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GTX965M搭載にバッテリー増で最強化

新Surface Book 試用レポート Performance Baseは速くて長持ちだった!!

2017年05月26日 15時00分更新

文● 編集長みやの(@E_Minazou

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 米国では2016年10月に発表となった第2世代のSurfaceBookが日本でも4月20日に発売となりました.実際の名称は、「Surface Book with Performance Base」という長ったらしい名称です.初代はGPUなしモデルとありモデルで同じ名前だったのに、今回は急にPBという名前がつきました.

SurfaceBookは合体すると強くなる
超メカロボなPCなのである

 おさらいになりますが、SurfaceBookは液晶部分とキーボード部分が着脱式のいわゆる2in1型ノートですが、ほかと大きく異なるのが、キーボード部分にGPUを搭載していることです.つまり、液晶側=タブレット単体ではコアiの内蔵グラフィックが働いていますが、合体して重いアプリが起動したとたんに、キーボード側に内蔵している外部GPUに切り替わって超高速モードになるという、変身合体メカ的なステキなマシンなのです.

 初代モデルからずっと使っているのですが、なにより魅力なのはGPUもさることながら、搭載している液晶です.13.5インチというとフツーな感じがしますが、縦横比が3対2なので、16対9や16対10の液晶より面積は広くなっております.解像度も3000×2000ドットと、Windowsの100%表示では文字が小さくなりすぎるくらいの精細度で電子雑誌の文字もきちんと読めます.もちろんsRGBの色域を100%カバーしていますので、デジカメで撮った写真をいじるのにも最適です.

週刊アスキー電子版も最高環境で読むことができるのだっ!!

 キーボード部分も某SurfaceProの着脱式とは比べ物にならないくらい良いキータッチで、タッチパッドも広くて誤動作もなく、申しぶんない出来です.自分としては英語配列のほうがスッキリしていて好きなので、日本でも購入時に選べるようにしてほしいですね.
 ちなみに液晶部分のロックは電磁方式で、キーボードの「分離」ボタンを押すと、ガチャンといって離れます.この分離合体電磁メカは男の子のキモチをとってもくすぐるもので、買ってよかった感が増幅します.

日本語キーボード(上)とUSキーボード(下)

Delの左の脱出キーを押すと「ガチッ」と音がして液晶部が外れるのがステキなんです.

新モデルPBは3Dに強くて
バッテリーも増強された

 で、今春発売となった新製品「PB」は、その名のとおり、上半身はそのままで、下半身つまりキーボード部分の「Base」の能力がUPしました.
 まず、GPUですが、旧モデルはスペック表では「GeForce GPU」という表記です.ほぼ「GeForce940M」と同じ性能でMaxwellアーキテクチャーで、シェーダーは384個搭載していますが、メモリーは940Mより高速な5GHzのGDDR5を利用可能となっています.そのへんが940MではなくGeForce GPUと呼称しているゆえんですね.

本体左は従来どおりTYPE-A×2とSDカードスロット

本体右にはディスプレイポートと電源コネクタのみ

 対する新モデルのPBに搭載しているのは「GeForce GTX965M」で、アーキテクチャはMaxwellで同じですが、なんといってもGTX様ですから、シェーダーは1024個と、940Mの約2.7倍強くなっています.ちなみに消費電力は25から50Wと倍になっていますけどね.
 GTX965Mが接続きるメモリはGDDR5で旧モデルと同じですが、バス幅は64から128bitへと2倍になり、最高メモリ量は1024から4096MBと4倍に増えています.ただし、PBのVRAMは2GB搭載です.
 GTXにパワーアップしたためか、PBのほうはバッテリー容量が増えています.50から60Whへと、10Whの増量です.タブレット側は同じ18Whなので、合計で68から78Whになったわけで、モバイルノートとしては最大クラスですね~
 そんなにスキマがあったのでしょうか?と思ったら、キーボード部の厚みが増しています.手前の最薄部が約5ミリから約7ミリに増え、液晶部と合計では13から15ミリになっています.キーボードの奥の部分もちょっとモッコリふくらんでいて、給排気口も大きくなっています.こちら側は元々折り畳んだときに液晶面とスキマがあるので、全体サイズには影響を与えていません.重量も増えていて、1579グラムから1647へと68グラム重くなっています.そのぶん、バッテリーがもつようになっていれば、まあオッケーですね.

キーボード手前の最薄部が約2ミリ厚くなった

キーボード後部もモッコリと盛り上がって分厚くなっているではないか!!

タブレット側は同じでも
合体時の3D描画は旧モデルの2.4倍高速に

 というわけで、みんなの好きなベンチマークテストをしてみました.
 まずはCPUのチカラをみるCineBenchですが、値は同じでした.これは両機種ともにコアi7-6600Uを搭載していますから、アタリマエですね.
 次に、GPUの違いをみるためにみんなの大好きな3DMarkを走らせました.FireStrikeでは、タブレット単体つまり内蔵グラフィックでは637で、旧モデルのキーボード合体時は1887、新モデルでは4454と出ました.
 内蔵GPUとGeForce940Mの差が約3倍あって、さらに新モデルのGTX965Mでは約2.4倍速くなっています.つまり、新モデルでは、液晶のみの場合に比べて約7倍も速くなるということでございます.合体する意味がより高くなったわけで、合体こそ人類の繁栄をもたらすものだと実感します.
 ちなみに3D系のベンチマークを走らせると、本体の温度も旧モデルより上がるようになりました.構造上、液晶部とキーボード部の両方に冷却ファンを内蔵していますが、GPUが全開になると、キーボード側のファンが回って、送風音がします.旧モデルではそれほど気にならなかったのですが、新モデルでは「シュー」という音がして、キーボード奥の給排気口から温風が出ます.GTXを搭載しているのですからしょうがないですね.

キーボード奥の吸排気口はよくみると大型化している.厚みが増えたのはファンの大型化のためかもしれない

液晶側からみた吸排気口.左右に出口が2つあり、それ以外の場所から吸気している.

 風は液晶に沿って散らばります.他社のゲーミングノートのように、背面や側面に大きな口があって掃除機のようにゴボワーっと排出するのではないので、自分や他人に迷惑がかかることはありません.なかなかいい設計です.

1TBのSSDは新世代モデル搭載で
256GBの4倍も速かった

 SSDの速度も測ってみたところ、ランダムアクセスはありま変わりませんでしたが、シーケンシャルの書き込みがとても高速化していました.おなじみCrystalDiskMarkのマルチキューで約4倍、シングルキューでも約1.7倍高速です.
 ちなみに、自分の旧モデルはSSD容量が256GBで新モデルは1TBなので、それだけでも速くなる要素はあるのですが、ドライブを調べたところ、旧モデルはPM951シリーズ(MZVL256HCHP)で、新モデルはPM961シリーズ(MZVLW1T0HMLH)へと世代が上がっていました.えっ、液晶ユニットもバージョンアップしてるんじゃんなにこれと思ったのですが、旧モデルの1TB版を所有している某敏腕筆者の某笠原さんに型番を教えてもらったところ、同じドライブでした.

上が256GBの旧モデル、下が1TBの新モデルによるCrystalDiskMarkの結果でござる

 つまり、昨年後半に発売となった1TBモデルはすでにこのドライブを採用していたわけで、新モデルだから速いのではありません.つまり、新旧どちらのモデルでも1TBモデルはほかより速いということです.

バッテリーは増量分ながもち
ACアダプターもパワーアップした!!

 さて、バッテリーが増量した効果はいかがでしょうか? カタログ値としては旧モデルが12時間、新モデルが16時間と、33%の長持ちがうたわれています.ただしこの値は、国産PCのJEITA値とは違って、「ビデオを見続けた場合」という独自条件です.
 先のとおり、キーボード側のバッテリー容量が10Wh増えたので、液晶側と合わせると68から78Whと、15%増えています.
 みんなの大好きなBBenchで、輝度最大、省エネOFFで計測したところ、旧モデルが4.4時間、新モデルは5.1時間もちました.約15%増しというのはちょうどバッテリー容量の増し分と同じですね.軽量級のモバイルノートでは、同条件で2~3時間というのが普通なので、5時間動くノートは長寿命くんです.ただし、新モデルPBはGPUが強化されているぶん、いざという時にはパワー食いノートにもなっていますので、モバイルで3D系のゲームをした場合は、旧モデルよりバッテリーは早くなくなります.
 さらに、本体に付属するACアダプターが大きくなっていました.旧モデルではmodel1706という消費電力73Wのものでしたが、新モデルではmodel1798という102Wヤツがついてきます.15Vでの供給可能電流は4.0Aから6.33Aに上がっています.

右が旧モデル、左の大きい方が新モデルに付属するACアダプター.ケーブルも太く長くなっていて100グラムも重い!!!

 マイクロソフトは充電時間は公表していませんが、バッテリーが大きくなったのと、GPUの消費電力が上がったぶん、ACアダプターをデカくしてしまったものと考えられます.
 重さを測ってみると、228から330へと100グラムも重くなっているではないですか.本体と合わせると、ピタリ170グラムも太っています~先生どうしましょう!!
 せっかくなので、充電速度も測ってみました.PCを使用しながら(消費時と同じく液晶最大+省エネなし)で、ちょうど1時間で50%、2時間で90%まで充電できました.旧モデル用のACアダプタで充電してみましたが、この条件では同じ時間で充電できました.3Dゲームをしながらといった、消費電力が大きい場合は差が出るかもしれません.逆に通常の使い方なら、小型のアダプターを入手して持ち歩くのもアリですね.
 ちなみに、新アダプターはDC側のケーブルが太くて長くなっているのは、先生ちょっとうれしいです.SurfaceのDC端子は磁石くっつき式で外れやすいので、位置変えただけで外れるんですよね.なので、ココが35センチも長いのは助かりますですはい.こまかいですが、端子部分のLED(給電中に光るやつ)が、旧では上下2つついていたのだが、新では1つになっています.AC側はおなじみのブタ鼻端子なので、好きな長さのケーブルに取り替えて使えます(保証のかぎりではありませんが).

長時間駆動と最高速度は魅力
あとは重さをどう考えるか

新SurfaceBookWPBはモバイルノートとしては最高速度を誇るものになりました.はっきり言って、ヘタなゲーミングノートより速いうえ、1.6キロという、なんとか持ち歩ける重さに収まっています.3Dグラフィック能力はコアi7-7600U搭載のThinkPadX1Carbon(2017)と比べても約5倍速く、でもi7-7700HQとGTX1060を積んだRazerBlade(2017)と比べると半分の速度です.重量はそれぞれ1.1と1.9キロですから、SurfaceBookPBはちょうどその間になるわけですね.
 この対抗機種たちはクラムシェル型で、なおかつ16対9液晶ですから、SurfaceBookPBのアドバンテージは、タブレットユースと3対2の高解像度液晶の使いやすさということになります.
 お値段のほうですが、ここで旧モデルと呼んでしまっている初代モデルも並行販売中です.んがしかし、メモリ16GBでSSD512GBのモデルだと、旧GPUと新PBの差は約1万2000円ほどしかありません.どう考えてもPBのほうがお買い得ですね.

知ってしまうとなんかキーボード奥のモッコリしたふくらみが気になり始めますね

日本のSurfaceBookにはOfficeのHome&Business Premiumがついてきます

 SurfaceBookは、巨大バッテリーの搭載で日頃は電源の心配なく持ち歩ける、高解像度+大画面ノートPCなのに、アクセルを踏み込めば山道も楽に乗りこなせるという、まさに羊の皮をかむった狼的な魅力あるマシンです.特に新モデルは狼というかもはやチーターといってもいい速度を出せますから、気晴らしにゲームもやりたいというキミやボクにはうってつけのマシンです.個人的にはブラックボディーを出してほしいです.MSさんよろしくおねがいしますね.

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