/L。1杯じゃ酔わないのか? さらに美味しくなった2杯目を飲んで15分後に計測し、これも0.00mg/L。3杯目の15分後も0.00mg/L。何か操作を間違えているのか? と不安になりつつ4杯目の15分後の計測で、0.11mg/Lを検出してくれた。5杯目で0.12mg/Lだった。

 7杯目でやっと0.19mgと0.15mg/Lを突破した。醸造酒だと時間かかりそうなので、蒸留酒に移行。我が寝酒の「レイモン ラニョー ヘリテージ」。100年物で独特の香りがするのがいい感じ。飲み終わってから15分後に計測したところ0.28mg/Lとなった。この後、ウイスキーに移行して計測しようとしたのだが、タイミングは忘れるわ、キャプチャーは忘れるわで酔っ払ったようだ。うがいを忘れて、2.00mg/Lをオーバーし、計測エラーも起こしている。

 結論として「FC-1000」の計測精度はとても高いことがわかった。大前提として、一滴でも飲んだら絶対にクルマの運転をしてはいけないし、もっと基準を厳しくしてもいいくらいだ。

 なお、アルコール代謝の能力は個人差が大きく、筆者のように酒に強い人は検出されるまで時間がかかることもある。また、同じ人でも体調にもよって検出されるまでの飲酒量は異なるので数値のみで判断せず、飲んだら絶対に運転はしないように。

まずは最初に0.00mg/Lであることを確認

ワインを飲む

15分後に測定したところ、0.00mg/L

4杯目を飲んだ後にやっとアルコールを検出

7杯目を飲んで0.15mg/Lをオーバーした

度数の高い蒸留酒へ移行

1杯で、0.28mg/Lに上がった

58.6度のウイスキーに移行したら酔ってキャプチャーを撮れなくなった

屋外でも店舗でも計測し
遠隔地で結果を確認できる

 次は従業員の飲酒チェックに使ってみた。前述の通り、1台の「FC-1000」で複数スタッフのチェックができる。くわえていないといけないので偽装も難しい。そこで、実際にスタッフが飲んでいないかチェックしてみた。

 バーテンダーはお酒をつくる際、開けたボトルやミックスしたカクテルの味をちょくちょくチェックする。これがどう出るかに興味もあったが、見事に0.00mg/Lだった。プロフェッショナルのバーテンダーには下戸の方も多いのだが、これで納得した。この日、原価BARに出勤した全員にやってもらったが、検出されたのは筆者だけだった。たしかに、ぐびぐび飲んでしまった。

 ほかにも、スポーツ施設などアルコール禁止の場所もあるだろう。そんなところにも1台あればチェックできる。ただし、計測ごとにマウスピースを交換すること。前の人の匂いが付いていると正確に計測できないためだ。多人数のチェックを行なうなら、付属のストローホルダーを使う手もある。これなら市販のストローを使って低コストで計測できる。とはいえ、これもストローホルダーに匂いが付いたら洗う必要がある。

原価BARのスタッフに抜き打ちで呼気チェックを行なった

味見はしていたが、見事0.00mg/L

筆者は味見を超えていたらしく、ほろ酔い

ダイビングはアルコール御法度だ

前日の夜は相当飲んだが、きちんと寝たので0.00mg/L

 「FC-1000」は原価BAR各店舗に欲しくなるほど、業務用として使い勝手がよかった。アルコールの検出精度が高く、何より耐久性が高いのがうれしいところ。価格もお手頃で、操作は簡単。データをとりまとめるソフトの操作は少々手間がかかるが、1台で複数スタッフを管理したり、逆に複数の「FC-1000」で拠点ごと車ごとに計測することも可能。データはGPSデータと計測時の写真と紐付くので、不正行為も難しい。

 業務などで酒気帯びの有無を確認する必要があるなら、検討してはどうだろう。「FC-1000」なら、価格的にも操作的にもハードルは高くない。

■関連サイト


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。パソコンやIT関連の媒体で、特集や連載、単行本を多数手がける。PC歴は四半世紀を超え、デビューはX1C(シャープ)から。メインPCは自作、スマホはiPhone+Xperia、ノートはSurface Pro3とMacbook Air。著書に「銀座のバーがウイスキーを70円で売れるワケ」(日経BP社)、「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)など。筋金入りのバーホッパーで夜ごとバーをハシゴしている。好きが高じて、「原価BAR」を共同経営。現在、五反田・赤坂見附・銀座で営業中。


前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン